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8月灼熱の後半戦
立ち上がり
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ルイスをツーナッシングに追い込んだ那須川は
5球目をアウトコースからベース手前で鋭く変化するカットボール 所謂バックドアで見逃しの三振に仕留めた。
ルイスは
「That's weird, isn't it?(今の判定はおかしいだろ!)」
と抗議するが 聞き入れてくれるはずも無く。
これ以上抗議をすれば退場になると思い
憮然とした表情でベンチに下がった。
【2番ショート白石。背番号5】
昨日はノーヒットに終わった白石が右バッターボックスに入り リラックスした状態でバットを構える。
那須川は白石に背を向け バックスクリーンのオーロラビジョンを見ながらボールに話しかけている。
「厄介な相手だな。とは言え、まだ初回だし、強気でドンドン攻めよう」
白石との対決は26打数の13安打で 打率5割ジャストだが三振も多く 4三振を喫している。
ここらでガツンと叩きたいものだ。
外崎は外角中心のリードで組み立てる。
那須川はサインに頷き 初球を投げた。
アウトコースへのフォーシームが決まった。
「ストライクワンっ!」
白石は手を出さず球筋を見ていた。
球速は144km/hと表示された。
(次もアウトコースだろ…しかも、外ギリギリに入るカットボールだ)
白石は狙い球を定めた。
「おっ、雰囲気が変わった。あれは打ちにいくつもりだな」
ボールを手にボソボソと呟く。
外崎がサインを出す。しかし 那須川は首を振った。
(そこは打たれる…)
那須川は感じ取っていた。
もう一度外に投げたら間違いなくスタンドへ放り込まれると。
しかし 外崎もサインを変えない。
もう一度同じサインを出すが那須川は再度首を振る。
「ったく…」
しょうがねぇなぁ…とばかりに外崎が違うサインを出した。
今度は頷き 躍動感溢れるモーションから2球目を投げた。
白石はスイングを始動するが ボールの軌道はインコースへ大きく変化した。
「インコースかよっ…」
咄嗟にバットを止め ボールはミットへ。
「ボールワンっ!」
あのままバットを止めなかったら 根っこに当たってボテボテの内野ゴロに倒れていただろう。
「スゲーな、さすが天才」
「天才だったら、今の球は難なく打ち返してますよ」
打席内で足元を固め 手袋をはめ直しながら答える。
「オイオイ、今の球でバットを止めるのかよ…次はどこを投げればいいのやら」
返球されたボールを手にし 落ち着かせるように語りかける。
カウントはワンボール ワンストライク。
「ここは外崎さんのリードを信用しよう」
外崎のリードに一任するつもりだ。
その外崎はアウトコースへ逃げるツーシームを要求。
那須川は大きく頷き 3球目を投げた。
先程よりも速い球がアウトコースへ。
白石は素早く反応してバットを出すが ボールは小さく外側に変化した。
「クッ…」
バットの先端に当たったボールは一塁線へコロコロと転がる。
ファーストの張がダッシュして素手でボールを捕って一塁へ。
「アウト!」
ファーストゴロに倒れてツーアウト。
白石はヘルメットを取ってベンチに向かった。
「どうだった?」
ネクストバッターズサークルで唐澤が聞いてきた。
「ツーシームもそうだけど、フォーシームのノビも良いですね」
「スライダーは?」
「スライダーは…ストレートに比べれば、それ程良いってワケではないですが、調子は良さそうですね」
「そうか、わかった」
白石の肩をポンと叩くとバッターボックスに向かった。
5球目をアウトコースからベース手前で鋭く変化するカットボール 所謂バックドアで見逃しの三振に仕留めた。
ルイスは
「That's weird, isn't it?(今の判定はおかしいだろ!)」
と抗議するが 聞き入れてくれるはずも無く。
これ以上抗議をすれば退場になると思い
憮然とした表情でベンチに下がった。
【2番ショート白石。背番号5】
昨日はノーヒットに終わった白石が右バッターボックスに入り リラックスした状態でバットを構える。
那須川は白石に背を向け バックスクリーンのオーロラビジョンを見ながらボールに話しかけている。
「厄介な相手だな。とは言え、まだ初回だし、強気でドンドン攻めよう」
白石との対決は26打数の13安打で 打率5割ジャストだが三振も多く 4三振を喫している。
ここらでガツンと叩きたいものだ。
外崎は外角中心のリードで組み立てる。
那須川はサインに頷き 初球を投げた。
アウトコースへのフォーシームが決まった。
「ストライクワンっ!」
白石は手を出さず球筋を見ていた。
球速は144km/hと表示された。
(次もアウトコースだろ…しかも、外ギリギリに入るカットボールだ)
白石は狙い球を定めた。
「おっ、雰囲気が変わった。あれは打ちにいくつもりだな」
ボールを手にボソボソと呟く。
外崎がサインを出す。しかし 那須川は首を振った。
(そこは打たれる…)
那須川は感じ取っていた。
もう一度外に投げたら間違いなくスタンドへ放り込まれると。
しかし 外崎もサインを変えない。
もう一度同じサインを出すが那須川は再度首を振る。
「ったく…」
しょうがねぇなぁ…とばかりに外崎が違うサインを出した。
今度は頷き 躍動感溢れるモーションから2球目を投げた。
白石はスイングを始動するが ボールの軌道はインコースへ大きく変化した。
「インコースかよっ…」
咄嗟にバットを止め ボールはミットへ。
「ボールワンっ!」
あのままバットを止めなかったら 根っこに当たってボテボテの内野ゴロに倒れていただろう。
「スゲーな、さすが天才」
「天才だったら、今の球は難なく打ち返してますよ」
打席内で足元を固め 手袋をはめ直しながら答える。
「オイオイ、今の球でバットを止めるのかよ…次はどこを投げればいいのやら」
返球されたボールを手にし 落ち着かせるように語りかける。
カウントはワンボール ワンストライク。
「ここは外崎さんのリードを信用しよう」
外崎のリードに一任するつもりだ。
その外崎はアウトコースへ逃げるツーシームを要求。
那須川は大きく頷き 3球目を投げた。
先程よりも速い球がアウトコースへ。
白石は素早く反応してバットを出すが ボールは小さく外側に変化した。
「クッ…」
バットの先端に当たったボールは一塁線へコロコロと転がる。
ファーストの張がダッシュして素手でボールを捕って一塁へ。
「アウト!」
ファーストゴロに倒れてツーアウト。
白石はヘルメットを取ってベンチに向かった。
「どうだった?」
ネクストバッターズサークルで唐澤が聞いてきた。
「ツーシームもそうだけど、フォーシームのノビも良いですね」
「スライダーは?」
「スライダーは…ストレートに比べれば、それ程良いってワケではないですが、調子は良さそうですね」
「そうか、わかった」
白石の肩をポンと叩くとバッターボックスに向かった。
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