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インターカンファレンス(交流戦)

負傷者続出

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JINはその後三盗にも成功し、スライディングでサードの若菜を蹴散らす。


反則スレスレのラフプレーを連発させ、セカンド志田、サード若菜の二名を負傷退場させた。


それが原因なのか、小橋は動揺した直後に投げたカーブが甘く入り、毒島はレフトスタンドへ先制の第10号ツーランで2点を取った。


このホームランが決勝となり、試合は0対2でスカイウォーカーズが完封勝利した。


鬼束のケガの具合だが、軽い打撲と診断され、明日の試合には影響が無いらしい。



ヤンキースの守山監督は怒りをあらわにしている。


「あんのヤローっ!とんでもねぇ隠し玉用意しやがったな!上等だ、コッチもそれなりの事をしてやらぁ!
バーチーの文句はオレに言え!」


【バーチーの文句はオレに言え】というのは守山の口癖だ。

どうやらその手のマンガを読んだせいか、脳裏に焼き付いてしまったらしい。




そして二戦目、スカイウォーカーズの先発はここまで3勝1敗、防御率は2位の2.38の東山。


対するヤンキースは左の澁谷。


スカイウォーカーズのスタメンに変更は無く、ヤンキースはセカンド志田の代わりに4年目の安原が、サード若菜の代わりに守備のスペシャリスト髙山がスタメンに入った。


ヤンキースベンチでは、守山とヘッドコーチの陳が物凄い形相でスカイウォーカーズベンチを見る。


「いいか、オマエら!昨日ウチは二人殺られたんだ!しかも、あんなルーキーにだ!
どんな手を使ってでも、あのクソガキをグラウンドに引っ張り出せ!」


「朋友の言う通りネ。
あのド新人をグラウンドに上げて血祭りにするんダ!
その為には…分かってるよな?」


【ハ…ハイっ!】



そんなワケで波瀾含みのスタートとなった。




守山はターゲットを結城に定めたが、ヤンキースナインよりもヤンキーな結城相手では選手達がビビってしまい、退場に追い込むどころか、逆に怖気付いている。



「朋友、結城をターゲットにするのは難しいネ」


「そのようだな、青幇。本来ならば、アイツは我がチームに来るべき選手だしな」


と言うものの、スカイウォーカーズベンチを見ると、結城をはじめ、財前、唐澤、畑中とヤンキースナイン顔負けの武闘派が名を連ねる。


このメンバーを的にかけたら、逆に返り討ちに遭ってしまいそうだ。


そこで守山はターゲットを筧に変更した。



平均身長181.34cmというスカイウォーカーズのレギュラー陣の中で、175cmとやや小柄で非力な筧は絶好の的だ。



「オマエら、ターゲットはあのチビに変更だ!」


「アイツなら大丈夫ネ!
お前たち、あのチビを引きずり下ろして、昨日の新人を引っ張り出すんだ!」


【ハ…ハイ!】




、試合は5回の表まで進む。



スカイウォーカーズ先発東山は、落差の大きいフォークとシンカー気味に高速で鋭く落ちるワンシーム、時折投げる縦のスライダーという、三種類の落ちる変化球を投げて、ここまで被安打0奪三振7というパーフェクトピッチングでヤンキース打線を抑える。


対するヤンキース先発澁谷は、4回ツーアウトから、筧のツーベースヒットを皮切りに、3番財前はフォアボールで歩いてランナー一塁二塁に。


4番鬼束は澁谷の147km/hのツーシームを捕え、ライトオーバーの2点タイムリーツーベースで先制。


5回には、7番指名打者の畑中がレフトスタンドに今シーズン初アーチを叩き込み、更に1点追加。


スコアは0対3とスカイウォーカーズがリードしたまま、5回の裏ヤンキースの攻撃。


先頭の4番上田は縦のスライダーを打ち損じ、ショートフライに倒れる。


5番山本はフルカウトまで粘った後、高めに浮いたワンシームをライト前に弾き返し、初ヒットを記録。


6番安原は送りバントの構え。


安原は三球目を上手く一塁側へ転がす。


ファーストの結城が猛チャージをかけ、素早く二塁へ送球。


ベースカバーに入った筧目掛けて、山本は頭から突っ込む。


しかし、勢いが良すぎたのか、スピアー(高速タックル)の様な格好で筧の下腹部をダイレクトに直撃。


その衝撃で筧は数メートル後ろに吹っ飛ぶ。

「ウグァッ…」


ボールは筧のグラブをかすめ、外野へ転々と転がる。

スピアーでなぎ倒した山本は素早く起き上がり三塁へ。


レフト森高がボールを捕って三塁へ投げたが、間に合わずセーフ。


筧は倒れたまま起き上がる事が出来ない。


「おい、大丈夫か!」


「今の筧目掛けてタックルしたろ!」


しかし、当の山本は涼しい顔をしている。


「今のはワザとじゃない!ただ勢い余ってアイツにぶつかっただけだろ!」


「テメーら、昨日の仕返しかよ!」


鬼束が山本を突き飛ばす。


「テメー、何すんだ、コラァ!!」


これを合図に両軍ベンチから選手が一斉に飛び出す。



「止めろ、止めるんだ、鬼束くん!」


結城は鬼束を羽交い締めにして乱闘を止める。


「離して下さい!コイツ、ワザとぶつかってマサハルにカゲさせようとしてるんすよ!」



「落ち着くんだ、鬼束くん!アレは故意ではない、アクシデントだ!」


グラウンドのあちこちでは、両軍選手が入り乱れて取っ組み合いが始まる。


「痛えな、コノヤロー!」


「あぁ!やんのか、コラァ!」


「来い、コノヤロー!」


気がつくと、スタンドでも客同士の小競り合いが始まっていた。


「ぶっ殺すぞ、テメーっ!」


「んだと、コノヤロー!」


「やれやれぇ、ボコボコにしてやれ!」


「テメーら、気合い入れてやれ!」


「ヨシ、オレはあの特攻服のヤツに5000円賭けるぞ!」


「じゃあオレは、あの顎ひげタトゥーのヤツに10000円賭けるぜ!」


バーチーヤンキースタジアム名物でもある、客同士のバトルを賭ける光景。


「オマエら!大人しくしないと、この試合中止にするぞっ!!」


審判がマイクを持って警告した。



「中止?」


「ヤバい、ここは一旦下がろう」


試合中止だけは避けたい。


「ったく…いいか、次やったら、マジでボコボコにしてやるぞ!」


「コッチのセリフだ、ばかやろ」



不満を残りながら、ヤンキースナインはベンチに引きァる。


グラウンドでは、筧がまだ蹲っている。


「大丈夫か、マサハル!」


「えぇ…何とか」


「いや、さすがに駄目だろ!」





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