Baseball Freak 主砲の一振り 7

ラストスパート

球界のエース滅多打ち

まさか、球界を代表するエースがこんな打たれ方をするとは、誰もが思ってもみなかった。


完全無欠のエースと謳われ、タイトルを総ナメしてきた天海が2回を持たずにノックアウトした。

こんなに早い回で降板するのはプロ13年目で初の出来事だ。


初回、先頭の石川にストレートのフォアボールを与え、2番クロフォードには甘く入ったスライダーをライトスタンドに先制の21号ツーランを浴びる。


3番白石には、163 km/hのバレット(回点数の高いフォーシーム)でセンターフライに打ち取るが、4番徳川には左中間を破るツーベースヒットを許し、5番森高にはカーブをライトフェンス直撃のタイムリーツーベースを浴び3点目を失う。


6番麻生をフォークで三振に抑え、ようやくツーアウトを取るが、7番のルーキー南方にはセンターオーバーのスリーベースヒットを打たれる。


南方はこれでリーグトップの18三塁打を記録し、シーズン最多の19三塁打まで後1つと迫った。


8番小早川には162 km/hのバレットで見逃しの三振で何とか3点で初回を終えた。



しかし2回の表、再びGlanz打線が天海に襲い掛かる。


9番比村は初球を上手く捕え、レフトスタンドへ第8号ソロで4点目を追加。


トップに返って石川がセンター前に運ぶと、クロフォードは右中間へライナーのツーベースヒットを放ち、一塁ランナー石川が一気にホームイン。

あっという間に5点を取ったGlanzは更に容赦なく天海を攻め立てる。


次のバッター白石は、前の打席で凡退したバレットを今度はセンターバックスクリーンへ第26号ツーランで7点目をゲット。


天海の調子は決して悪くなかったが、リフレッシュしたGlanzレギュラー陣の勢いが勝った。


4番徳川をフォークでサードゴロに打ち取ってようやくワンアウトとなったところで、マーリンズ迫田監督が交代を告げた。


序盤でこれだけ滅多打ちに遭った天海は茫然自失。


あまりのショックにコーチの肩を借りながらベンチに下がった。


反対にGlanz先発反町は初回からエンジン全開。


ストレートは158 km/hをマークし、スイーパーと呼ばれる大きく曲がるスライダーとフォーク、そして最大の武器である縦のシュートでマーリンズ打線を翻弄。


投打が上手く噛み合ったGlanzが、11-0のワンサイドゲームで圧勝。


反町は完封で11勝目をマーク。





一方天海は、降板直後は信じられないといった表情を見せたが、試合終了後は淡々とした様子で球場を後にした。


かつては傍若無人な振る舞いをする手のつけられない天海だったが、それ以上に魅力のある快刀乱麻のピッチングで多くのファンを惹き付けた。


だが最近の天海はベテランの域に差し掛かってきたせいか、良く言えば大人のピッチング、悪く言えば守りに入ったピッチングで、野性味溢れるピッチングは鳴りを潜めてしまった。


実はこの時、天海はマーリンズを去る事を決断した。


同時にマーリンズは優勝戦線から脱落していくきっかけとなった。




第2戦はGlanzが東山、マーリンズは中澤の先発でスタート。


この日もGlanz打線は猛威を振る。


2番に入った菅原が5打数5安打の大活躍を見せ、二刀流麻生が16号スリーラン、南方は18号ツーランなどで7点を挙げ、東山は無回転フォークを駆使して11奪三振の好投。


試合は7-2で完勝。


東山はこれで2桁勝利をマーク。


Glanzのラストスパートはまだまだ続く。