I Love Baseball 主砲の一振り 6

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7月 オールスターゲーム

特別な休日 その2

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「いや~、美紗ちゃん悪いね!せっかくの夕飯時にお邪魔してご馳走になるなんて!」

中田宅のダイニングキッチンで榊の脳天気な声が響き渡る。

「いえいえ、大したお構いも出来ず申しわけありません!それに、こんなお高いお酒を持ってきて下さって…ありがとうございます」

手ぶらじゃなんだと思い 駅前の繁華街にある日本酒専門店で純米大吟醸酒の高いやつを購入してきた。


「手土産持ってきたのはいいけど、オレァ酒が飲めないんだぜぇ!」


中田は下戸でアルコールは一滴も受け付けない体質だ。

その反面 妻の美紗は無類の酒好きでかなりの酒豪でもある。

「あったりめーじゃん!中ちゃんよりも、美沙ちゃんにあげた方が良いと思って買ったんだよ」


テーブルには美沙が作った家庭的な手料理が所狭しと置かれている。


煮物や焼き魚に肉料理 漬け物まで全てが手の込んだ一品でしかも絶品。


「まぁ、嬉しい!とりあえず一杯どうぞ」


髪をアップにし 和風の顔立ちで着物が合う美沙が嬉しそうな表情で榊のグラスにビールを注いだ。


「いやぁ~、悪いね!しかし、中ちゃんが飲めないんじゃ、美沙ちゃん一人で飲んでもつまらないんじゃないの?」


「あら、そうなのよ!榊さんみたいに飲めればいいんだけど、こればっかりはねぇ?」


「悪かったな、下戸で!」


中田はふてくされた様な顔をしている。


「妬くな、妬くなw 飲み相手が欲しくなったら、いつでも呼んでちょうだいよ」


ワハハハと笑いながらビールをグイッと飲み干した。


「ところで、用があってウチに来たんだろ?」


「ん?いや、特に無いよ」


「えぇ、無いのかよ!」


ホントに用は無いみたいだ。


「あら、それじゃ私はちょっと部屋に引っ込んでましょうかしら」


「あぁ~、美沙ちゃんはココに居てくれなきゃ!ホラ、美沙ちゃんも飲んで飲んで!」


榊はビールを注いだ。


「あら、すいませんね…では、いただきます」


軽く会釈をすると 美味しそうにビールを飲んだ。


「イイねぇ、相変わらずの飲みっぷりだよ」


「はァ…美味しい!久しぶりに飲んだけど、やっぱりビールは美味しいわね」


「いやぁ、オレは美沙ちゃんが作った料理の方が美味いよ、ウン!」


これじゃどっちが夫婦か分からない。


「どうせ、今日は泊まるつもりで来たんだろ?メシ食ったらフロ入れよ」


「エッ、泊まってもいいの?」


「勿論ですよ、その方が落ち着いて飲めるでしょ?」


美沙も泊まるよう促す。


「そうか、悪いななんか…それじゃ、お言葉に甘えて泊まっちゃおうかな」


という事で榊の飲むペースが早い。




その間 榊と美沙は日本酒を飲みながら上機嫌になり
下戸の中田は酒の代わりにウーロン茶を飲みながら箸をつついた。



それから2時間後…


すっかり榊は出来上がり ヘベレケ状態になってしまった。


「んぁ~、中ちゃんっ!…オレはねぇ…★☆¥*&#$だよ、分かってんのか!」


「何言ってるか、全然分かんねぇよ!飲みすぎだっつーの!」


持参した一升瓶の中は殆ど残ってない。


「アラアラ、榊さんそろそろお布団に入った方がいいんじゃないですか?私お布団敷いてきますね」


飲んだ量は美沙の方が多い。

それでも全く崩れないというんだから 相当な酒豪だ。



「ん~、美沙ちゃん!オレはね、@&#*♀♂仝◆◇だっての!」


「おい、もうダメだコイツ!さっさと寝かした方がいいぞ」


というワケで 酔いつぶれた榊を無理矢理寝かしつけた。



「ったく…せっかくの休みだってのに、コイツのせいで大してゆっくり出来なかったじゃんかよ」


「まぁいいじゃないですか…それにしても、お酒弱いわね、榊さんは」


その後も美沙は一人で飲み続けた。
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