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新団体設立
最終話 オレはプロレスラー
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数日後、オレは事務所にて、佐藤さんと山田さん同席のもと、WFEのフロントの言っていた事が本当なのか確認するため、問いただした。
すると、アッサリとその話は本当だ、という答えが返ってきた。
何故、選手達のファイトマネーをカイザー大和経由で渡したのか、オレはそれが知りたかった。
観念したのか、いずれは分かる事なのか、二人は正直に答えてくれた。
TMNの社長と専務と言っても、かつてはWWA設立の際、カイザー大和の下にいた二人だ。
会長であるカイザー大和の鶴の一声で、白でも黒と言えば黒と言わざるを得ない二人だった。
「アンタらはカイザー大和の犬か!選手達のファイトマネー着服して、何故それを咎めようとしなかったのだ!」
オレは激昂した。
「お前には分からんだろうが、会長には逆らえないんだよ…
その為に何度煮え湯を飲まされたか」
佐藤さんは苦渋の表情を浮かべ、そう話した。
「それとこれは別問題でしょう!これは立派な横領罪じゃないすかっ!」
オレの声が会議室に響き渡った。
「そんな事は百も承知だ。だがな、プロレス界ってのはそんなもんなんだよ。お前だって入門当初は先輩レスラーの理不尽さに耐えてデビューできるようになったろ?それと同じ事なんだ」
「いくら理不尽な先輩レスラーがいても、金を着服するなんて事は無いっ!」
山田さんの反論にオレは真っ向から否定した。
カイザー大和なら、何をしても許されるのか!
しかも当の本人はとっくに名誉会長の座を降りて、TMNとは縁を切ったはずだ。
「…やっぱり無理があったんだ、TMNを旗揚げするのは」
オレは開いた口が塞がらなかった。
社長たる者が、会長の言いなりになって、金を渡した。
しかもその金全てはカイザー大和のサイドビジネスの資金に充てたという。
もうダメだ、オレはこの二人を信頼していたが、カイザー大和の言いなりになって、形だけの社長と専務というお飾りに過ぎなかった。
これじゃTMNはもうお終いだ。
「ガッカリしましたよ。他のフロントに比べてお二人の事は誰よりも信頼してました。
信頼が第一だなんて、結局口だけじゃないですか…」
オレは二人に裏切られた感で、目の前にある長い机をひっくり返したくなる程、怒りと悲しみが入り交じり、なんとも言えない心境だ。
「という事はもう、TMNは自主興行が出来ないというワケですか」
オレの問いに二人は押し黙っていた。
答えられないという事は、もうTMNは崩壊というワケだ。
「分かりました、今日を以てオレはTMNから離脱します。
あなた方に誘われてTMNに移籍したオレがバカだったという事ですね?」
オレはそう言い残し、事務所を出た。
旗揚げから僅か3ヶ月弱でTMNは事実上の崩壊となった。
この件がきっかけで、佐藤さんと山田さんの仲も険悪になり、誌上を通して互いに中傷合戦をするようになり、挙げ句の果てはカイザー大和まで巻き込み、三つ巴の醜い争いになった。
かつては一枚岩の結束と言われ、WWA設立時の主力だった三人の絆は脆くも崩れ去った。
オレにもマスコミからその件についてコメントを求められたが、オレは一介のレスラー、リングの外の事は全く分からず、二人に任せていた、とだけコメントした。
ただカイザー大和に名誉会長の座を降りろと進言したのはオレだ。
その事については包み隠さず話した。
だが後日になってプロレス関係者から聞いた話だが、カイザー大和は元々TMNに長く関与するつもりはなく、旗揚げから暫く経過してから名誉会長の座を降りる予定だったらしい。
旗揚げの為に獲得したスポンサーと共に新たな事業を始める為だったという事だ。
この日本のプロレス界の恒例とも言える、分裂と新団体設立の繰り返し。
この悪しき慣例を何とかしないと未来のプロレスに希望は無い。
そして誌上で中傷合戦を繰り広げてきた三人だが、結局は元の鞘に収まるだろう。
過去にも何度かこういう場面があった。
せめて、佐藤さんか山田さんのどちらがカイザー大和の暴走を止める防波堤の様な役割が出来れば、今のプロレス界は少しでも変わっていたはずだ。
それから数日後に、オレは正式にWFE所属のレスラーとなった。
これで従来のプロレスが思う存分出来ると思っていたのだが、フロントがある提案を出した。
「君は従来のプロレスよりも、格闘家相手に闘う方がいいだろう。
実は君をマクダエルとタッグ王者にすると同時に、WFE認定のマーシャルアーツヘビー級のタイトルマッチをして、各国の格闘家と闘って欲しい。
出来れば年に三回、四ヶ月に一回はタイトルマッチをして欲しいんだ。
勝敗はどうにでもなるが、どうだろうか?」
マーシャルアーツヘビー級?
「それってオレは従来のプロレスが出来ないって事ですか?」
また嫌な予感がした。
「そういう意味ではない。君はあくまでもプロレスラーだ。
従来のプロレススタイルから、総合スタイルまでこなす万能の選手になってもらいたい。
勿論タイトルマッチ直前は総合スタイルに専念して欲しいから、それなりの準備期間を与えるつもりだが、どうだろう、やってくれないか?」
しばし頭の中であれこれと考えた。
またTMNの二の舞になるんじゃないか、と。
「今すぐに返事をしなきゃならないんですか?」
出来れば考える猶予が欲しい。
「…うーん。出来れば今すぐになんだが…じゃあ一週間後に答えをくれないか?」
猶予は一週間後か…
「分かりました。それと出来ればこれはオレからの条件なんですが」
オレは二つ条件を出すつもりでいた。
「条件?どんな条件かね?」
訝しげにフロントの一人が何の条件か尋ねた。
「一つ目はカーウィンさんを招聘して、コーチにして欲しいんです。
あのキャッチレスリングは是非他のレスラーも学ぶべきだと思います。
派手な技ばかりがプロレスじゃない、地味ながらも、試合の組み立てや、技の基礎を徹底的に鍛えてもらいたいんです」
オレはカーウィンに師事され、レスリングの基礎を改めて教わった。
そしてオレは今まで試合で使っていたラリアットやパワーボムを封印し、クラシカルなレスリングスタイルへシフトチェンジした。
「ロイズ・カーウィンか。レスリングの基礎を学ぶのはいいが、何もカーウィンじゃなく、他のコーチでもいいじゃないか?」
「いえ、カーウィンじゃなきゃダメなんです。例えばヘッドロック一つにしても、カーウィンのヘッドロックはギブアップを奪える程の技なんです。
ポイントを確実に極めて、ダメージを与える。
派手な大技だけじゃなく、こういう基礎から学ばないとダメなんです。どうかカーウィンを招聘してもらえませんか?」
カーウィンがコーチになってくれるなら、そのマーシャルアーツの初代チャンピオンになって、定期的にタイトルマッチを行う事に従おう、そう思った。
「それは構わないが、果たして他のレスラーはどう言うのか」
「もし、カーウィンをコーチに招聘してくれるのなら、オレはマーシャルアーツのチャンピオンになって、タイトルマッチを行います。それともう一つは、マーシャルアーツのタイトルマッチにはブックは不要です。
オレはブック無しで世界各国の格闘家と闘って勝つ自信はあります。
条件はこの二つです。どうでしょうか?」
やるからにはとことんやってやる、それがオレのポリシーだ。
しばし腕を組んで考え込み、フロントの一人がゴーサインを出した。
「ありがとうございます!自分の待遇面に関しては何も言うつもりはありません。そちらにお任せします」
オレは深々と頭を下げた。
こうしてオレはWFEの一員となり、マクダエルとタッグを組み、決勝戦で財前と真田のタッグマッチで、試合終盤にマクダエルは真田に投げっぱなしジャーマンでダメージを与え、財前に的を絞った。
マクダエルが財前をロープに振って、戻ってきたところをオレが横からロシアンフックを改良した、横殴り式のラリアットで倒し、マクダエルのフィニッシュ技、ネオオモプラッタで財前からギブアップを奪い、WFE初代タッグチャンピオンに輝いた。
オレにとっては初のタイトル戴冠だ。
中央にWFEと刻印され、黄金に輝くベルトを手渡された。
レスラー生活で初めてチャンピオンベルトを手にした…
オレとマクダエルはコーナーに上り、燦然と輝くベルトを高々と上げ、勝利をアピールした。
次はWFE認定マーシャルアーツヘビー級選手権だ。
それに勝てば、オレはWFEのタッグとマーシャルアーツの二冠に輝く。
だが、本当に欲しいのは、財前が保持しているWFEヘビー級のベルトだ。
完
すると、アッサリとその話は本当だ、という答えが返ってきた。
何故、選手達のファイトマネーをカイザー大和経由で渡したのか、オレはそれが知りたかった。
観念したのか、いずれは分かる事なのか、二人は正直に答えてくれた。
TMNの社長と専務と言っても、かつてはWWA設立の際、カイザー大和の下にいた二人だ。
会長であるカイザー大和の鶴の一声で、白でも黒と言えば黒と言わざるを得ない二人だった。
「アンタらはカイザー大和の犬か!選手達のファイトマネー着服して、何故それを咎めようとしなかったのだ!」
オレは激昂した。
「お前には分からんだろうが、会長には逆らえないんだよ…
その為に何度煮え湯を飲まされたか」
佐藤さんは苦渋の表情を浮かべ、そう話した。
「それとこれは別問題でしょう!これは立派な横領罪じゃないすかっ!」
オレの声が会議室に響き渡った。
「そんな事は百も承知だ。だがな、プロレス界ってのはそんなもんなんだよ。お前だって入門当初は先輩レスラーの理不尽さに耐えてデビューできるようになったろ?それと同じ事なんだ」
「いくら理不尽な先輩レスラーがいても、金を着服するなんて事は無いっ!」
山田さんの反論にオレは真っ向から否定した。
カイザー大和なら、何をしても許されるのか!
しかも当の本人はとっくに名誉会長の座を降りて、TMNとは縁を切ったはずだ。
「…やっぱり無理があったんだ、TMNを旗揚げするのは」
オレは開いた口が塞がらなかった。
社長たる者が、会長の言いなりになって、金を渡した。
しかもその金全てはカイザー大和のサイドビジネスの資金に充てたという。
もうダメだ、オレはこの二人を信頼していたが、カイザー大和の言いなりになって、形だけの社長と専務というお飾りに過ぎなかった。
これじゃTMNはもうお終いだ。
「ガッカリしましたよ。他のフロントに比べてお二人の事は誰よりも信頼してました。
信頼が第一だなんて、結局口だけじゃないですか…」
オレは二人に裏切られた感で、目の前にある長い机をひっくり返したくなる程、怒りと悲しみが入り交じり、なんとも言えない心境だ。
「という事はもう、TMNは自主興行が出来ないというワケですか」
オレの問いに二人は押し黙っていた。
答えられないという事は、もうTMNは崩壊というワケだ。
「分かりました、今日を以てオレはTMNから離脱します。
あなた方に誘われてTMNに移籍したオレがバカだったという事ですね?」
オレはそう言い残し、事務所を出た。
旗揚げから僅か3ヶ月弱でTMNは事実上の崩壊となった。
この件がきっかけで、佐藤さんと山田さんの仲も険悪になり、誌上を通して互いに中傷合戦をするようになり、挙げ句の果てはカイザー大和まで巻き込み、三つ巴の醜い争いになった。
かつては一枚岩の結束と言われ、WWA設立時の主力だった三人の絆は脆くも崩れ去った。
オレにもマスコミからその件についてコメントを求められたが、オレは一介のレスラー、リングの外の事は全く分からず、二人に任せていた、とだけコメントした。
ただカイザー大和に名誉会長の座を降りろと進言したのはオレだ。
その事については包み隠さず話した。
だが後日になってプロレス関係者から聞いた話だが、カイザー大和は元々TMNに長く関与するつもりはなく、旗揚げから暫く経過してから名誉会長の座を降りる予定だったらしい。
旗揚げの為に獲得したスポンサーと共に新たな事業を始める為だったという事だ。
この日本のプロレス界の恒例とも言える、分裂と新団体設立の繰り返し。
この悪しき慣例を何とかしないと未来のプロレスに希望は無い。
そして誌上で中傷合戦を繰り広げてきた三人だが、結局は元の鞘に収まるだろう。
過去にも何度かこういう場面があった。
せめて、佐藤さんか山田さんのどちらがカイザー大和の暴走を止める防波堤の様な役割が出来れば、今のプロレス界は少しでも変わっていたはずだ。
それから数日後に、オレは正式にWFE所属のレスラーとなった。
これで従来のプロレスが思う存分出来ると思っていたのだが、フロントがある提案を出した。
「君は従来のプロレスよりも、格闘家相手に闘う方がいいだろう。
実は君をマクダエルとタッグ王者にすると同時に、WFE認定のマーシャルアーツヘビー級のタイトルマッチをして、各国の格闘家と闘って欲しい。
出来れば年に三回、四ヶ月に一回はタイトルマッチをして欲しいんだ。
勝敗はどうにでもなるが、どうだろうか?」
マーシャルアーツヘビー級?
「それってオレは従来のプロレスが出来ないって事ですか?」
また嫌な予感がした。
「そういう意味ではない。君はあくまでもプロレスラーだ。
従来のプロレススタイルから、総合スタイルまでこなす万能の選手になってもらいたい。
勿論タイトルマッチ直前は総合スタイルに専念して欲しいから、それなりの準備期間を与えるつもりだが、どうだろう、やってくれないか?」
しばし頭の中であれこれと考えた。
またTMNの二の舞になるんじゃないか、と。
「今すぐに返事をしなきゃならないんですか?」
出来れば考える猶予が欲しい。
「…うーん。出来れば今すぐになんだが…じゃあ一週間後に答えをくれないか?」
猶予は一週間後か…
「分かりました。それと出来ればこれはオレからの条件なんですが」
オレは二つ条件を出すつもりでいた。
「条件?どんな条件かね?」
訝しげにフロントの一人が何の条件か尋ねた。
「一つ目はカーウィンさんを招聘して、コーチにして欲しいんです。
あのキャッチレスリングは是非他のレスラーも学ぶべきだと思います。
派手な技ばかりがプロレスじゃない、地味ながらも、試合の組み立てや、技の基礎を徹底的に鍛えてもらいたいんです」
オレはカーウィンに師事され、レスリングの基礎を改めて教わった。
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「ロイズ・カーウィンか。レスリングの基礎を学ぶのはいいが、何もカーウィンじゃなく、他のコーチでもいいじゃないか?」
「いえ、カーウィンじゃなきゃダメなんです。例えばヘッドロック一つにしても、カーウィンのヘッドロックはギブアップを奪える程の技なんです。
ポイントを確実に極めて、ダメージを与える。
派手な大技だけじゃなく、こういう基礎から学ばないとダメなんです。どうかカーウィンを招聘してもらえませんか?」
カーウィンがコーチになってくれるなら、そのマーシャルアーツの初代チャンピオンになって、定期的にタイトルマッチを行う事に従おう、そう思った。
「それは構わないが、果たして他のレスラーはどう言うのか」
「もし、カーウィンをコーチに招聘してくれるのなら、オレはマーシャルアーツのチャンピオンになって、タイトルマッチを行います。それともう一つは、マーシャルアーツのタイトルマッチにはブックは不要です。
オレはブック無しで世界各国の格闘家と闘って勝つ自信はあります。
条件はこの二つです。どうでしょうか?」
やるからにはとことんやってやる、それがオレのポリシーだ。
しばし腕を組んで考え込み、フロントの一人がゴーサインを出した。
「ありがとうございます!自分の待遇面に関しては何も言うつもりはありません。そちらにお任せします」
オレは深々と頭を下げた。
こうしてオレはWFEの一員となり、マクダエルとタッグを組み、決勝戦で財前と真田のタッグマッチで、試合終盤にマクダエルは真田に投げっぱなしジャーマンでダメージを与え、財前に的を絞った。
マクダエルが財前をロープに振って、戻ってきたところをオレが横からロシアンフックを改良した、横殴り式のラリアットで倒し、マクダエルのフィニッシュ技、ネオオモプラッタで財前からギブアップを奪い、WFE初代タッグチャンピオンに輝いた。
オレにとっては初のタイトル戴冠だ。
中央にWFEと刻印され、黄金に輝くベルトを手渡された。
レスラー生活で初めてチャンピオンベルトを手にした…
オレとマクダエルはコーナーに上り、燦然と輝くベルトを高々と上げ、勝利をアピールした。
次はWFE認定マーシャルアーツヘビー級選手権だ。
それに勝てば、オレはWFEのタッグとマーシャルアーツの二冠に輝く。
だが、本当に欲しいのは、財前が保持しているWFEヘビー級のベルトだ。
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