Baseball Freak 主砲の一振り 7

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チャンピオンズカップ

計算違い

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推川の一発で初戦は決まった。


終わってみれば、8対0と大差の完敗。

初回スリーランを打った推川は3安打4打点の大活躍。

先発尾崎は7回を投げ、無四球2安打11奪三振と圧巻のピッチング。


対するGlanzは頼みの重量打線が不発に終わった。


「何も話すことはねぇ!敗因はただ一つ!この寒さに負けた!以上!」


榊は声を荒げて球場を後にした。



「ふざけんじゃねぇぞっ!こんなクソ寒い場所で試合なんて出来るワケねぇだろっ!
こんなの、罰ゲームじゃねぇか!」


榊の怒りは収まらない。


「でもよぉ、寒いのは向こうだって同じだろ?そんなん、言い訳にならねぇぜ、カントク」


「んだな(^^)」


「アホかっ!この寒さが原因で選手が風邪ひいたらどうすんだよ!
野球ってのは、あんな極寒の場所でプレーするもんじゃないだろ!
アレじゃ、寒中野球じゃないかよ!」


せめて、屋根を閉め切ってプレーすべきだ、と榊は主張する。


「雨も降ってないのに、屋根を閉めるワケないだろ」

「んだな(^^)」


「テメーは、んだなしか言えんのか!」


「私わかります(^^)」


今年の榊はひろしに翻弄されっぱなしだ。


「明日も気温が低いですち!」


「んなこたぁ分かってんだよ!」


「んだな(^ ^)」


「…何か、熱出てきた」



そして翌日の第二戦目。


Glanzの先発はもう一人のエース、反町。


ニックスはベテランの左腕、清水が先発。


Glanzのスタメンは初戦と同じ。


ニックスは推川を4番に起用。


昨日同様、今夜もナイターだ。


清水は立ち上がり、変化球主体のピッチングで三者凡退に抑える好投。


対する反町は仲邑の二の舞だけは避けたいとばかりに、慎重なピッチングを披露するが、指先の冷えでコントロールが定まらない。


「コリャ、ヤベーな…」


「何とかならんもんかな」


この寒さだけはどうにもならない。


反町は先頭バッターの高橋を打ち取ったものの、2番吉田はフルカウントからのフォアボールを与えてしまう。



「守ってる野手も寒さで震えてんじゃねぇか」


守備についている野手陣は寒さ対策としてネックウォーマー等を身につけているが、それだけでは寒さは凌げない。


3番に座った澤村が打席に入る。


推川の影に隠れがちだが、ニックスを代表するヒットメーカーとして、3年連続3割をマーク。


巧みなバットコントロールで広角に打ち分けるバッティングが持ち味。


反町は初球からウイニングショットでもある縦のシュートを投げた。


「ボールワン!」


だが、指が悴んでいるせいか、僅かに外れてボール。


反町は肘の負担を考え、1試合で7~8球しか縦のシュートを投げられない。


ただでさえ貴重な1球を外してしまい、反町は焦る。


(ヤベェ…こうなりゃ、シュートは封印してスライダーやフォークで勝負するしか)


この判断が裏目に出た。


澤村はツーナッシングからのスライダーを上手く捕え、ライト線へ弾き返した。


打球はライト線ギリギリにポトリと落ち、寒さに震えていた森高のスタートが出遅れた。


一塁ランナー吉田はトップスピードのまま、二塁を蹴って三塁へ。


打った澤村も二塁へ向かう。


森高が追いついて二塁へ送球するが、澤村の足が速くセーフ。



あっという間にワンアウト三塁二塁とピンチに陥る。


ここで迎えるバッターは初戦でスリーランを放った推川。


早くも内野陣がマウンドに集まる。


敬遠か勝負か。


「どうするよ、カントク。初回だけど、歩かせた方がいいんじゃないか?」


財前は敬遠策を勧める。


「馬鹿言え、まだ初回だぞ!そんなん、反町だってイヤだって言うだろ」


「んな事言ってる場合かよ!昨日の試合だって、初回で決まったようなもんじゃないか」


「勝負だ、勝負!推川なんて、今年出てきたばっかの若造じゃねえか!そんなのにビビってどうする!」


榊は強気に出た。


「知らねぇぞ、オレは」


「んだな(^ ^)」


財前の敬遠策は間違ってなかった。


推川は初球のストレートを見事狙い打ち。


打球は左中間を深々と破る2点タイムリーツーベースとなり、初戦に続きニックスが先制。


「ほら見ろ、だから言わんこっちゃないだろ!」


「うるせぇ!あんなのはマグレだ!」


「マグレのワケねぇだろ!」


「マグレだってんだろ!」


中々自分の非を認めない。



結局、この日も推川にやられっ放しのGlanz。


試合は4対0で2試合連続完封敗けを食らった。


明日は移動日で明後日からは本拠地さいたま S Villageで第三戦が行われる。


巻き返しをはかりたいところだが、この寒さにやられ、数名の選手が体調不良となった。
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