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5月・インターカンファレンス 交流戦
暑くて熱い戦い 2
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スイッチヒッターのルイスが右打席に入り 丹念に足元を固める。
マウンド上の猪木は昨年2.32で最優秀防御率を獲得。
猪木といえば やれ水分補給だの トイレに行くだの 明日の天気が気になると言ってしきりにタイムを掛けて相手をイライラさせるのが有名だが
140後半のストレートを武器に スライダー カーブ スクリュー チェンジアップを駆使して奪三振率の高い投手でもある。
「プレーボール!」
午後6時 主審の手が挙がり試合がスタートした。
すると 早速猪木が「タイム」と声を上げた。
「あのバカ!いきなりタイムかけるなっつーの!」
マスクを被る新垣が慌ててマウンドに駆け寄った。
「テメー、またくだらねぇ事でタイム掛けんじゃねぇよ!」
「違いますよ、スパイクの靴紐が切れたんですよ!」
視線を落とすと 右のスパイクの靴紐が切れていた。
「そんなのは、試合前に替えとけ!」
「今気がついたんですよ!」
「ったく、いい加減にしろ!」
猪木は一旦ベンチに下がって新しい靴紐を通した。
その間 新垣が主審に平謝りをしている。
「またやってやがるぞ、アイツ」
「ワザとじゃないって言ってるけど、絶対ワザとだろ」
「ワザとだろうが何だろうが、遅延行為には変わらない…」
「審判、あんな奴退場にしちゃえ!」
Glanzベンチからは猪木に対するヤジが飛び交う。
ようやく猪木が靴紐を交換してマウンドに戻った。
帽子を取って 四方に向かって頭を下げ サインを覗き込む。
今どき珍しいワインドアップからのモーションで第1球を投げた。
真ん中やや低めのストレートがズバッと決まった。
「ストライクワン!」
143km/hのストレートで先ずはストライクを先行。
ルイスは低いと思ったのか 首を傾げている。
2球目はインコースへのスライダーをルイスがカットしてファール。
ツーストライクと追い込んだ。
3球目アウトコースへ沈むスクリューを見送りワンボール。
4球目 インコース低めへ勝負にいったクロスファイアボールを見送った。
「ボールツー!」
「エッ、ウソだ!」
新垣が思わず後ろを振り返る。
「際どいけど僅かに低い」
主審は毅然とした態度で言い返す。
これ以上抗議したら退場になると思い 仕方なくだが堪えて猪木にボールを返球する。
カウントはツーナッシングとなった。
この判定が尾を引いたのか ルイスをフルカウントからの6球目に投じたスライダーが外れてフォアボール。
【2番セカンド 筧 背番号24】
同じくスイッチヒッターの筧が右打席に入った。
打率は.264だが 2番に入ってからは出塁率が4割を超える高さでテーブルセッターとしての役割を果たしている。
その筧は打席に入ったかと思えば のっけから
「タイム!」と掛けた。
猪木のお株を奪うタイムで筧は一旦ベンチに引っ込んだ。
「何だ、何やってんだ?」
マウンド上の猪木は出鼻をくじかれたようで少し苛立った表情を浮かべる。
「遅せぇな、ったく…こんな時にタイム掛けてんじゃねぇよ!」
自分のことを棚に上げながら タイムを掛けられると苛つくとは かなり自己中なヤツだ。
「早くしろ、何やってんだ!」
主審に急かされ 筧は申し訳ないというジェスチャーをして打席に入った。
「すいません、スマホの電池が無くなったので、充電しに行ってました!」
「ふざけんなよ、そんな事でタイム掛けんじゃねぇよ!」
猪木が烈火の如く怒り狂うが
「お前が言うな、バカ!」と敵味方から突っ込まれ
引きつった顔をしている。
「おい、猪木!こうやってタイム掛けられたら、イヤだろ?これに懲りて、無意味なタイム掛けんじゃないぞ!」
「くっ、くそっ…」
今まで散々タイムを掛けて相手を苛つかせた猪木だが
逆にやられて心理的ダメージを負った。
そのせいで 猪木は立ち上がりの乱調で初回に5点を奪われ勝負あり。
試合は6対2でGlanzの勝利。
2戦目も4対2でGlanzが連勝して本拠地へと戻った。
マウンド上の猪木は昨年2.32で最優秀防御率を獲得。
猪木といえば やれ水分補給だの トイレに行くだの 明日の天気が気になると言ってしきりにタイムを掛けて相手をイライラさせるのが有名だが
140後半のストレートを武器に スライダー カーブ スクリュー チェンジアップを駆使して奪三振率の高い投手でもある。
「プレーボール!」
午後6時 主審の手が挙がり試合がスタートした。
すると 早速猪木が「タイム」と声を上げた。
「あのバカ!いきなりタイムかけるなっつーの!」
マスクを被る新垣が慌ててマウンドに駆け寄った。
「テメー、またくだらねぇ事でタイム掛けんじゃねぇよ!」
「違いますよ、スパイクの靴紐が切れたんですよ!」
視線を落とすと 右のスパイクの靴紐が切れていた。
「そんなのは、試合前に替えとけ!」
「今気がついたんですよ!」
「ったく、いい加減にしろ!」
猪木は一旦ベンチに下がって新しい靴紐を通した。
その間 新垣が主審に平謝りをしている。
「またやってやがるぞ、アイツ」
「ワザとじゃないって言ってるけど、絶対ワザとだろ」
「ワザとだろうが何だろうが、遅延行為には変わらない…」
「審判、あんな奴退場にしちゃえ!」
Glanzベンチからは猪木に対するヤジが飛び交う。
ようやく猪木が靴紐を交換してマウンドに戻った。
帽子を取って 四方に向かって頭を下げ サインを覗き込む。
今どき珍しいワインドアップからのモーションで第1球を投げた。
真ん中やや低めのストレートがズバッと決まった。
「ストライクワン!」
143km/hのストレートで先ずはストライクを先行。
ルイスは低いと思ったのか 首を傾げている。
2球目はインコースへのスライダーをルイスがカットしてファール。
ツーストライクと追い込んだ。
3球目アウトコースへ沈むスクリューを見送りワンボール。
4球目 インコース低めへ勝負にいったクロスファイアボールを見送った。
「ボールツー!」
「エッ、ウソだ!」
新垣が思わず後ろを振り返る。
「際どいけど僅かに低い」
主審は毅然とした態度で言い返す。
これ以上抗議したら退場になると思い 仕方なくだが堪えて猪木にボールを返球する。
カウントはツーナッシングとなった。
この判定が尾を引いたのか ルイスをフルカウントからの6球目に投じたスライダーが外れてフォアボール。
【2番セカンド 筧 背番号24】
同じくスイッチヒッターの筧が右打席に入った。
打率は.264だが 2番に入ってからは出塁率が4割を超える高さでテーブルセッターとしての役割を果たしている。
その筧は打席に入ったかと思えば のっけから
「タイム!」と掛けた。
猪木のお株を奪うタイムで筧は一旦ベンチに引っ込んだ。
「何だ、何やってんだ?」
マウンド上の猪木は出鼻をくじかれたようで少し苛立った表情を浮かべる。
「遅せぇな、ったく…こんな時にタイム掛けてんじゃねぇよ!」
自分のことを棚に上げながら タイムを掛けられると苛つくとは かなり自己中なヤツだ。
「早くしろ、何やってんだ!」
主審に急かされ 筧は申し訳ないというジェスチャーをして打席に入った。
「すいません、スマホの電池が無くなったので、充電しに行ってました!」
「ふざけんなよ、そんな事でタイム掛けんじゃねぇよ!」
猪木が烈火の如く怒り狂うが
「お前が言うな、バカ!」と敵味方から突っ込まれ
引きつった顔をしている。
「おい、猪木!こうやってタイム掛けられたら、イヤだろ?これに懲りて、無意味なタイム掛けんじゃないぞ!」
「くっ、くそっ…」
今まで散々タイムを掛けて相手を苛つかせた猪木だが
逆にやられて心理的ダメージを負った。
そのせいで 猪木は立ち上がりの乱調で初回に5点を奪われ勝負あり。
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2戦目も4対2でGlanzが連勝して本拠地へと戻った。
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