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過酷なペナントレース
球団マスコット
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ヤンキースナインが仲間割れをしている最中、Glanz側ベンチでは球団のマスコットキャラクター【グラちゃん】が選手たちに弄られている。
グラちゃんは見た目は柴犬の着ぐるみで、お腹には【Glanz】のマークが入ってる。
頭はヘルメットを被り、いつもサイリウムを両手に持っている。
愛くるしい顔でモコモコとした見た目から人気があって、各球団マスコットの中でもトップ3に入る程だ。
実はグラちゃんの中身はひろしで、ひろしがベンチにいる際はもう1つのマスコットキャラクター【サイターマン】という戦隊モノを模倣したマスコットがアクロバティックな動きで観客を沸かす。
何故ひろしがマスコットに扮するのか。
それは、榊が「お前はベンチにいるより、マスコットの中に入って他チームの選手の様子をチェックしろ!」と言ったことから始まった。
時折ひろしがベンチからいなくなるのはその為で、緑に光るサイリウムを手に相手選手に近づき、じゃれ合う事で選手の特徴やクセをチェックしている。
ぶっちゃけるとスパイなのだが、正体不明のマスコット故にバレてない。
「おーい、グラちゃん!向こうに行ってケンカの仲裁してこい!」
榊がマウンドを指すと、犬の様に四つん這いになり、走ってマウンドへ向かった。
相変わらずマウンド上では内野陣と澁谷がいがみ合っている。
「いいから、サッサと守りにつけ!
こっからがオレのピッチングを見せてやるぜ!」
「だったら、気の抜けた球なんか放るな!」
「やかましい!オレはスロースターターなんだよ!」
「テメー、次も歩かせたら替えてもらうぞ、わかったな!」
「オメーらはボサっと突っ立ってりゃいいんだよ!」
サッサと行け、とばかりに手を振って内野陣を追い返した。
そこへグラちゃんに扮したひろしが中に入る。
「何だ、おまえは?」
「何で向こうのマスコットがマウンド上に来るんだ?」
するとグラちゃんはサイリウムを振り出し、腹を出してゴロゴロする動きを見せた。
「このクソ犬!試合中にこんな場所に来るんじゃねぇ!」
澁谷がドガッと背中を蹴った。
「バカっ!みんなが見てる前でそんな事すんじゃねぇよ!」
与那嶺が止めに入る。
「コイツが悪いんだよ!そもそも試合中だろ?なのに、何でマウンドなんかに来るんだよ」
澁谷は更に蹴りを入れる。
ドカッ…
「ギャぅぅぅ…」
犬らしい悲鳴を上げる。
「よせ!それ以上やったら退場食らうぞ!」
他の選手も止めに入った。
「知ったことか!コイツが悪いんだろうが!」
馬乗りになってマウントパンチを振り下ろす。
「バカヤロー!シャレになんねぇだろうが!」
怒りで我を失った澁谷は内野陣に羽交い締めにされる。
すると、本塁から「退場っ!」と主審がコールした。
「ハァ?何で退場なんだよ!コイツがこんな所に来るのが悪いんだろうが!」
「アホっ!超満員の中で相手のマスコットに暴力振るのが悪いんだろうが!」
「ふざけるなよっ!」
怒り心頭の澁谷は収まらない。
「ギャハハハハハハハハ!よくやったぞ、グラちゃん!これで向こうは二線級のピッチャーを出さざるを得ないな!」
榊は澁谷が尻上がりにピッチングの状態が良くなるのを知った上で、敢えてグラちゃんをマウンドへ行くよう伝えた。
初っ端からカッカする澁谷にグラちゃんを仕向け、更にエキサイトするのが目的だった。
案の定、澁谷は榊の誘いに乗り、殴る蹴るの暴行をマウンド上で繰り広げ退場となった。
更に怒っているのがもう一人。
それは、僅か9球で退場となった澁谷に対し、ヤンキース監督の守山がブチ切れた。
「おい…テメー、アウト1つも取らずに退場だと?
舐めてんのか、ゴラァァァァァァァァァァァァア!」
「うぎゃぁぁぁぁああああ、す、すいませ~ん!」
守山の怒涛のラッシュを食らい、今度はマウンド上で澁谷がKOされた。
「ウチは澁谷に相性が悪いんだよなぁ。正攻法じゃ難しいから、あらゆる手を使ってでも澁谷をマウンドから引きずり下ろさなければなぁ~」
「汚ねぇやり方しやがる…」
榊の手段を選ばないやり方に中田ですらドン引きする。
結局試合は主力メンバーを出さず、6対2で久々の勝利を飾った。
グラちゃんは見た目は柴犬の着ぐるみで、お腹には【Glanz】のマークが入ってる。
頭はヘルメットを被り、いつもサイリウムを両手に持っている。
愛くるしい顔でモコモコとした見た目から人気があって、各球団マスコットの中でもトップ3に入る程だ。
実はグラちゃんの中身はひろしで、ひろしがベンチにいる際はもう1つのマスコットキャラクター【サイターマン】という戦隊モノを模倣したマスコットがアクロバティックな動きで観客を沸かす。
何故ひろしがマスコットに扮するのか。
それは、榊が「お前はベンチにいるより、マスコットの中に入って他チームの選手の様子をチェックしろ!」と言ったことから始まった。
時折ひろしがベンチからいなくなるのはその為で、緑に光るサイリウムを手に相手選手に近づき、じゃれ合う事で選手の特徴やクセをチェックしている。
ぶっちゃけるとスパイなのだが、正体不明のマスコット故にバレてない。
「おーい、グラちゃん!向こうに行ってケンカの仲裁してこい!」
榊がマウンドを指すと、犬の様に四つん這いになり、走ってマウンドへ向かった。
相変わらずマウンド上では内野陣と澁谷がいがみ合っている。
「いいから、サッサと守りにつけ!
こっからがオレのピッチングを見せてやるぜ!」
「だったら、気の抜けた球なんか放るな!」
「やかましい!オレはスロースターターなんだよ!」
「テメー、次も歩かせたら替えてもらうぞ、わかったな!」
「オメーらはボサっと突っ立ってりゃいいんだよ!」
サッサと行け、とばかりに手を振って内野陣を追い返した。
そこへグラちゃんに扮したひろしが中に入る。
「何だ、おまえは?」
「何で向こうのマスコットがマウンド上に来るんだ?」
するとグラちゃんはサイリウムを振り出し、腹を出してゴロゴロする動きを見せた。
「このクソ犬!試合中にこんな場所に来るんじゃねぇ!」
澁谷がドガッと背中を蹴った。
「バカっ!みんなが見てる前でそんな事すんじゃねぇよ!」
与那嶺が止めに入る。
「コイツが悪いんだよ!そもそも試合中だろ?なのに、何でマウンドなんかに来るんだよ」
澁谷は更に蹴りを入れる。
ドカッ…
「ギャぅぅぅ…」
犬らしい悲鳴を上げる。
「よせ!それ以上やったら退場食らうぞ!」
他の選手も止めに入った。
「知ったことか!コイツが悪いんだろうが!」
馬乗りになってマウントパンチを振り下ろす。
「バカヤロー!シャレになんねぇだろうが!」
怒りで我を失った澁谷は内野陣に羽交い締めにされる。
すると、本塁から「退場っ!」と主審がコールした。
「ハァ?何で退場なんだよ!コイツがこんな所に来るのが悪いんだろうが!」
「アホっ!超満員の中で相手のマスコットに暴力振るのが悪いんだろうが!」
「ふざけるなよっ!」
怒り心頭の澁谷は収まらない。
「ギャハハハハハハハハ!よくやったぞ、グラちゃん!これで向こうは二線級のピッチャーを出さざるを得ないな!」
榊は澁谷が尻上がりにピッチングの状態が良くなるのを知った上で、敢えてグラちゃんをマウンドへ行くよう伝えた。
初っ端からカッカする澁谷にグラちゃんを仕向け、更にエキサイトするのが目的だった。
案の定、澁谷は榊の誘いに乗り、殴る蹴るの暴行をマウンド上で繰り広げ退場となった。
更に怒っているのがもう一人。
それは、僅か9球で退場となった澁谷に対し、ヤンキース監督の守山がブチ切れた。
「おい…テメー、アウト1つも取らずに退場だと?
舐めてんのか、ゴラァァァァァァァァァァァァア!」
「うぎゃぁぁぁぁああああ、す、すいませ~ん!」
守山の怒涛のラッシュを食らい、今度はマウンド上で澁谷がKOされた。
「ウチは澁谷に相性が悪いんだよなぁ。正攻法じゃ難しいから、あらゆる手を使ってでも澁谷をマウンドから引きずり下ろさなければなぁ~」
「汚ねぇやり方しやがる…」
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