I Love Baseball 主砲の一振り 6

5月・インターカンファレンス 交流戦

交流戦突入

5月中旬。

プロ野球は交流戦がスタートした。


アポロリーグとネプチューンリーグのチームが激突するシリーズ。


交流戦を制するのが優勝への近道とも言われるほど
このシリーズはかなり重要でもある。


Glanzの交流戦初戦は今年からアポロリーグに移った球界の盟主 東京KINGDOM。


リーグ移設に伴い 球団名をキングダムからKINGDOMと英語表示に変更。

現在アポロリーグ東地区の首位に君臨する程の勢いだ。


決戦の舞台はKINGDOMの本拠地 東京ボールパーク。


Glanzはこの日に備え ファームから左腕の18才 伊達翔吾と金銭トレードで獲得したジャーメイン・ルイスを一軍昇格させた。


先発はGlanzが中6日で現在3勝2敗の桐生。

対するKINGDOMは ローテーション2番手の左腕 鈴本。



Glanzのスタメンは


1 RF ルイス 39
2 2B 筧          24
3 1B 徳川      23
4 CF 森高       7
5 3B ロビンソン 2
6 DH 唐澤      1
7 SS  石川      8
8 C    毒島      6
9 LF  武藤      5


P 桐生            21



この日中田は打順を変更させ ルイス 筧と出塁率の高いスイッチヒッターを1番2番に起用。


まだ左肩に不安の残る唐澤は指名打者で出場。


クリーンアップの3人よりも 下位打線の出来如何でチームが左右されると言っても過言ではない。



KINGDOMのスタメン


1 RF 稲葉 9
2 SS 飯田 0
3 CF 浅倉 8
4 DH ロドリゲス 44
5 3B 棚橋 3
6 1B ギーエン 50
7  C  小室 5
8 2B 花田 30
9 LF 仲村  10


P 鈴本 

KINGDOMはリーグ屈指のクリーンアップ
3番浅倉 4番ロドリゲス 5番棚橋の強力打線で打ちまくる。


メンバーも徐々に世代交代の時期に差し掛かり プレイングマネージャーの翔田翼は積極的に若手を起用する。


若手が勇猛果敢に攻めて クリーンアップの3人が打ちまくり 最後は去年から抑えに転向した翔田が試合を締め括るのが必勝パターンだ。





試合前 主砲のロドリゲスがGlanzベンチを訪れ 中田の姿を見つけると大喜びで駆け寄った。


「oh、中田サーン！久しブリ！元気？」


「おー、ビッグマン！久しぶりだな、おいっ！」



ビッグマンとはロドリゲスのニックネームでもあり
KINGDOMはビッグマンTシャツやメガホン ぬいぐるみ等のキャラクターグッズを販売している。


196cm103kgの褐色の巨体が176cmの中田を包み込むようにハグをした。


「中田サーン、会いたかったデース！」


口ひげをはやし、クリクリっとした大きな瞳に人懐っこい顔で陽気なドミニカンは再会を喜んだ。


ロドリゲスは来日9年目のベテラン助っ人外国人。


今年外国人枠から外れ FA権も取得して日本人選手と同じ扱いとなる。


それを機に 帰化申請を行っている最中だとか。


「オレも会いたかったよ、カルロス！」


「今日ヨロシクね！」


「あいよ、ヨロシクな！」

ロドリゲスはどういうワケか中田を気に入り 中田も大きい身体を揺すって懐いてくるロドリゲスを可愛がった。



そのロドリゲスは笑顔で握手をすると ヘルメットを取ってナインにお辞儀してから自軍ベンチに戻った。



「憎めないヤツなんだけど、要注意なヤツでもあるんだよなぁ」


その言葉の通り ロドリゲスの通算成績は打率.307 本塁打278 打点735 出塁率.384 長打率.613 OPS.997

右バッターでこの打率はかなり優秀で 歴代最高の助っ人外国人との呼び声高い。



「…」


陽気なロドリゲスとは対照的に ベンチで静かに聖書を読んでいたルイスが立ち上がり 十字を切って神に祈りを捧げた。



「色んなタイプの外人がいるもんだなぁ」



中田はつくづく思った。