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8月灼熱の後半戦
勝ち越しホームラン
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試合は序盤から中盤へ。
5回の表 Glanzの攻撃は7番徳川から。
99ersの先発畝はここまで2安打 1失点のピッチング。
ルイスの先頭打者本塁打が悔やまれる出来だ。
畝は回を追うごとに球速が増してきて 初回140前半だったストレートは4回には148km/hまでアップした。
打席の徳川は1打席目はセカンドゴロ。
畝の変化球に合ってない様子だ。
(こういうバッターにはストレートよりも、変化球の方が打ち取りやすい)
外崎は再び変化球一辺倒のピッチングで翻弄しようとする。
今日の徳川みたいな振り回すタイプならば
ストライクを投げなくとも簡単に打ち取れるハズ。
サインに頷き 畝が初級を投げた。
インコースベルト付近にカーブが。
徳川はこれをスイングするが バットとボールの位置がかなり離れている。
「ストライクワンっ!!」
おまけにフルスイングしたせいか 勢い余って尻もちを着いてしまう。
「かぁ~っ、何だよ、あのスイングは」
「目つぶってスイングしてんじゃねぇのか」
中田は呆れた表情でボヤく。
徳川は現在24打数ノーヒットとスランプに喘いでいる。
人一倍練習をする徳川だが 結果が伴わない。
「なぁ中。この打席で打たなきゃ、しばらくの間二軍でリフレッシュさせた方がいいんじゃないのか」
勅使川原は徳川を二軍で調整させるべきだと言う。
「う~ん…このままスタメンで使っても、ヒット打てるかと言えば、打てないしなぁ」
「だろう?スランプなんだし、下で十分気分転換してから戻ってくりゃいいんだし」
「そうだな…」
その徳川は3球目のスプリットに手を出しショート正面のゴロに倒れた。
これで25打数ノーヒットと記録更新。
ベンチに戻った徳川に対し 中田は明日から二軍に行くよう命じた。
徳川はシュンと項垂れ ベンチの隅で小さくなっていた。
【8番 指名打者来栖】
第1打席でセンター前ヒットを打った来栖がバッターボックスに入った。
スーパーサブと呼ばれた来栖も今年で29才。
Glanzのユーティリティプレイヤーとして終盤の守備固めに起用されるのが主な仕事だ。
打撃や走塁面も悪くは無いのだが
それ以上にどのポジションでもソツなくこなすせいで
守備がメインになりつつある。
この打席はいつも使用するトップバランスのバットではなく グリップエンドが大きいテーパータイプのバットを手にしている。
「バット変えただけで打てるとは思えないんだが…」
「ここは黙って見てみよう」
中田は腕を組んでドカッと腰を下ろし
来栖のバッティングに期待する。
前の打席とは雰囲気が違う事に気づいた外崎は
初球 2球目とストレートを際どいコースに構え
ワンボール ワンストライクの並行カウント。
3球目はインコースへ食い込むカットボールだが
来栖は懐にボールを呼び寄せ こけしバットで上手くハードヒットした。
ガツンっ!!という打球音が響き ボールはライト線を破るフェア。
来栖は俊足を飛ばして一塁から二塁へ。
ライトを守る佐々木がクッションボールを捕って二塁へ送球。
来栖は悠々と間に合いセーフ。
ここで中田は代打を送る。
ネクストバッターズサークルには かつての三冠王財前がスタンバイしている。
【Glanz選手の交代をお知らせします。バッター滝沢に代わりまして、財前…背番号10】
榊GM曰く【傾奇者】と命名したシルバーアッシュの髪に左右色違いのカラコンを入れ 耳にはピアス ドクロのチョーカーを付け
シルバーアクセのブレスレットを身に付けた財前が颯爽と打席に向かう。
今年は主に指名打者や代打での出場だが
打率.282 本塁打10 出塁率.376 OPS.834と結果を残している。
数年前に手術をした網膜剥離の後遺症で守備は無理だが 卓越したバッティングは健在。
「よぉ、久しぶりだな…悪いが、初球はインコースやや高めのストレートを投げろってサインを出してくれよ」
「ハハハ、ホントに投げたら八百長として永久追放されるんですかね?」
互いに軽口を叩きながらも対決は始まっている。
(お望み通り、ややインハイのストレートを投げてやるから打ってみろ)
外崎はインハイを要求した。
畝は頷き セットポジションの体勢に入った。
二塁ランナー来栖は少し多めにリードをとっている。
畝はすかさず二塁へ牽制。
「セーフ!」
僅かに来栖の足が早かった。
もう一度セットポジションの体勢に入った。
今度はリードが小さい。
クイックモーションから初球を投げた。
「ゲッ、まさかのインハイかよっ!」
ボールはインコース高めだが
シュート気味に変化する142km/hのツーシームだ。
面食らった財前だが 来た球を打つのみという
シンプルなバッティングで上手く弾き返した。
「クソっ、やられたっ!」
快音が響き 打球はグーンと右中間へ。
センター城戸 ライト佐々木が打球を追うが
弾道は高く孤を描いてスタンドへ飛び込んだ。
「オッシャ、これで勝負ありだ!」
財前の第11号ツーランで勝負を決めた。
5回の表 Glanzの攻撃は7番徳川から。
99ersの先発畝はここまで2安打 1失点のピッチング。
ルイスの先頭打者本塁打が悔やまれる出来だ。
畝は回を追うごとに球速が増してきて 初回140前半だったストレートは4回には148km/hまでアップした。
打席の徳川は1打席目はセカンドゴロ。
畝の変化球に合ってない様子だ。
(こういうバッターにはストレートよりも、変化球の方が打ち取りやすい)
外崎は再び変化球一辺倒のピッチングで翻弄しようとする。
今日の徳川みたいな振り回すタイプならば
ストライクを投げなくとも簡単に打ち取れるハズ。
サインに頷き 畝が初級を投げた。
インコースベルト付近にカーブが。
徳川はこれをスイングするが バットとボールの位置がかなり離れている。
「ストライクワンっ!!」
おまけにフルスイングしたせいか 勢い余って尻もちを着いてしまう。
「かぁ~っ、何だよ、あのスイングは」
「目つぶってスイングしてんじゃねぇのか」
中田は呆れた表情でボヤく。
徳川は現在24打数ノーヒットとスランプに喘いでいる。
人一倍練習をする徳川だが 結果が伴わない。
「なぁ中。この打席で打たなきゃ、しばらくの間二軍でリフレッシュさせた方がいいんじゃないのか」
勅使川原は徳川を二軍で調整させるべきだと言う。
「う~ん…このままスタメンで使っても、ヒット打てるかと言えば、打てないしなぁ」
「だろう?スランプなんだし、下で十分気分転換してから戻ってくりゃいいんだし」
「そうだな…」
その徳川は3球目のスプリットに手を出しショート正面のゴロに倒れた。
これで25打数ノーヒットと記録更新。
ベンチに戻った徳川に対し 中田は明日から二軍に行くよう命じた。
徳川はシュンと項垂れ ベンチの隅で小さくなっていた。
【8番 指名打者来栖】
第1打席でセンター前ヒットを打った来栖がバッターボックスに入った。
スーパーサブと呼ばれた来栖も今年で29才。
Glanzのユーティリティプレイヤーとして終盤の守備固めに起用されるのが主な仕事だ。
打撃や走塁面も悪くは無いのだが
それ以上にどのポジションでもソツなくこなすせいで
守備がメインになりつつある。
この打席はいつも使用するトップバランスのバットではなく グリップエンドが大きいテーパータイプのバットを手にしている。
「バット変えただけで打てるとは思えないんだが…」
「ここは黙って見てみよう」
中田は腕を組んでドカッと腰を下ろし
来栖のバッティングに期待する。
前の打席とは雰囲気が違う事に気づいた外崎は
初球 2球目とストレートを際どいコースに構え
ワンボール ワンストライクの並行カウント。
3球目はインコースへ食い込むカットボールだが
来栖は懐にボールを呼び寄せ こけしバットで上手くハードヒットした。
ガツンっ!!という打球音が響き ボールはライト線を破るフェア。
来栖は俊足を飛ばして一塁から二塁へ。
ライトを守る佐々木がクッションボールを捕って二塁へ送球。
来栖は悠々と間に合いセーフ。
ここで中田は代打を送る。
ネクストバッターズサークルには かつての三冠王財前がスタンバイしている。
【Glanz選手の交代をお知らせします。バッター滝沢に代わりまして、財前…背番号10】
榊GM曰く【傾奇者】と命名したシルバーアッシュの髪に左右色違いのカラコンを入れ 耳にはピアス ドクロのチョーカーを付け
シルバーアクセのブレスレットを身に付けた財前が颯爽と打席に向かう。
今年は主に指名打者や代打での出場だが
打率.282 本塁打10 出塁率.376 OPS.834と結果を残している。
数年前に手術をした網膜剥離の後遺症で守備は無理だが 卓越したバッティングは健在。
「よぉ、久しぶりだな…悪いが、初球はインコースやや高めのストレートを投げろってサインを出してくれよ」
「ハハハ、ホントに投げたら八百長として永久追放されるんですかね?」
互いに軽口を叩きながらも対決は始まっている。
(お望み通り、ややインハイのストレートを投げてやるから打ってみろ)
外崎はインハイを要求した。
畝は頷き セットポジションの体勢に入った。
二塁ランナー来栖は少し多めにリードをとっている。
畝はすかさず二塁へ牽制。
「セーフ!」
僅かに来栖の足が早かった。
もう一度セットポジションの体勢に入った。
今度はリードが小さい。
クイックモーションから初球を投げた。
「ゲッ、まさかのインハイかよっ!」
ボールはインコース高めだが
シュート気味に変化する142km/hのツーシームだ。
面食らった財前だが 来た球を打つのみという
シンプルなバッティングで上手く弾き返した。
「クソっ、やられたっ!」
快音が響き 打球はグーンと右中間へ。
センター城戸 ライト佐々木が打球を追うが
弾道は高く孤を描いてスタンドへ飛び込んだ。
「オッシャ、これで勝負ありだ!」
財前の第11号ツーランで勝負を決めた。
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