仲村慶彦の憂鬱な日々 社会人編

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どうやったら卒業できるか

ホームランだ!

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何が悲しくて、飲んだ後にバッティングセンターに行かなきゃならないんだ。


飲んだ後にバット振ってられっかよ。


沙織はジャケットを脱ぎ、120㎞のバッティングゲージに入ると、右打席でバットを構えた。


バッティングマシーンはプロのピッチャーが投球フォームをスクリーンに映し出していた。


カーーン!

沙織は上手くバットを振り抜く。

スゲエ!
女で120㎞の球打てるなんて、そうそういないぞ。

フォームがサマになってる。


野球経験者?

しかし、あの短めのスカートでよく打てるもんだ。

それにしても…いいケツしてるな!
やっぱスタイルいいな、沙織はwww

ホームランは打てなかったが、全球ヒット性の当たりだ。


「スゲエ!高橋さん野球やってたんですか?」

「うん、ソフトボールだけどね。これでもショート守ってたのよ」

ソフトボール経験者か、どおりで上手いと思った。


「仲村君も打ってみなよ。スカッとするから」


「お、オレすか…」

「うん、見てみたいな、仲村君が打つ姿」

かつてオレは小学生の頃、少年野球チームに所属していた。

ポジションはセカンド。

でも、バット持つの何年ぶりだろ。


上手く打てればいいんだが、果たしてどうか。


「仲村君、野球の経験はあんの?」


「ハイ、小学生の時に少年野球チームに入ってました」


「じゃあ、大丈夫ね。ほら、早く打って」

オレは100㎞の左打席専用のゲージに入った。


沙織が120 km/hで、オレは100 km/h…

何年かぶりだし、初めはここで打ってみよう。


「へぇ~、左バッターなんだ」

そう、オレはいっちょ前に右投げ左打ちだ。

小学校卒業して以来、バットを持った事がないから打てるかな。



そう言えば、少年野球チームの監督に【オマエは後ろ足に重心がかかり過ぎるからアッパースイングになるんだ】って言われた事を思い出した。



あの頃、素振りばかりやらされたな…

だから中学入ったら野球止めたんだっけ。


何だか…後ろの視線が気になる。

沙織がオレのバッティングに注目してやがる。

空振りしたら恥ずかしいなぁ~。

うぉっ、きた!

カーーン!

当たった。

しかし、ボテボテのゴロだ…

何か、球の出所が判りにくいな。
スクリーンのピッチャーが投げると共に球が出てくるんだが、タイミングが掴めない。

2球目。

ブーーン!

恥ずかしい、空振りした。
沙織は?


思わず後ろを見た。

くそっ、ニヤニヤ笑ってやがる。

よくこんな球打てたよな…

タイミングだ、タイミングを掴もう。


ボールが来た、オレはバットを合わせた。

コンッ!

「www何でバントしてんのよwww」

沙織が腹抱えて笑ってやがる。


タイミングを掴むにはバントが一番なんだよ。


次もバントを続けた。

これでタイミングは掴めた。

次の球からフルスイングだ。

マシンがボールを投げた。

ストレートだ、タイミングを合わせフルスイング!

カーーーーン!

おっ、いい当たり!

バサッ!

エッ!今、的に当たったよな?
ホームランだ、ホームラン!

「スッゴーい、ホームランだよ。今の凄くいいバッティングだったよ!」

「やったー、ホームランだ!」

思わずバンザイをした。

やったーーーっ!

ホームランを打ったオレは調子に乗った。

次はこうだ!

…コンッ!

「だから、何でまたバントなのよwww」

沙織が爆笑していた。

何故かホームランを打った後にバントしてみたくなった。

結局ホームランはこの一本のみで、後はヒット性の当たりだった。

ホームラン賞はスタンプを押してもらい、スタンプ10回で景品が貰えるらしい。

「スゴいじゃん、ホームランなんて!ワタシなんか、まだ一回も打った事ないのに…仲村君、何か持ってそうかもね」

「え、持ってる?」

「うん。何か、運もそうだけど、本来の力というか。
そんな感じがする」


持ってるねえ。

確かにここまで童貞なのは、ある意味持ってるかもな。

そんな運なんかいらないけどな…

その後もオレたちは打ちまくり、帰った頃は握力がなくなる程、バットを振った。


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