I Love Baseball 主砲の一振り 6

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7月 オールスターゲーム

願いも虚しく…

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オールスター2日目は試合だ。

初日はホームランダービーやストラックアウトといった余興的な要素だが 2日目は本番の戦いとなる。

戦いといっても オールスターゲームだからお祭り的な展開になるのだが それでも選手達は存分に己の持ち味をアピールして観客を魅了する。


先行ネプチューンリーグのオーダー

1 RF 国分 2(千葉ヤンキース)
2 DH 仙道 9(SAITAMA Glanz)
3 CF 吉川 3 (名古屋99ers)
4 3B 羽田 8(東北マーリンズ)
5 LF 森高 7(SAITAMA Glanz)
6 1B 結城 23(甲府ブレーブス)
7 C  外崎 27 (名古屋99ers)
8 SS 飛鳥 4(名古屋99ers)
9 2B 北斗 31(京都Super Phoenix)


P 天海 18(東北マーリンズ)


ネプチューンリーグの先発は昨年MVPの天海。


しかし 何かが物足りない。



それは球界の至宝 白石がスタメンに名を連ねていない事だ。


白石は昨日 上野監督とケガの具合で口論となり 球場を飛び出した。


若気の至りとは言え 売り言葉に買い言葉でカッとなりホームランダービーをボイコットしたのだが 後々になって冷静に考えれば 監督の言う事も一理あると思い
その夜謝罪の為に監督の部屋を訪れたのだが
監督はこれを拒否。


しかも白石に対して
「お前は明日のゲームはおろか、後半戦も下(二軍)で十分反省してろ!」
と捨て台詞を吐かれ門前払いされた。


一応今日はベンチ入りしているのだが 昨夜の様子では白石を出場させる気配は無さそうだ。




そして後攻アポロリーグのスタメン


1 CF 浅倉 8(東京KINGDOM )
2 RF 結城 1(山口Knights)
3 2B 鬼束 5(新潟パイレーツ)
4 DH スチュワート 25(山口Knights)
5 1B ロドリゲス 44(東京KINGDOM )
6 3B 棚橋 3(東京KINGDOM )
7 LF 陽凪 10(高松マリナーズ)
8  C 矢幡 27 (大阪ドルフィンズ)
9 SS 吉田 12(札幌ウォーリアーズ)

P ルーガー 34(琉球マシンガンズ)


アポロリーグは浅倉と結城の俊足コンビが1・2番に座り 鬼束 スチュワート ロドリゲスの破壊力抜群のクリーンアップで点をとるつもりだ。

先発は今年で来日7年目となるルーガー。


やや力は衰えたが 3種類のスライダーのキレは健在。



今年も防御率3.04 6勝2敗に奪三振はリーグトップの67個と優秀な成績を挙げている。




三塁側のネプチューンベンチでは背番号5のユニフォームに身を包んだ白石が隅っこでグラウンドの様子を漠然と見つめている。


「よぉ、元気が無いなぁ。スタメンじゃないから、ヤル気は出ないのか?」


「エッ…」


唐澤が隣に座った。


「ん?どうした?何だか、冴えない顔してるけど」


「い、いや…別に何でもないっす」


他所のチームの選手にこんな事言っても仕方ないと思ったのか 白石は言葉を濁した。


「そう言えば、昨日ホームランダービーの時に居なかったよな?何処行ってたんだ?」


「エッと…昨日はチョット腹の具合が悪くて」


「ウソつけ、腹の具合が悪いだけで最後までベンチに居ないなんて事があるかよ」


「いや、マジっす…」


「何かあったんだろ?」


唐澤は声を潜めて聞いてきた。


「イヤ、その…まぁ、なんて言うか…」


白石はそう言うと周辺をキョロキョロした。


聞かれちゃマズい事なのだろう。


「何だ、やっぱり何かあったのか」


「えぇ、実は…」


隠していてもいずれはバレるだろうと思い 昨日の出来事を端的に話した。





ゲームがスタートした。


アポロリーグ先発のルーガーは先頭バッターの国分をショートフライ 2番仙道をライトフライに打ち取りツーアウトを取った。

【3番センター吉川…背番号3 名古屋99ers 】


今年はネプチューンリーグのコーチ兼任として出場する吉川が打席に向かった。


オールスターの成績はここまで15打数6安打 うち1本がホームランで打点は16 盗塁も3個成功しており MVPを1回受賞している。




「マジかよ…」


「えぇ…どうやらそうみたいで」


唐澤は信じられないといった表情を浮かべる。


「ヨソのチームだから、あまり変な事言えないけど、上野さんって、監督やっちゃいけないようなタイプなんじゃないのか?」


「ん~、まぁ…これ以上言うのは差し控えますが、とにかくそういう事らしいです、ハイ」


「オレ、上野さんにお前を出すよう言ってみるよ」


「止めてください、オレの事なら大丈夫ですから」


唐澤を制止した。


「何でだよ、せっかくオールスターに出たのに、出場しないなんて、おかしいだろ」


「確かにそうですが、オレが悪いんですし、そうなるのも仕方ないかな、と」


唐澤は釈然としない様子だ。


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