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交流戦真っ只中
球団一仲の悪いチーム
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新潟から北海道へ移動したGlanz。
札幌ススキノドームで本日からウォーリアーズとの三連戦がスタートする。
ウォーリアーズは現在アポロリーグ東地区の3位。
ススキノドームは昔から本塁打の出にくい球場として知られ、ウォーリアーズは打力よりも投手力を重視するチームだ。
そのせいか、ウォーリアーズのクリーンアップは得点力不足で、他球団のクリーンアップと比較しても見劣る。
長年の課題でもあるが、それ以上に深刻なのは、選手同士の仲が悪い事だ。
ダグアウトでも会話をする事は皆無で、些細な事で言い争いを起こすような険悪な状態。
16球団で1番まとまりの無いチームとも言える。
とは言え、試合になれば彼らはプロとして勝利の為にプレーをする。
もう少しチームワークが改善すれば、KINGDOMやニックスを脅かす存在になるのだが、中々上手くはいかないものだ。
その仲の悪さは相手側ベンチからでもよく分かる。
「何でこんな個人主義なんだ、このチームは?」
三塁側ベンチの榊が首を傾げる。
「特に野手と投手の仲は最悪だという噂だぜ」
隣に座る中田が答えた。
「何が原因なんだ?」
「さぁ?」
理由はハッキリと分からないが、一説によるとエースの小向と主砲の松井が特に犬猿の仲らしく、それがチーム内に知れ渡ると、野手陣は投手陣をボロクソにこき下ろし、投手陣も野手陣に対して苦言を呈するようになり、その事がきっかけでチーム内に不協和音が生じたという。
「こんなチームワークもクソもないヤツらなら、簡単にスイープ出来るな」
「とは言え、向こうもプロだ。
勝つ為には多少のチームワークは必要だろ」
「私わかります(^^)」
ひろしが間に入った。
「ほぉ~、打撃カントク様はお分かりだってのか?」
中田はひろしの頭に肘を置きながら言った。
「んだな(^^)」
「で、何が分かったんだ?」
中田の肘を払い除けながら答えた。
「ウォーリアーズの選手たちはチームプレーというより、個人プレーの集まりですち!」
「個人プレー?」
「良いとこを見せようと、選手一人一人がスタンドプレーをしてますち!」
「野球ってのは団体競技だぜ?個人プレーなんかじゃ勝てっこねぇだろうが」
勿論だ。
「それでも、個人プレーが上手く噛み合って奇跡的に3位という位置にいるみたいですち!」
「そう何度も上手く噛み合わないだろう」
「ですから、噛み合わない事も多く、3位という位置にいるみたいですち!」
「…」
という事らしい。
つまりは、個人プレーの集まりで上手くハマれば脅威なのだが、ガタガタになる場面が殆どだ。
故に、中々上位に食い込む事は難しいというワケだ。
「コイツら、野球をなんだと思ってんだろ」
「知らね。ただ言えるのは、いつ空中分解してもおかしくないチームなんかに負けるワケにはいかねぇって事だ」
一塁側ベンチでは、ウォーリアーズ選手たちは目も合わせず、黙々と試合の準備をしていた。
札幌ススキノドームで本日からウォーリアーズとの三連戦がスタートする。
ウォーリアーズは現在アポロリーグ東地区の3位。
ススキノドームは昔から本塁打の出にくい球場として知られ、ウォーリアーズは打力よりも投手力を重視するチームだ。
そのせいか、ウォーリアーズのクリーンアップは得点力不足で、他球団のクリーンアップと比較しても見劣る。
長年の課題でもあるが、それ以上に深刻なのは、選手同士の仲が悪い事だ。
ダグアウトでも会話をする事は皆無で、些細な事で言い争いを起こすような険悪な状態。
16球団で1番まとまりの無いチームとも言える。
とは言え、試合になれば彼らはプロとして勝利の為にプレーをする。
もう少しチームワークが改善すれば、KINGDOMやニックスを脅かす存在になるのだが、中々上手くはいかないものだ。
その仲の悪さは相手側ベンチからでもよく分かる。
「何でこんな個人主義なんだ、このチームは?」
三塁側ベンチの榊が首を傾げる。
「特に野手と投手の仲は最悪だという噂だぜ」
隣に座る中田が答えた。
「何が原因なんだ?」
「さぁ?」
理由はハッキリと分からないが、一説によるとエースの小向と主砲の松井が特に犬猿の仲らしく、それがチーム内に知れ渡ると、野手陣は投手陣をボロクソにこき下ろし、投手陣も野手陣に対して苦言を呈するようになり、その事がきっかけでチーム内に不協和音が生じたという。
「こんなチームワークもクソもないヤツらなら、簡単にスイープ出来るな」
「とは言え、向こうもプロだ。
勝つ為には多少のチームワークは必要だろ」
「私わかります(^^)」
ひろしが間に入った。
「ほぉ~、打撃カントク様はお分かりだってのか?」
中田はひろしの頭に肘を置きながら言った。
「んだな(^^)」
「で、何が分かったんだ?」
中田の肘を払い除けながら答えた。
「ウォーリアーズの選手たちはチームプレーというより、個人プレーの集まりですち!」
「個人プレー?」
「良いとこを見せようと、選手一人一人がスタンドプレーをしてますち!」
「野球ってのは団体競技だぜ?個人プレーなんかじゃ勝てっこねぇだろうが」
勿論だ。
「それでも、個人プレーが上手く噛み合って奇跡的に3位という位置にいるみたいですち!」
「そう何度も上手く噛み合わないだろう」
「ですから、噛み合わない事も多く、3位という位置にいるみたいですち!」
「…」
という事らしい。
つまりは、個人プレーの集まりで上手くハマれば脅威なのだが、ガタガタになる場面が殆どだ。
故に、中々上位に食い込む事は難しいというワケだ。
「コイツら、野球をなんだと思ってんだろ」
「知らね。ただ言えるのは、いつ空中分解してもおかしくないチームなんかに負けるワケにはいかねぇって事だ」
一塁側ベンチでは、ウォーリアーズ選手たちは目も合わせず、黙々と試合の準備をしていた。
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