162 / 183
新生Glanz
フルモデルチェンジ
しおりを挟む
Glanz先発の片山は安定感抜群のピッチングで、小池 早川 馬場の3人をいずれも凡打で抑え初回を切り抜ける。
1回の裏、Glanzの攻撃。
トップバッターの石川が打席に入る。
マウンドには開幕以来負け無しの天海とマスクを被る矢幡が打ち合わせをしている。
「これに勝てば負け無しの5連勝や」
「オレの勝ち星なんかより、チームの勝利が優先ちゃうんか、矢幡さん」
かつてはドルフィンズ時代に何度もバッテリーを組んだ二人だが、天海の超オレ様気質に散々手を焼き、試合そっちのけで乱闘を始めることもしばしば。
そんな天海もマーリンズに移籍してからはフォアザチームの素晴らしさに触れ、一人で野球は出来ないと実感した。
元々プロ意識は強く、徹底した自己管理により、30を過ぎてベテランの域に差し掛かった今でも160を超える回転数の高いバレットを投げる事が出来る。
自費でトレーナーや専属のシェフを雇い、遊びは一切せずにパフォーマンスの向上に余念が無い。
その姿勢は若手にも伝わり、今では天海を心酔する選手も多い。
「随分と変わってもうたな、大エース」
「エースなんて称号はいらんし、個人成績にも興味無い。
チームが勝つために投げるんやから、真面目にリードせなアカンで、矢幡さん」
「任せんかい、オマエの良さを存分に引き出すリードするから、気入れて投げろよ」
「あいよ」
天海の腰をミットでポーンと叩くとマスクを被り守備に戻った。
長身で細身に見えるが、下半身の筋力は見た目以上に隆々としている。
強靭な下半身があるからこそ、バレットを放れる。
初球のサインを出す。
ゆったりしたノーワインドアップから第1球を投げた。
(速っ…)
ズドーン、という表現がピッタリのバレットがインコース低めに決まった。
「ストライクワンっ!」
球速は163 km/hと表示された。
(速すぎだろ…)
打席での体感速度はスピードガンよりも速く感じる。
回転数が高く、ボールがホップしているせいで打っても内野ゴロになるのがオチだ。
(このストレートはヤバい…変化球に的を絞ろう)
石川は変化球狙いに絞った。
ここまでの成績は打率.286 本塁打2 打点11 盗塁はトップの6個。
昨年に続いて2年連続で盗塁王を狙えるポジションにいる。
矢幡は石川の様子を観察する。
(今の様子じゃ、ストレートは捨てて変化球にタイミング合わせるつもりかい。
ならばお望みどおり変化球のサインを出したろうやないかい)
矢幡がサインを出す。
天海が頷き、第2球を投げた。
(ヨシ!)
石川はバットを合わせた。
「アッ…」
真ん中やや外側から大きく曲がるスイーパーを引っ掛けた。
「何だあの曲がり方は!」
打ったボールはボテボテのファーストゴロ。
ファースト馬場はボールを捕って自らベースを踏んだ。
「アウト!」
あまりにもキレがよすぎてバットの先端に当たった。
僅か2球で石川を抑え、続くバッターは2番徳川。
(さて、このバッターには何を投げさそうか…)
徳川はここまで打率.316 本塁打7の成績。
開幕当初から2番打者として安定したバッティングを披露する。
1回の裏、Glanzの攻撃。
トップバッターの石川が打席に入る。
マウンドには開幕以来負け無しの天海とマスクを被る矢幡が打ち合わせをしている。
「これに勝てば負け無しの5連勝や」
「オレの勝ち星なんかより、チームの勝利が優先ちゃうんか、矢幡さん」
かつてはドルフィンズ時代に何度もバッテリーを組んだ二人だが、天海の超オレ様気質に散々手を焼き、試合そっちのけで乱闘を始めることもしばしば。
そんな天海もマーリンズに移籍してからはフォアザチームの素晴らしさに触れ、一人で野球は出来ないと実感した。
元々プロ意識は強く、徹底した自己管理により、30を過ぎてベテランの域に差し掛かった今でも160を超える回転数の高いバレットを投げる事が出来る。
自費でトレーナーや専属のシェフを雇い、遊びは一切せずにパフォーマンスの向上に余念が無い。
その姿勢は若手にも伝わり、今では天海を心酔する選手も多い。
「随分と変わってもうたな、大エース」
「エースなんて称号はいらんし、個人成績にも興味無い。
チームが勝つために投げるんやから、真面目にリードせなアカンで、矢幡さん」
「任せんかい、オマエの良さを存分に引き出すリードするから、気入れて投げろよ」
「あいよ」
天海の腰をミットでポーンと叩くとマスクを被り守備に戻った。
長身で細身に見えるが、下半身の筋力は見た目以上に隆々としている。
強靭な下半身があるからこそ、バレットを放れる。
初球のサインを出す。
ゆったりしたノーワインドアップから第1球を投げた。
(速っ…)
ズドーン、という表現がピッタリのバレットがインコース低めに決まった。
「ストライクワンっ!」
球速は163 km/hと表示された。
(速すぎだろ…)
打席での体感速度はスピードガンよりも速く感じる。
回転数が高く、ボールがホップしているせいで打っても内野ゴロになるのがオチだ。
(このストレートはヤバい…変化球に的を絞ろう)
石川は変化球狙いに絞った。
ここまでの成績は打率.286 本塁打2 打点11 盗塁はトップの6個。
昨年に続いて2年連続で盗塁王を狙えるポジションにいる。
矢幡は石川の様子を観察する。
(今の様子じゃ、ストレートは捨てて変化球にタイミング合わせるつもりかい。
ならばお望みどおり変化球のサインを出したろうやないかい)
矢幡がサインを出す。
天海が頷き、第2球を投げた。
(ヨシ!)
石川はバットを合わせた。
「アッ…」
真ん中やや外側から大きく曲がるスイーパーを引っ掛けた。
「何だあの曲がり方は!」
打ったボールはボテボテのファーストゴロ。
ファースト馬場はボールを捕って自らベースを踏んだ。
「アウト!」
あまりにもキレがよすぎてバットの先端に当たった。
僅か2球で石川を抑え、続くバッターは2番徳川。
(さて、このバッターには何を投げさそうか…)
徳川はここまで打率.316 本塁打7の成績。
開幕当初から2番打者として安定したバッティングを披露する。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。


百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる