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3月・4月 ペナントレース開幕
曲者の後継者
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ノーアウトランナー一塁 二塁のチャンス。
【9番セカンド筧】
第1打席はショートへの痛烈なライナーで惜しくもアウト。
第2打席はレフトフライでまだノーヒットだが
1番タイミングが合っている。
かつてはショートのレギュラーだったが
石川の台頭により 内野ならどこでも守れるユーティリティープレイヤーとして縁の下の力持ち的なポジションをこなしている。
今年はセカンドが主なポジションになる予定だが
南野と共にツープラトンで守る構想もあるみたいだ。
スイッチヒッターの筧が左打席に入り 屈伸を数回行ってからバットを短く持った。
(この打席は送ってくるかも…)
ショートを守る鷹村が内野陣に前進するよう支持する。
しかも セカンドの北斗が一二塁間の位置に 鷹村はセカンドベース上に サードの兼本がショートの守備位置という 極端なシフトを敷いた。
そうなると 徹底したインコース攻めになるのだが
小柄で非力な筧がどういう対応をするのか。
(タイミングが合ってるとは言え、オレの球はまだ走ってる…非力なアイツが内野を越える打球は打てっこない)
齋藤は全球インコースで勝負するつもりだ。
一塁ランナー藤村 二塁ランナー財前のリードはそれ程大きくない。
齋藤は牽制をする様子もない。
ただ一点 丸藤の構えるミットだけを見て初球を投げた。
インコースやや低めへ142km/hのストレート。
筧は見送る。
「ストライクワン!」
「…今のを見送るのかよ」
齋藤は何かありそうだと感じた。
打席の筧は送る気配はない。
だが何かやってきそうな雰囲気だ。
Glanzのベンチからはサインは出てない。
中田はドッシリと腕を組んで戦況を見ている。
「ジタバタしてもしゃーねぇ…ここはアイツに任せるしかないだろ」
「お前と同じで曲者だからな」
中田は現役時代 【曲者】または【ゲームメイカー】とも呼ばれていた。
ツーストライクからでもバントをしてみたり とんでもないクソボールを曲芸の如く打ってみたりと とにかく相手ピッチャーからは得体の知れないバッターでもあった。
中田のバットからチャンスが生まれ それをきっかけに得点が入ってくる。
典型的な2番バッターだが ゲームメイクに関しては右に出る者はいなかった。
そんな中田が筧に対して全幅の信頼を寄せている。
齋藤はセットポジションの体勢に入る。
チラりと一塁ランナー藤村を見る。
リードは大きくない。
二塁ランナー財前のリードは少し大きい。
(こんな場面で走ってくるハズが無い)
クイックモーションから2球目を投げた。
再びインコース 今度は高めだ。
「エッ…」
筧は真正面を向いて振り下ろす様にバットを強振した。
ガコォン!という音と共に打球は左へスライスする。
レフト飯伏が懸命にボールを追いかけてグラブを差し出すが ボールはグラブを掠めてレフト線ギリギリにポトリと落ちた。
「フェア!」
二塁ランナー財前は一気にホームへ。
一塁ランナー藤村も一気に三塁へ突入。
打った筧は二塁へ。
「セーフ!」
「よぉし!ようやく1点獲ったぞ!」
ようやく待望の先制点が入った。
「マジかよ…まさか、あんなスイングするとは」
齋藤は筧の大根斬り打法に呆然としている。
「これで勝負あったな」
ベンチで中田はほくそ笑む。
ここでSuper Phoenixベンチは齋藤を諦め 次のピッチャーを告げた。
【Super Phoenix選手の交代をお知らせします…ピッチャー齋藤に代わりまして、君塚…ピッチャー君塚。背番号43】
2番手ピッチャーは左腕の君塚がコールされた。
8回の表 ノーアウトランナー二塁三塁とチャンスはまだまだ続く。
【9番セカンド筧】
第1打席はショートへの痛烈なライナーで惜しくもアウト。
第2打席はレフトフライでまだノーヒットだが
1番タイミングが合っている。
かつてはショートのレギュラーだったが
石川の台頭により 内野ならどこでも守れるユーティリティープレイヤーとして縁の下の力持ち的なポジションをこなしている。
今年はセカンドが主なポジションになる予定だが
南野と共にツープラトンで守る構想もあるみたいだ。
スイッチヒッターの筧が左打席に入り 屈伸を数回行ってからバットを短く持った。
(この打席は送ってくるかも…)
ショートを守る鷹村が内野陣に前進するよう支持する。
しかも セカンドの北斗が一二塁間の位置に 鷹村はセカンドベース上に サードの兼本がショートの守備位置という 極端なシフトを敷いた。
そうなると 徹底したインコース攻めになるのだが
小柄で非力な筧がどういう対応をするのか。
(タイミングが合ってるとは言え、オレの球はまだ走ってる…非力なアイツが内野を越える打球は打てっこない)
齋藤は全球インコースで勝負するつもりだ。
一塁ランナー藤村 二塁ランナー財前のリードはそれ程大きくない。
齋藤は牽制をする様子もない。
ただ一点 丸藤の構えるミットだけを見て初球を投げた。
インコースやや低めへ142km/hのストレート。
筧は見送る。
「ストライクワン!」
「…今のを見送るのかよ」
齋藤は何かありそうだと感じた。
打席の筧は送る気配はない。
だが何かやってきそうな雰囲気だ。
Glanzのベンチからはサインは出てない。
中田はドッシリと腕を組んで戦況を見ている。
「ジタバタしてもしゃーねぇ…ここはアイツに任せるしかないだろ」
「お前と同じで曲者だからな」
中田は現役時代 【曲者】または【ゲームメイカー】とも呼ばれていた。
ツーストライクからでもバントをしてみたり とんでもないクソボールを曲芸の如く打ってみたりと とにかく相手ピッチャーからは得体の知れないバッターでもあった。
中田のバットからチャンスが生まれ それをきっかけに得点が入ってくる。
典型的な2番バッターだが ゲームメイクに関しては右に出る者はいなかった。
そんな中田が筧に対して全幅の信頼を寄せている。
齋藤はセットポジションの体勢に入る。
チラりと一塁ランナー藤村を見る。
リードは大きくない。
二塁ランナー財前のリードは少し大きい。
(こんな場面で走ってくるハズが無い)
クイックモーションから2球目を投げた。
再びインコース 今度は高めだ。
「エッ…」
筧は真正面を向いて振り下ろす様にバットを強振した。
ガコォン!という音と共に打球は左へスライスする。
レフト飯伏が懸命にボールを追いかけてグラブを差し出すが ボールはグラブを掠めてレフト線ギリギリにポトリと落ちた。
「フェア!」
二塁ランナー財前は一気にホームへ。
一塁ランナー藤村も一気に三塁へ突入。
打った筧は二塁へ。
「セーフ!」
「よぉし!ようやく1点獲ったぞ!」
ようやく待望の先制点が入った。
「マジかよ…まさか、あんなスイングするとは」
齋藤は筧の大根斬り打法に呆然としている。
「これで勝負あったな」
ベンチで中田はほくそ笑む。
ここでSuper Phoenixベンチは齋藤を諦め 次のピッチャーを告げた。
【Super Phoenix選手の交代をお知らせします…ピッチャー齋藤に代わりまして、君塚…ピッチャー君塚。背番号43】
2番手ピッチャーは左腕の君塚がコールされた。
8回の表 ノーアウトランナー二塁三塁とチャンスはまだまだ続く。
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