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8月灼熱の後半戦
新旧のキャッチャー
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滝沢がフレーミングに磨きをかけたのは
メジャーリーグで最高のキャッチャーと謳われた
C・J・ウィリスのフレーミングを参考にした。
ウィリスはメジャーリーグの名門 ワシントン・ウィナーズの主砲でもあり キャッチャーで初の3000本安打を達成したスラッガー。
10年連続ゴールドグラブ賞を受賞。
3度のMVPも受賞しており 走攻守全ての面で優れた選手として殿堂入りを果たしている。
ウィリスのフレーミングは身体を動かしながら行うものだが それ以上にミットの使い方がスムーズで違和感が無い。
というのも ウィリスは元来左利きで野球の時だけ右投げにしている。
滝沢も日常生活は左利きだが 野球は右投げでウィリスと共通している。
利き手である左手の使い方が他のキャッチャーよりも上手い為 フレーミングを巧みに使ってピッチャーを上手くリードする方法を見出した。
このフレーミングは中邑を大いに助け
尻上がりにピッチングが良くなった。
試合は0対0の無得点のまま 5回の裏まで進む。
99ersの攻撃は5番の比嘉から。
お馴染みのスコーピオン打法で中邑に鋭い視線を送る。
第1打席は痛烈なショートライナーに倒れたが
タイミングは合ってる。
今年は主に5番を打ち 打率.293 本塁打17 打点59
OPS.881とクリーンアップの役割りを果たしている。
鍛え抜かれた上半身を誇示する様なフォーム。
当たれば場外まで飛ばしそうな見た目だが
比嘉はどちらかと言えば中距離ヒッターでバットコントロールが巧みな選手。
とは言え 一発もあるので要注意なバッターだ。
4番の風間が剛のパワーヒッターならば
比嘉は柔のアベレージヒッターと言うべきか。
マウンド上の中邑はここまで2安打 無四球の内容。
球数も43球と上々の出来だ。
「…」
滝沢がサインを出す。
中邑は一度首を振るが 二度目のサインに頷く。
滝沢はサインを変えてないのだが 二人で考えたブラフを行っている。
回を追うごとに躍動するフォームで初球を投げた。
「低い…」
インローのツーシームだが 比嘉は低いと判断してバットを止めた。
「ストライクワンっ!!」
「エッ…」
比嘉は振り返り 主審の顔を見た。
「今の低いでしょ?」
「ストライクだ」
ウソだろ…という表情を浮かべるが それ以上の抗議はしない。
比嘉は今まで一度も退場になった事が無く 審判のジャッジは絶対という考えの持ち主だ。
その比嘉が思わず主審に意見する程の判定だった。
「…今度からオレが投げる時は、アイツにマスク被ってもらうよう頼んでみようかな」
滝沢のフレーミングがあれば防御率は勿論の事 勝ち星も増えるに違いない。
そうなると 正捕手である毒島の立場が危うくなってくるのだが プロ野球は常に競走の世界でもある。
毒島もうかうかしてられないのだが 滝沢が正捕手の座を掴むには バッティングの向上が必要不可欠だ。
ストライクゾーンが一回り広くなり ピッチングの幅も広がった中邑が強気な攻めを見せる。
2球目は縦に割れるパワーカーブでファールを打たせ
3球目は外へのスライダーでもう一度ファール。
4球目 今度は真ん中低めからワンバンになるフォークで空振りの三振で仕留めた。
「ヨシ…これでワンアウトっと」
表情にも余裕が見られ 好調時の様な躍動感溢れるフォームに戻りつつある。
【6番キャッチャー外崎】
99ersの頭脳でもある外崎が軽く素振りをしながら
バッターボックスへ入った。
主に6番や7番といった下位打線に座っているが
ヤンキース時代は不動の4番バッターで首位打者やMVPにも輝いた 名実共にナンバーワンのキャッチャーだ。
「いい気になるなよ、グリーンボーイ」
メガネの奥から眼光鋭い視線を覗かせ 滝沢を射抜く様に見る。
「グリーンボーイって…これでも自分、3年目なんすけど」
不貞腐れた様な口調で言い返す。
「3年目だろうが、レギュラーになってない一軍半のヤツは、いつまで経ってもグリーンボーイなんだよ、覚えておけ!」
「アァ?何だ、テメー…」
滝沢が立ち上がり マスクとミットを外して臨戦態勢になる。
「おい…意気がるなよ、ヒヨっ子」
外崎は表情を変えず冷静な口調で切り返す。
「もういっぺん言ってみろよ、アァ!!」
「よせ~っ!何やってんだ、お前は!!」
ベンチから財前が猛ダッシュして止めに入った。
「タッキー、熱くなるな!」
マウンドから中邑も止めに入る。
これが合図となって 両軍ベンチから選手が飛び出し一触即発のムードになった。
「コラぁ~っ!!何やってんだ、お前ら!」
「散れっ!!オラ、何やってんだ!サッサと引っ込め!」
中田と勅使川原がドスの効いた声を張り上げ
選手達を追い返す。
2人とも強面な顔で オマケにケンカも滅法強い。
現役を退いたとは言え この2人に勝てる選手などいない。
「さぁ、皆引き上げよう!」
プレイングマネージャーの吉川が自軍の選手を戻るよう促す。
乱闘は防げたが 外崎と滝沢のバトルはこれで終わりでは無さそうだ。
メジャーリーグで最高のキャッチャーと謳われた
C・J・ウィリスのフレーミングを参考にした。
ウィリスはメジャーリーグの名門 ワシントン・ウィナーズの主砲でもあり キャッチャーで初の3000本安打を達成したスラッガー。
10年連続ゴールドグラブ賞を受賞。
3度のMVPも受賞しており 走攻守全ての面で優れた選手として殿堂入りを果たしている。
ウィリスのフレーミングは身体を動かしながら行うものだが それ以上にミットの使い方がスムーズで違和感が無い。
というのも ウィリスは元来左利きで野球の時だけ右投げにしている。
滝沢も日常生活は左利きだが 野球は右投げでウィリスと共通している。
利き手である左手の使い方が他のキャッチャーよりも上手い為 フレーミングを巧みに使ってピッチャーを上手くリードする方法を見出した。
このフレーミングは中邑を大いに助け
尻上がりにピッチングが良くなった。
試合は0対0の無得点のまま 5回の裏まで進む。
99ersの攻撃は5番の比嘉から。
お馴染みのスコーピオン打法で中邑に鋭い視線を送る。
第1打席は痛烈なショートライナーに倒れたが
タイミングは合ってる。
今年は主に5番を打ち 打率.293 本塁打17 打点59
OPS.881とクリーンアップの役割りを果たしている。
鍛え抜かれた上半身を誇示する様なフォーム。
当たれば場外まで飛ばしそうな見た目だが
比嘉はどちらかと言えば中距離ヒッターでバットコントロールが巧みな選手。
とは言え 一発もあるので要注意なバッターだ。
4番の風間が剛のパワーヒッターならば
比嘉は柔のアベレージヒッターと言うべきか。
マウンド上の中邑はここまで2安打 無四球の内容。
球数も43球と上々の出来だ。
「…」
滝沢がサインを出す。
中邑は一度首を振るが 二度目のサインに頷く。
滝沢はサインを変えてないのだが 二人で考えたブラフを行っている。
回を追うごとに躍動するフォームで初球を投げた。
「低い…」
インローのツーシームだが 比嘉は低いと判断してバットを止めた。
「ストライクワンっ!!」
「エッ…」
比嘉は振り返り 主審の顔を見た。
「今の低いでしょ?」
「ストライクだ」
ウソだろ…という表情を浮かべるが それ以上の抗議はしない。
比嘉は今まで一度も退場になった事が無く 審判のジャッジは絶対という考えの持ち主だ。
その比嘉が思わず主審に意見する程の判定だった。
「…今度からオレが投げる時は、アイツにマスク被ってもらうよう頼んでみようかな」
滝沢のフレーミングがあれば防御率は勿論の事 勝ち星も増えるに違いない。
そうなると 正捕手である毒島の立場が危うくなってくるのだが プロ野球は常に競走の世界でもある。
毒島もうかうかしてられないのだが 滝沢が正捕手の座を掴むには バッティングの向上が必要不可欠だ。
ストライクゾーンが一回り広くなり ピッチングの幅も広がった中邑が強気な攻めを見せる。
2球目は縦に割れるパワーカーブでファールを打たせ
3球目は外へのスライダーでもう一度ファール。
4球目 今度は真ん中低めからワンバンになるフォークで空振りの三振で仕留めた。
「ヨシ…これでワンアウトっと」
表情にも余裕が見られ 好調時の様な躍動感溢れるフォームに戻りつつある。
【6番キャッチャー外崎】
99ersの頭脳でもある外崎が軽く素振りをしながら
バッターボックスへ入った。
主に6番や7番といった下位打線に座っているが
ヤンキース時代は不動の4番バッターで首位打者やMVPにも輝いた 名実共にナンバーワンのキャッチャーだ。
「いい気になるなよ、グリーンボーイ」
メガネの奥から眼光鋭い視線を覗かせ 滝沢を射抜く様に見る。
「グリーンボーイって…これでも自分、3年目なんすけど」
不貞腐れた様な口調で言い返す。
「3年目だろうが、レギュラーになってない一軍半のヤツは、いつまで経ってもグリーンボーイなんだよ、覚えておけ!」
「アァ?何だ、テメー…」
滝沢が立ち上がり マスクとミットを外して臨戦態勢になる。
「おい…意気がるなよ、ヒヨっ子」
外崎は表情を変えず冷静な口調で切り返す。
「もういっぺん言ってみろよ、アァ!!」
「よせ~っ!何やってんだ、お前は!!」
ベンチから財前が猛ダッシュして止めに入った。
「タッキー、熱くなるな!」
マウンドから中邑も止めに入る。
これが合図となって 両軍ベンチから選手が飛び出し一触即発のムードになった。
「コラぁ~っ!!何やってんだ、お前ら!」
「散れっ!!オラ、何やってんだ!サッサと引っ込め!」
中田と勅使川原がドスの効いた声を張り上げ
選手達を追い返す。
2人とも強面な顔で オマケにケンカも滅法強い。
現役を退いたとは言え この2人に勝てる選手などいない。
「さぁ、皆引き上げよう!」
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