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忌まわしき過去
殺意を抱いた日
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合格発表を見に行った。
掲示板にはオレの受験番号があった。
後は卒業と同時にあの家を出て、ワンルームマンションに引っ越すだけだ。
合格発表の帰り、路地裏を歩いていると自販機の前でたむろしていた二人組のヤンキーがオレの行く手を塞いだ。
「おい、お前今ガン飛ばしただろ?」
オレに絡んできたヤツは金髪で目付きが悪く、時代錯誤のようなヤンキーファッションで背はオレより低かった。
もう一人は坊主頭で、眉を思いっきり細くしてストリート系のファッションだが、太っていてサマにならない。
二人ともオレと同じぐらいの年だろう。
「ガン飛ばす?誰が?誰に?」
とぼけた返事をした。
「あぁ、テメーだよ!オレたちにガン飛ばしたろうがっ!」
太ったヤツが凄んできた。
背はオレより高めだ。
オレは175㌢で体重は63㌔、見た目がひ弱そうに感じたのだろう。
ケンカは得意じゃない。
でも、コイツらはケンカが強そうには見えない。
とはいえ、1対2だ。
タイマンなら何とかなるが、二人だと厄介だ。
「何とか言えよ、コラァ!」
チビがデカい声を張り上げた。
コイツは大したことない。
問題はデブの方だ。
オレより背が高いし、体重もある。
「悪かったよ、いくら出せばいいんだ?」
「財布ごと出せ!」
オレは学ランの内ポケットから長財布を取り出し、デブにポイッと投げた。
デブが財布を受け取った瞬間、オレは左の拳を鼻っ柱に叩き込んだ。
デブが倒れている隙に馬乗りになり、顔面を何度も殴り、最後に土手っ腹を力一杯蹴った。
「ガハッ…」
デブは倒れたまま動かない。
その様子を見て、チビはビビっている。
オレはチビの喉元を掴み、後ろの自販機にガン!と叩きつけた。
チビは涙目になり、「ごめんなさい、ごめんなさい…」と蚊の鳴くような声で謝ってきた。
チビの胸ぐらを掴み、背負い投げのようにアスファルトに叩きつけた。
背中を強かに打って、チビは悶絶している。
「…弱いクセに意気がるんじゃねぇ!」
そう言ってオレはその場を去った。
しばらくして左手が痛みだした。
デブの顔面を何度も殴ったせいか、手の甲が腫れていた。
家に帰って、湿布をしてバンテージのように包帯を巻いた。
その時、ふと思った。さっきのやつらみたいに母をボコボコにしてやろうかと。
全ての元凶はアイツだ。
ならば、母を殺そう…
ほんの一瞬だが、自分でも信じられない程、殺意を抱いた。
このままではホントに母を殺しそうだ。
(落ち着け!自由まであと少しだ)
冷静になろう、もう少しの辛抱だと自分に言い聞かせた。
掲示板にはオレの受験番号があった。
後は卒業と同時にあの家を出て、ワンルームマンションに引っ越すだけだ。
合格発表の帰り、路地裏を歩いていると自販機の前でたむろしていた二人組のヤンキーがオレの行く手を塞いだ。
「おい、お前今ガン飛ばしただろ?」
オレに絡んできたヤツは金髪で目付きが悪く、時代錯誤のようなヤンキーファッションで背はオレより低かった。
もう一人は坊主頭で、眉を思いっきり細くしてストリート系のファッションだが、太っていてサマにならない。
二人ともオレと同じぐらいの年だろう。
「ガン飛ばす?誰が?誰に?」
とぼけた返事をした。
「あぁ、テメーだよ!オレたちにガン飛ばしたろうがっ!」
太ったヤツが凄んできた。
背はオレより高めだ。
オレは175㌢で体重は63㌔、見た目がひ弱そうに感じたのだろう。
ケンカは得意じゃない。
でも、コイツらはケンカが強そうには見えない。
とはいえ、1対2だ。
タイマンなら何とかなるが、二人だと厄介だ。
「何とか言えよ、コラァ!」
チビがデカい声を張り上げた。
コイツは大したことない。
問題はデブの方だ。
オレより背が高いし、体重もある。
「悪かったよ、いくら出せばいいんだ?」
「財布ごと出せ!」
オレは学ランの内ポケットから長財布を取り出し、デブにポイッと投げた。
デブが財布を受け取った瞬間、オレは左の拳を鼻っ柱に叩き込んだ。
デブが倒れている隙に馬乗りになり、顔面を何度も殴り、最後に土手っ腹を力一杯蹴った。
「ガハッ…」
デブは倒れたまま動かない。
その様子を見て、チビはビビっている。
オレはチビの喉元を掴み、後ろの自販機にガン!と叩きつけた。
チビは涙目になり、「ごめんなさい、ごめんなさい…」と蚊の鳴くような声で謝ってきた。
チビの胸ぐらを掴み、背負い投げのようにアスファルトに叩きつけた。
背中を強かに打って、チビは悶絶している。
「…弱いクセに意気がるんじゃねぇ!」
そう言ってオレはその場を去った。
しばらくして左手が痛みだした。
デブの顔面を何度も殴ったせいか、手の甲が腫れていた。
家に帰って、湿布をしてバンテージのように包帯を巻いた。
その時、ふと思った。さっきのやつらみたいに母をボコボコにしてやろうかと。
全ての元凶はアイツだ。
ならば、母を殺そう…
ほんの一瞬だが、自分でも信じられない程、殺意を抱いた。
このままではホントに母を殺しそうだ。
(落ち着け!自由まであと少しだ)
冷静になろう、もう少しの辛抱だと自分に言い聞かせた。
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