The Baseball 主砲の一振り 続編2

かつて天才と呼ばれたスター

注目の一戦

名古屋99ers対東京キングダムの連戦がスタートした。

4年ぶりに日本球界に復帰した吉川の再デビューが古巣のキングダムとあって、99ドームには56000人という超満員の観客で埋め尽くされた。


吉川復帰に際して、当然翔田にもコメントが求められた。


翔田は、

「今は他人の事をとやかく言っている余裕は無い。
チームも個人の成績も良くないし、とにかく上を目指して頑張るしかない」

と無関心を装った。


キングダム監督の浅野は、


「何も話すことは無い。それよりも、目の前の勝利に邁進するのみ」


とノーコメントを貫いた。



先発はキングダムが今年飛躍が期待される若手の登坂。

対する99ersは今年札幌ウォーリアーズから新加入した左の那須川。


キングダムのスタメンは

1セカンド 湯原
2キャッチャー 丸藤
3ライト ロドリゲス
4センター  翔田
5サード ウィリアムズ
6ファースト 坂上
7レフト 篠田
8ショート  倉澤
9ピッチャー 登坂


開幕して13試合になるが、翔田は依然として本塁打0本。

打率に至っては、0.197と絶不調に喘いでいる。


それでも、浅野監督は翔田を4番に据える。

気分転換の為に打順を変更させても良いと思うのだが、浅野監督は翔田の復活に期待を寄せている。


99ersのスタメンは

1センター 城戸
2ショート 柴崎
3サード 比嘉
4ファースト 風間
5キャッチャー 外崎
6レフト ギャレット
7セカンド 秋山 
8ライト 吉川
9ピッチャー 那須川

注目の吉川は8番ライトで出場。

かつてはキングダムで4番を打っていた主砲だが、4年というブランクを考慮してヤマオカ監督は8番に置いた。


試合前の始球式では、99ersのGM宇棚ひろしが務めた。


ひろしはマウンドに立つと、グラブを足にはめた。


「あの…ウケ狙いなのか何なのか分かりませんが、一応ツッコミますけど、それ手にはめるんですよ」


那須川が困惑の表情でひろしに教える。


「私わかります(^-^)
おうみそかは年越しそばを食べてお雑煮を食べます(^-^)
朝の朝食に…」


「うるせぇ、余計な事言うな！」


ドカッ！


横からヤマオカ監督がひろしにアックスボンバーをかました。


その威力でひろしは数メートル吹っ飛び、舌を出して失神。


「ったく…球団は何でこんなヤツを始球式に選んだんだ」


そう言うと、倒れてるひろしの首根っこを掴んでベンチまで引き摺った。



「何なんだ、一体…」

那須川は唖然としている。



「プレイボール！」


そして午後6時、注目の一戦がスタートした。




一方、山口県下関市ではレボリューションズの本拠地ISHINフィールドでスカイウォーカーズとの三連戦がスタートした。


レボリューションズの先発は新外国人の左腕、ヘクター・サンチェスが中5日で登板。

スカイウォーカーズは中6日で左のエース真咲。


先発ローテーションが現在4人というスカイウォーカーズだが、もう一枚先発が欲しいところ。

ローテーションの一角を担った片山は左膝蓋骨骨折で復帰はオールスター以降。

もう一人の北乃は不振によるファーム落ちで復帰の目処が立たない。


苦しい台所事情をどうやり繰りするか。


そのスカイウォーカーズのスタメンは


1ファースト 結城
2レフト 森高
3センター 財前
4セカンド 鬼束
5サード 毒島
6ライト 唐澤
7ショート 石川
8ピッチャー 真咲
9キャッチャー 保坂


今日はショートに筧の代わりに石川が7番で出場。

スーパールーキー森高は2番という打順。


打線は3番の財前が絶好調とあって、開幕から4割という出塁率を誇る森高を2番に置いた。



後攻のレボリューションズスタメンは


1ライト 結城
2レフト 清水
3センター 仙道
4ファースト ロドリゲス
5サード 佐藤
6セカンド 香坂
7ライト マイク中村
8キャッチャー 青田
9ピッチャー サンチェス


レボリューションズは今年ケガから復帰した仙道が攻守にわたりチームを引っ張る。

3番仙道、4番ロドリゲス、5番佐藤のクリーンナップは破壊力抜群で、チーム打率は0.287とリーグトップ。


12年振りの優勝を目指し、下馬評を覆す勢いで現在3位と健闘している。


マウンド上のサンチェスはメジャー経験こそないものの、昨季3Aで14勝を挙げ防御率は2.47と優秀な成績を残す。


90マイル（約145km／h）と決して速くは無いが、スライダー、チェンジアップと腕の振りが全く同じな為、打席では球速以上に速く感じる。


初登板のキングダム戦では、7回を投げて無失点に抑え初勝利を挙げた。


球速以上に速く感じるピッチャーと言えば、真咲の代名詞でもある120km／h台のストレートが有名。


この【左腕で球速以上に速い】者同士の投げ合いがスタートした。