Baseball Freak 主砲の一振り 7

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そして開幕

相性の悪いバッター

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反町は二刀流には否定的な意見だ。


「高校野球じゃないんだし、投げて打ってが通用する世界じゃないんですよ、プロは」


投手なら投手、野手なら野手と専念するべきだと言う。


「二刀流が通用したら、プロってこんなモンなんだって思われるのがムカつく」


ネプチューンリーグも指名打者制になったせいで、投手が打席に立つ事が無くなったが、反町のバッティングセンスは一級品だ。


たまには打ってみたいという気持ちもあるが、二刀流をしてまで打ちたいという気にはなれない。



そんな及川にだけは負けたくないという闘志を燃やす。



(全球ストレートだ)


今度は反町がサインを出した。


サインに従い、比村はやや内よりにミットを構えた。



1球目を投げた。


外一杯にズバッと154 km/hのストレートが決まる。

「ストライクワン!」


及川は余裕で見送る。


その見送り方が反町にとって癪に障る。


(メッチャムカつくな、今の所見送り方!)



ムッとした表情を見て、比村は落ち着けとジェスチャーする。


(苛立つんじゃねぇよ、そんぐらいで)



次のサインを出した。



反町は首を振ろうとしたが、コレは面白いかもと思い、サインに従った。


2球目を投げた。


フワッとした緩いカーブが弧を描いてミットに収まる。


及川はタイミングを外されたが、途中でバットを止めた。


「ストライクツーっ!」


「エッ、マジで?」


及川は後ろを振り返り、球審に確認した。


「低めギリギリに入ってる」


球審は毅然とした態度で答える。


(ウソだぁ…)


と思ったが、食い下がると後々面倒な事になると感じ、大人しく引き下がった。


カウントはツーストライク。


ここで勝負に出るか、それとも他の球で様子を見るか。


(3球勝負だ)



決め球を要求した。


反町は一度は首を振ったが、比村はもう一度同じサインを出す。


余程自信があるのだろうと思い、反町は頷き3球目を投げた。


インコース低めからボールになるフォークだ。


及川はバットを出すが、ボールはストーン、と大きく落ちた。


「ストライクアウトっ!」



「ヨシ、狙い通りだ!」


比村は小さくガッツポーズをとる。


「クソっ…三球三振かよ」


及川は憮然とした表情でベンチに戻った。


これでツーアウト。


次は3番島津が打席に入る。


及川ばかりが注目されがちなDodgersだが、バッティングセンスはチーム1。


昨年は打率.301 本塁打17 打点83の成績。


本拠地小倉ボールパークは投手有利な球場のせいか、本塁打は若干少な目だが、他球団ならば30本塁打をクリア出来る長打力と確実性を兼ね備えたバッター。



しかも、反町には相性が良く、昨年は13打数5安打、2本のホームランを放つ。


反町も島津には苦手意識を感じ、どこに投げても打たれそうな雰囲気を漂わせている。



(このバッターが一番厄介だ)


とは言え、初回から歩かせるワケにはいかない。


比村も何を要求すればいいのか迷う。


(迷うなぁ…オレがリードしたって打たれるしなぁ…あっ、そうだ!
それなら、いっその事アイツにリードさせりゃいいや!アイツも自分でリードして打たれりゃ納得するだろうし)



なんといういい加減な思いつきなのか。


比村は早速、お前にリードを任せるという合図を送った。


(へぇ~、オレがリードするのか。
オレのリードで抑えれば…ヨシ、やってみよう)


反町は気合いを入れ直した。
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