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3月・4月 ペナントレース開幕
プレイボール
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開幕戦というのは試合が始まるまでセレモニーやら何やらとあって
普段よりも長い。
まぁ それは開幕戦だから仕方ないのだが。
国歌独唱は京都という事もあって 京都在住のロック歌手が独特の巻き舌で君が代を熱唱。
両チームの監督コーチを含む全員がグラウンドに立ち
ある者は帽子を手に胸に当てて君が代を歌い
またある者は口を真一文字に結んで開幕戦の緊張感を一身に感じる。
「ったく…試合が始まるまで長ぇんだよ。
さっさと試合始めろってんだ」
「仕方ねぇだろ、開幕戦ってのは毎年こんなもんだろ」
中田はこういった雰囲気が大の苦手だ。
「そうだけどよぉ、苦手なんだよこういう雰囲気は」
「文句言うな、そんな事より今日は絶対に勝つぞ」
隣にいる勅使川原の頭の中は試合のシミュレーションを何度も行っている。
国歌独唱が終わり Super Phoenixの選手が紹介され守備につく。
最後に開幕投手の齋藤がアナウンスされ ベンチからゆっくりとマウンドへ向かった。
初の開幕投手とあって 緊張の面持ちでマウンドに立つとマスクを被る丸藤とサインの確認をする。
丸藤が本塁へ戻ると 一塁側Super Phoenixのベンチからは始球式の大役を任せられた関西のお笑い芸人が躓くというボケをかましながら マウンドに駆け寄る。
Super Phoenixのユニフォームを身に纏い 四方に頭を下げると 振りかぶってボールを投げた。
緩い山なりのボールは左打席に立つ武藤の足元へワンバンとなった。
武藤が空振りをすると お笑い芸人は再び四方に頭を下げながらベンチに引っ込んだ。
【1回の表 SAITAMA Glanzの攻撃は…1番ライト武藤。背番号5】
改めて武藤がコールされ 打席を外して二度 三度と屈伸をしてから素振りをした。
開幕戦という独特の雰囲気のせいか やや緊張気味の様子。
武藤だけではなく 守備についているSuper Phoenixの選手たちも緊張気味で動きが硬い。
(初球狙ってみるかな…)
武藤は初球狙いを考えている。
齋藤は開幕戦の第1球はストレートでストライクを取りにくるだろうと読んだ。
【プレイボール!】
主審の手が上がり 今年のペナントレースがスタートした。
マウンド上の齋藤は険しい表情でサインを出す。
丸藤は正捕手だが リードが全く出来ない。
キャッチャーでありながらリードはピッチャー任せという 何とも無責任な存在だが
その分 キャッチングや肩でカバーするというスタイルでSuper Phoenixの投手陣を支える。
(ピッチャーが出すサインとなれば、初球はストレートしかないだろ)
そう思った武藤はバットをグリップを指一本分余らせ短く持った。
左膝を胸まで高く上げ ダイナミックなフォームで第1球を投げた。
「…っ!」
しかし 齋藤の投じたボールはストレートではなく
タイミングを上手く外したチェンジアップだった。
武藤のバットが空を切り 嘲笑うかのようにボールがミットに吸い込まれていった。
「ストライクワン!」
「クソっ…初球ストレートだと思ったのに」
タイミングを外され 豪快に空振りを喫した武藤は耳まで真っ赤になり 文字通り赤っ恥をかいた。
「フフ…そのぐらいは分かるんだよ」
齋藤は武藤の裏をかくピッチングで出鼻をくじいた。
こうなると武藤は冷静さを失ったままだ。
そんな相手にストライクを投げる必要も無く 最後はインローに沈むボール球のスライダーに手を出しファーストゴロに倒れた。
普段よりも長い。
まぁ それは開幕戦だから仕方ないのだが。
国歌独唱は京都という事もあって 京都在住のロック歌手が独特の巻き舌で君が代を熱唱。
両チームの監督コーチを含む全員がグラウンドに立ち
ある者は帽子を手に胸に当てて君が代を歌い
またある者は口を真一文字に結んで開幕戦の緊張感を一身に感じる。
「ったく…試合が始まるまで長ぇんだよ。
さっさと試合始めろってんだ」
「仕方ねぇだろ、開幕戦ってのは毎年こんなもんだろ」
中田はこういった雰囲気が大の苦手だ。
「そうだけどよぉ、苦手なんだよこういう雰囲気は」
「文句言うな、そんな事より今日は絶対に勝つぞ」
隣にいる勅使川原の頭の中は試合のシミュレーションを何度も行っている。
国歌独唱が終わり Super Phoenixの選手が紹介され守備につく。
最後に開幕投手の齋藤がアナウンスされ ベンチからゆっくりとマウンドへ向かった。
初の開幕投手とあって 緊張の面持ちでマウンドに立つとマスクを被る丸藤とサインの確認をする。
丸藤が本塁へ戻ると 一塁側Super Phoenixのベンチからは始球式の大役を任せられた関西のお笑い芸人が躓くというボケをかましながら マウンドに駆け寄る。
Super Phoenixのユニフォームを身に纏い 四方に頭を下げると 振りかぶってボールを投げた。
緩い山なりのボールは左打席に立つ武藤の足元へワンバンとなった。
武藤が空振りをすると お笑い芸人は再び四方に頭を下げながらベンチに引っ込んだ。
【1回の表 SAITAMA Glanzの攻撃は…1番ライト武藤。背番号5】
改めて武藤がコールされ 打席を外して二度 三度と屈伸をしてから素振りをした。
開幕戦という独特の雰囲気のせいか やや緊張気味の様子。
武藤だけではなく 守備についているSuper Phoenixの選手たちも緊張気味で動きが硬い。
(初球狙ってみるかな…)
武藤は初球狙いを考えている。
齋藤は開幕戦の第1球はストレートでストライクを取りにくるだろうと読んだ。
【プレイボール!】
主審の手が上がり 今年のペナントレースがスタートした。
マウンド上の齋藤は険しい表情でサインを出す。
丸藤は正捕手だが リードが全く出来ない。
キャッチャーでありながらリードはピッチャー任せという 何とも無責任な存在だが
その分 キャッチングや肩でカバーするというスタイルでSuper Phoenixの投手陣を支える。
(ピッチャーが出すサインとなれば、初球はストレートしかないだろ)
そう思った武藤はバットをグリップを指一本分余らせ短く持った。
左膝を胸まで高く上げ ダイナミックなフォームで第1球を投げた。
「…っ!」
しかし 齋藤の投じたボールはストレートではなく
タイミングを上手く外したチェンジアップだった。
武藤のバットが空を切り 嘲笑うかのようにボールがミットに吸い込まれていった。
「ストライクワン!」
「クソっ…初球ストレートだと思ったのに」
タイミングを外され 豪快に空振りを喫した武藤は耳まで真っ赤になり 文字通り赤っ恥をかいた。
「フフ…そのぐらいは分かるんだよ」
齋藤は武藤の裏をかくピッチングで出鼻をくじいた。
こうなると武藤は冷静さを失ったままだ。
そんな相手にストライクを投げる必要も無く 最後はインローに沈むボール球のスライダーに手を出しファーストゴロに倒れた。
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