169 / 189
顔を変えた過去
ターゲット変更
しおりを挟む
しばらくの間、ナツは周囲をくまなくチェックしながら清掃をしていたが、これといった動きはなく、数日が過ぎた。
達也は沢渡をチェックしろと言ったが、いつも送迎車に乗って帰宅するので、中々尻尾を出さずにいた。
(もしかしたら、あの人の単なる思い込みでは?)
ナツに疑問が生じた。
達也は自分が消されると言った。
だが、社内では全くと言っていいほど動きはなく、沢渡も何事もなく、業務をこなしていた。
「もしもし…全く動きが無いけど、ホントにあの人が要注意人物なの?」
【…全く動きは無しか。いや、そんな事はないはずだ。
ナツ、あの男の車の中に、盗聴器を仕掛ける事は出来るか?】
「無理よ!どうやって、車の中に入っていくのよ…」
【んー、そうか難しいよな。いや、待てよ。ナツ、沢渡はいつも、何時頃に退社するんだ?】
「えーっと…確か、五時半から六時頃には帰るみたいだけど…」
【そうか。何か他に方法はないかな…】
「ねぇ…もしかしたら、あなたの思い込みなんじゃないの?とてもあなたを消すなんて、いう風には見えないんだけど」
【それは表向きの顔だ。裏ではヤクザと繋がってる。ヤクザ…?そうか、思い付いたぞ!】
「…何を?」
【ナツ、場所を教えるから、そこにも盗聴器を仕掛けてもらえないだろうか?】
「まさか、ヤクザの事務所?そんな事したら、私が殺されるわよ!」
【いや、ヤクザじゃない!弁護士の事務所だ…】
「弁護士?」
【そうだ!ヤクザ相手に、法外な金額をふっかけるブラックな弁護士だ】
「どうやって?」
【そうだな…表向きは弁護士の仕事だから、何か法律に関する事、離婚だとか、借金による債務整理とか、自己破産について聞いてみるってのはどうだろう?】
「…何か私、もうスパイしてる意味無いんじゃない?あなた、被害妄想なんかじゃないの?何でわざわざ顔変えて、海外にまで行くの?」
【被害妄想なんかじゃねえんだよ!間違いなくヤツはオレを消す!必ず消すだろう、アイツは】
「でも、その弁護士とあの人がどんな関係であなたが消されるの?私には何が何だか…」
【…参ったな…他にやり方はないものか…】
「ねぇ、もう日本に帰ってきたら?あまりにも無意味な事に思えてくるんだけど…」
達也の言う通り沢渡をマークしたが、何一つおかしいところは無い。
こんな事続けて、一体何になると言うのだ?
達也に対する不信感が、沸々と湧いてきた。
【オレを信じろ、ナツ!アイツは必ず尻尾出す!
…そうか、何も沢渡じゃなくてもいいんだ。他のヤツをマークすりゃいいんだ】
「今度は誰?また空振りに終わるんじゃないの?」
【そんな事はない!沢渡に常にくっついてるヤツ、常務の中島だ!アイツは口が軽い。
ナツ、沢渡にいつもくっついてる、背の小さい中年がいるだろ?】
ナツは昼間の社内での様子を思い出していた。
あ、もしかしたら頭の薄い人かな?
「それって、頭の薄い人の事?」
【そうだ!ソイツが中島だ。アイツの机に、盗聴器を仕掛けてくれ!】
「ホントに、それで大丈夫なの!?」
ナツはスパイをする事に、限界を感じていた。
【…ナツ、オレの事信用出来ないと思うが、中島の机に盗聴器を仕掛けて、数日間何も無かったらスパイを止めても構わない。
とりあえず、中島の机に仕掛けてくれ、頼む!】
「…ホントにこれが最後よ。もしこれで何も無かったら私、スパイ止めるからね」
【もちろんだ。明日、掃除するフリしながら、ヤツの机に仕掛けてくれ】
「…分かったわ…」
ホントにそれで大丈夫なのだろうか?ナツはムダだと思っていた。
翌日、ナツは清掃をしながら、中島の座る机の下に盗聴器を仕掛けた。
(多分無理だと思うけどね…)
達也はターゲットを、沢渡から中島に変更した。
中島は達也に一番酷い仕打ちをされてきた。
達也を一番恨んでるのは中島だ。
社長風を吹かせて怒鳴り散らし、時には暴力をふるう事もあった。
特に中島の何が悪い、という事はない。
ただ単に、中島の顔を見るとムカついてくるので、八つ当たりの対象となっていた。
学校のイジメと何ら変わりはない。
だが、あの顔を見ていると、何故か無性に腹が立ち、ターゲットにしていた。
中島は沢渡の腹心でもあり、中島が達也に八つ当たりされてるのを、何度も見てきた。
その度に中島を庇っていたが、達也は暴君と化し、中島を庇う沢渡も、何度か達也の暴力に耐えてきた。
この二人が、達也を社長の座から下ろす計画を練っていた。
やりたい放題の達也を失脚させれば、会社は以前のような収益を得られる。
しかし、達也は私腹を肥やし、今や赤字の状況で傾きかけている。
沢渡はそれを見越して、別の会社を設立し、この会社は達也がいる限り、いずれは倒産するだろうと思い、徐々に新しい会社を達也に内緒で、基盤固めをしている最中だ。
達也を始末して、この会社を売却し、新たな会社をメインとして、再スタートを切るつもりだ。
だから何としてでも、達也は消さなければならない人物であり、一日でも早く始末する方法を考えていた。
そして、ナツは中島の机に盗聴器を仕掛け、いつものように清掃をしていた。
すると、達也の言う通り、尻尾を出した。
「副社長、あのバカ社長の始末、どのようにして行いますか?」
「慌てるな。とにかく、日本に帰ってきたら連絡が行くようにしてある」
「あの、弁護士にですか?」
「そうだ。あの人は影で始末する人物を雇っている」
「…恐ろしい弁護士ですね」
「中島。いくら盗聴器が無くなったとはいえ、この事を会社で話すのは控えるんだ、いいな?」
「…はい、分かっております。ただ、その日が待ち遠しくて…」
「…だな。まぁ、とにかく帰国するまで、我々は極秘に事を進めなきゃならん」
(ホントだ!あの人を殺そうとしているんだわ!)
ナツは二人のやり取りを、達也に伝えた。
達也は沢渡をチェックしろと言ったが、いつも送迎車に乗って帰宅するので、中々尻尾を出さずにいた。
(もしかしたら、あの人の単なる思い込みでは?)
ナツに疑問が生じた。
達也は自分が消されると言った。
だが、社内では全くと言っていいほど動きはなく、沢渡も何事もなく、業務をこなしていた。
「もしもし…全く動きが無いけど、ホントにあの人が要注意人物なの?」
【…全く動きは無しか。いや、そんな事はないはずだ。
ナツ、あの男の車の中に、盗聴器を仕掛ける事は出来るか?】
「無理よ!どうやって、車の中に入っていくのよ…」
【んー、そうか難しいよな。いや、待てよ。ナツ、沢渡はいつも、何時頃に退社するんだ?】
「えーっと…確か、五時半から六時頃には帰るみたいだけど…」
【そうか。何か他に方法はないかな…】
「ねぇ…もしかしたら、あなたの思い込みなんじゃないの?とてもあなたを消すなんて、いう風には見えないんだけど」
【それは表向きの顔だ。裏ではヤクザと繋がってる。ヤクザ…?そうか、思い付いたぞ!】
「…何を?」
【ナツ、場所を教えるから、そこにも盗聴器を仕掛けてもらえないだろうか?】
「まさか、ヤクザの事務所?そんな事したら、私が殺されるわよ!」
【いや、ヤクザじゃない!弁護士の事務所だ…】
「弁護士?」
【そうだ!ヤクザ相手に、法外な金額をふっかけるブラックな弁護士だ】
「どうやって?」
【そうだな…表向きは弁護士の仕事だから、何か法律に関する事、離婚だとか、借金による債務整理とか、自己破産について聞いてみるってのはどうだろう?】
「…何か私、もうスパイしてる意味無いんじゃない?あなた、被害妄想なんかじゃないの?何でわざわざ顔変えて、海外にまで行くの?」
【被害妄想なんかじゃねえんだよ!間違いなくヤツはオレを消す!必ず消すだろう、アイツは】
「でも、その弁護士とあの人がどんな関係であなたが消されるの?私には何が何だか…」
【…参ったな…他にやり方はないものか…】
「ねぇ、もう日本に帰ってきたら?あまりにも無意味な事に思えてくるんだけど…」
達也の言う通り沢渡をマークしたが、何一つおかしいところは無い。
こんな事続けて、一体何になると言うのだ?
達也に対する不信感が、沸々と湧いてきた。
【オレを信じろ、ナツ!アイツは必ず尻尾出す!
…そうか、何も沢渡じゃなくてもいいんだ。他のヤツをマークすりゃいいんだ】
「今度は誰?また空振りに終わるんじゃないの?」
【そんな事はない!沢渡に常にくっついてるヤツ、常務の中島だ!アイツは口が軽い。
ナツ、沢渡にいつもくっついてる、背の小さい中年がいるだろ?】
ナツは昼間の社内での様子を思い出していた。
あ、もしかしたら頭の薄い人かな?
「それって、頭の薄い人の事?」
【そうだ!ソイツが中島だ。アイツの机に、盗聴器を仕掛けてくれ!】
「ホントに、それで大丈夫なの!?」
ナツはスパイをする事に、限界を感じていた。
【…ナツ、オレの事信用出来ないと思うが、中島の机に盗聴器を仕掛けて、数日間何も無かったらスパイを止めても構わない。
とりあえず、中島の机に仕掛けてくれ、頼む!】
「…ホントにこれが最後よ。もしこれで何も無かったら私、スパイ止めるからね」
【もちろんだ。明日、掃除するフリしながら、ヤツの机に仕掛けてくれ】
「…分かったわ…」
ホントにそれで大丈夫なのだろうか?ナツはムダだと思っていた。
翌日、ナツは清掃をしながら、中島の座る机の下に盗聴器を仕掛けた。
(多分無理だと思うけどね…)
達也はターゲットを、沢渡から中島に変更した。
中島は達也に一番酷い仕打ちをされてきた。
達也を一番恨んでるのは中島だ。
社長風を吹かせて怒鳴り散らし、時には暴力をふるう事もあった。
特に中島の何が悪い、という事はない。
ただ単に、中島の顔を見るとムカついてくるので、八つ当たりの対象となっていた。
学校のイジメと何ら変わりはない。
だが、あの顔を見ていると、何故か無性に腹が立ち、ターゲットにしていた。
中島は沢渡の腹心でもあり、中島が達也に八つ当たりされてるのを、何度も見てきた。
その度に中島を庇っていたが、達也は暴君と化し、中島を庇う沢渡も、何度か達也の暴力に耐えてきた。
この二人が、達也を社長の座から下ろす計画を練っていた。
やりたい放題の達也を失脚させれば、会社は以前のような収益を得られる。
しかし、達也は私腹を肥やし、今や赤字の状況で傾きかけている。
沢渡はそれを見越して、別の会社を設立し、この会社は達也がいる限り、いずれは倒産するだろうと思い、徐々に新しい会社を達也に内緒で、基盤固めをしている最中だ。
達也を始末して、この会社を売却し、新たな会社をメインとして、再スタートを切るつもりだ。
だから何としてでも、達也は消さなければならない人物であり、一日でも早く始末する方法を考えていた。
そして、ナツは中島の机に盗聴器を仕掛け、いつものように清掃をしていた。
すると、達也の言う通り、尻尾を出した。
「副社長、あのバカ社長の始末、どのようにして行いますか?」
「慌てるな。とにかく、日本に帰ってきたら連絡が行くようにしてある」
「あの、弁護士にですか?」
「そうだ。あの人は影で始末する人物を雇っている」
「…恐ろしい弁護士ですね」
「中島。いくら盗聴器が無くなったとはいえ、この事を会社で話すのは控えるんだ、いいな?」
「…はい、分かっております。ただ、その日が待ち遠しくて…」
「…だな。まぁ、とにかく帰国するまで、我々は極秘に事を進めなきゃならん」
(ホントだ!あの人を殺そうとしているんだわ!)
ナツは二人のやり取りを、達也に伝えた。
0
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる