I Love Baseball 主砲の一振り 6

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5月・インターカンファレンス 交流戦

金の卵達

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伊達 翔吾(だてしょうご)

昨年ドラフト1位でGlanzに入団した 18才の左腕投手。


ドラフトの目玉だった 尾崎 雄太のハズレ1位で埼玉県立越谷西高校出身。

甲子園の経験は無いが 3年生の夏の予選大会では決勝まで1人で投げ抜き 58奪三振という記録を持つ。


コントロールは普通よりもやや下だが ノビのあるストレートと落差のあるカーブと鋭角に曲がるカットボールを武器に左バッターの被打率は.138と左キラーとして期待がかかる。


186cmという長身に加え 長いリーチをムチのようにしならせ  腕が遅れて出てくるうえに球持ちも良い。


バッターはタイミングが取りづらく 球持ちが良いと球速も上がって 変化球のキレも良い。



即戦力とはいかないものの 3年後の左腕エースとして期待を込めて 背番号は28を用意した。


28は左腕エースの番号でもあり 伊達はその素質が十分にある。


高卒ルーキーは1年目に基礎体力を上げる練習をメインに行うが 井原二軍監督は伊達の体力ならばすぐにでも一軍で通用出来るレベルだと榊に報告した。



「伊達ねぇ…まだ18才だろ?上で投げるにはチョット早すぎじゃないのか」


「でも、井原がそう言ったんだろ?アイツがウソを言うワケないだろ」


井原は今年から二軍監督に就任したばかりで
現役時代は勅使川原と同じ千葉ヤンキースで控えのキャッチャー。


勅使川原がマウンドに上がるとマスクを被る 勅使川原専属のキャッチャーとも言える存在だった。



「伊達を上げるとなれば…キッド(木戸)はファーム行きってワケか」


「いや、それはあまりにも勿体ない」


勅使川原が待ったをかけた。


「キッドは勝ち星に恵まれてないだけで、投球内容は決して悪くない」


未だ1勝もしていないが 木戸の奪三振は49個で現在リーグトップ。


三振を獲れるピッチングを持ちながら ファームに落とすのは如何なものか と勅使川原が言う。


「じゃあ、代わりに誰を落とすよ?」


「流川だろうな」


「流川?」


中継ぎピッチャーの流川だ。


「今年のアイツは球のノビが今ひとつだ…去年の疲れが取れてないんだろうが、あんな球じゃリリーフはおろか、敗戦処理にも使えない」


今年の流川は12試合に登板。

0勝1敗3ホールドで防御率が5.27と中継ぎにしては芳しくない成績。


「少し下で調整させた方がいいかもな」


「…そうか。じゃあ、伊達を上げて流川を落とす…か。
ピッチャーはそれでいいかもしれないが、バッターはどうすんだよ?トレードなんて言うけど、そんな選手が他球団にいるのかよ?」



「それがいるんだよなぁ」


中田は隣の自販機で缶コーヒーを買いながら答える。



「いるのかよ?」


「だって、さっきはトレードなんてムリだろって言ってたじゃねぇか」



「いや、いるにはいるんだよ」


ブラックのコーヒーをグビグビと流し込む。


「どんなヤツだよ?」


「ホラ、ニックスの外野でヒョロっとした外人いるだろ?」


「ヒョロっと…って、あの黒人か?」


「エッ、どんなヤツだ?」


勿論 榊は知らなかった。


「ルイスだろ?」


「そうそう、あのルイス」


中田の言うルイスとは ジャーメイン・ルイス外野手。


来日3年目となる 強肩が売りの助っ人外国人選手。


今年は新外国人マーク・ジェイソンにポジションを奪われ ファームで黙々と練習に励む。


物静かな人物で ベンチでは聖書を読むというクリスチャンでもある。


「ルイスって、そんなにいい成績じゃないだろ」


昨年は96試合に出場 打率.271 本塁打18 打点68という成績。


「出塁率はリーグで2位だぜ」


中田はスマホでルイスのWikipediaにある詳細情報を見せた。


そこにはルイスの成績がこと細かく記載されていた。


「出塁率が.407でOPSが.857…しかも、3塁打はリーグトップじゃねぇか!」


11本の3塁打はアポロリーグトップ。

おまけに四球は107個とリーグ4位。

96試合で107個の四球はかなり優秀だ。


「勿体ねぇな、こんな選手を埋もれたままにするのは」


「でも、おいそれとトレードに応じるかな」


「難しいところだが、そこを何とかするのが我々の仕事なんじゃないのか」



過去には鬼束をかなり強引な方法で獲得した事もあって ニックスサイドは警戒を強めている可能性が高い。


「ニックスのGMって誰がやってんだ?」



「ニックスは監督の山田が兼任でGMやってんだよ」


どうやら山田兼任監督と接触するみたいだ。
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