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最後の交流戦
初リード
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Knights先発の遠藤は初回を安定したピッチングで三者凡退に抑える。
その裏、マウンドには昨年までホームだった沢口が上がる。
初先発が古巣との対戦とあって、昂る気持ちを抑えられない。
それ以上に気持ちが昂ってるのは初マスクを被る南方だ。
指名打者専門だった彼はベンチで滝沢兼任コーチのアドバイスをメモしていた。
常に隣に座り、リード面について貪欲に学んだ。
試合が終われば、滝沢が付きっきりでキャッチャーの練習を何度も行った。
付け焼き刃にも思えるが、南方は吸収力が良く、センスも抜群だったせいで、メキメキと力をつけた。
本来ならば、ファームで試験的にマスクを被らせる予定だったが、南方の打撃はチームには不可欠だ。
そんなチーム事情もあってか、南方はぶっつけ本番でキャッチャーをやらざるを得なかった。
(大丈夫だ…あれだけ勉強したんだ。
今のオレなら出来る)
心の中で何度も唱えた。
トップバッターの結城が右打席に入った。
ここまで打率.288 本塁打2 盗塁11 出塁率は.342。
不動のリードオフマンとして選球眼に優れている。
(さぁ…初球は何から入ろうか)
あれこれ悩んでも仕方ない。
やっぱり第1球はストレートだ。
南方がサインを出した。
沢口は大きく頷き第1球を投げた。
アウトコースやや低めにストレートが決まる。
「ストライクワンっ!」
サイドスローから放たれたストレートは139 km/hを計測。
「…何だか速く感じるな」
打席からは球速以上に速く感じた。
沢口はKnightsを戦力外になり、Glanzにトライアウトで入団。
キャンプではフォームの改造とストレートの回転数を上げる事を重点に投げ込みを何度も行った。
その甲斐あって、開幕から一軍で主にリリーフ専門としてチームに貢献。
ここまで15試合に登板して、1勝2敗4ホールド 防御率3.42の成績。
(ヨシ、球は走ってる)
沢口自身もボールの手応えを感じた。
テンポ良く投球する為、南方はすぐさまサインを出す。
ややスリークォーター気味のサイドハンドから2球目を投げた。
再びストレート、今度はインコース低めだ。
結城はコンパクトなスイングでボールを捕らえるが、打球は左に切れてファール。
これでツーストライク。
このまま三球勝負か、それとも1球様子を見るか。
沢口の球種は、ストレート、スライダー、スラーブ、チェンジアップ。
(1球外すなんて勿体ない。ここで決めよう)
南方は勝負に出た。
沢口も頷き、3球目を投げた。
真ん中やや高めのボールだ。
「…これだ」
結城は呼び込んでバットを振った。
だが、ボールは遅れてアウトコースへ鋭く沈んだ。
「ストライクアウトっ!」
「ゲッ…」
Knights時代からの決め球だったチェンジアップで三球三振に打ち取った。
(ヨシッ!)
南方は心の中で大きくガッツポーズをした。
元チームメイトとの対戦だったが、結城の知っているチェンジアップの軌道ではなかった。
パラシュートの様にフワッと浮いてから急激に沈んだ。
しかも、ストレートと同じ腕の振りなので、ボールが中々来ない。
タイミングを外して打ち取る事も、三振を取る事も出来るチェンジアップだ。
その裏、マウンドには昨年までホームだった沢口が上がる。
初先発が古巣との対戦とあって、昂る気持ちを抑えられない。
それ以上に気持ちが昂ってるのは初マスクを被る南方だ。
指名打者専門だった彼はベンチで滝沢兼任コーチのアドバイスをメモしていた。
常に隣に座り、リード面について貪欲に学んだ。
試合が終われば、滝沢が付きっきりでキャッチャーの練習を何度も行った。
付け焼き刃にも思えるが、南方は吸収力が良く、センスも抜群だったせいで、メキメキと力をつけた。
本来ならば、ファームで試験的にマスクを被らせる予定だったが、南方の打撃はチームには不可欠だ。
そんなチーム事情もあってか、南方はぶっつけ本番でキャッチャーをやらざるを得なかった。
(大丈夫だ…あれだけ勉強したんだ。
今のオレなら出来る)
心の中で何度も唱えた。
トップバッターの結城が右打席に入った。
ここまで打率.288 本塁打2 盗塁11 出塁率は.342。
不動のリードオフマンとして選球眼に優れている。
(さぁ…初球は何から入ろうか)
あれこれ悩んでも仕方ない。
やっぱり第1球はストレートだ。
南方がサインを出した。
沢口は大きく頷き第1球を投げた。
アウトコースやや低めにストレートが決まる。
「ストライクワンっ!」
サイドスローから放たれたストレートは139 km/hを計測。
「…何だか速く感じるな」
打席からは球速以上に速く感じた。
沢口はKnightsを戦力外になり、Glanzにトライアウトで入団。
キャンプではフォームの改造とストレートの回転数を上げる事を重点に投げ込みを何度も行った。
その甲斐あって、開幕から一軍で主にリリーフ専門としてチームに貢献。
ここまで15試合に登板して、1勝2敗4ホールド 防御率3.42の成績。
(ヨシ、球は走ってる)
沢口自身もボールの手応えを感じた。
テンポ良く投球する為、南方はすぐさまサインを出す。
ややスリークォーター気味のサイドハンドから2球目を投げた。
再びストレート、今度はインコース低めだ。
結城はコンパクトなスイングでボールを捕らえるが、打球は左に切れてファール。
これでツーストライク。
このまま三球勝負か、それとも1球様子を見るか。
沢口の球種は、ストレート、スライダー、スラーブ、チェンジアップ。
(1球外すなんて勿体ない。ここで決めよう)
南方は勝負に出た。
沢口も頷き、3球目を投げた。
真ん中やや高めのボールだ。
「…これだ」
結城は呼び込んでバットを振った。
だが、ボールは遅れてアウトコースへ鋭く沈んだ。
「ストライクアウトっ!」
「ゲッ…」
Knights時代からの決め球だったチェンジアップで三球三振に打ち取った。
(ヨシッ!)
南方は心の中で大きくガッツポーズをした。
元チームメイトとの対戦だったが、結城の知っているチェンジアップの軌道ではなかった。
パラシュートの様にフワッと浮いてから急激に沈んだ。
しかも、ストレートと同じ腕の振りなので、ボールが中々来ない。
タイミングを外して打ち取る事も、三振を取る事も出来るチェンジアップだ。
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