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6月オールスターファン投票
手こずる球
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2番唐澤を三振に抑え、続くは3番鬼束。
「うわぁ~、めっちゃ打ちにくそうな球だなぁ」
嫌だなぁ、という表情を浮かべながら右打席に入った。
唐澤、結城といった天才バッターに挟まれながらも存在感を発揮するスラッガー。
二人は自然体の構えだが、鬼束はバットを上段に構えて腰を落とす剛のタイプ。
セカンドというポジションながら、本塁打王3回を獲得する強打者で、現役最高の右打者と言われる。
「私わかります(^ ^)」
「いい加減、単刀直入に言えよ!」
ホントにそう思う。
「この試合、1番要注意するのは鬼束選手ですち!」
「そりゃ、あれだけのバッターなんだから要注意だろう」
「違います(^_^)
東山選手は唐澤選手や結城選手よりも、鬼束選手みたいなタイプに相性が悪いですち!」
「相性ね」
唐澤や結城は左の中距離ヒッターだが、鬼束は右の長距離砲で長打が持ち味。
ひろしが言うには、東山は左バッターよりも、鬼束やマーリンズの羽田といった右のホームランバッタータイプを苦手としている。
その証拠に、今シーズン打たれたホームランの殆どは右バッターだ。
「お前さぁ、何でそんなに詳しいんだ?スコアラーからデータ貰ってんの?」
すると頭を指した。
「ココが違うんですよ、ち!」
「何がココが違うだ!誤字脱字だらけで、横文字も弱いヤツが空っぽの頭指してんじゃねぇ!」
バシッ!
「痛っ…」
手加減無しに頭を引っぱたいた。
ひろしは相手のスイングやピッチングを見ただけで長所や欠点が分かってしまう。
普段はアホだが、野球脳だけはエリート中のエリートだ。
無回転フォークという新球をマスターした東山。
それを待ち構える新庄。
東山が初球を食べ投げた。
アウトコースへ149 km/hのストレートが外れた。
「ボールっ!」
鬼束は余裕で見送る。
間を置かずに2球目を投げた。
スライダーがコーナーギリギリに決まった。
「ストライクっ!」
カウントはワンボール、ワンストライクの並行カウント。
3球目、今度は緩いカーブでカウントを取り、ツーストライクと追い込んだ。
「私わかります(^ ^)
今までの東山選手なら、次の球をスタンドに運ばれますち!」
「何だと?」
「ですが、無回転フォークをマスターした今は、打たれる心配は無いですち!」
「…そこまで読めるのかよ」
「んだな(^ ^)」
ひろしの読みは全て的中する。
(ここはあの球しかない)
比村がフォークのサインを出した。
東山も同じ考えで、首を横に振るつもりはない。
そして4球目を投げた。
縫い目に指を掛けない球は回転せず、空気抵抗を受けてユラユラとしている。
「これが謎の球か…」
軌道は読めないが、ストライクゾーンに入っている。
一か八かでバットを振ってみる。
「ゲッ、落ちた!」
縫い目までハッキリ分かる球はベース手前で急激に落ちた。
比村は身体でボールを止め、鬼束にタッチした。
「ストライクアウト!」
「打てないって、あんな球…」
鬼束さえもお手上げなフォークだ。
鬼束が三振に倒れ、1回の裏は三者凡退で終了。
「これは負けられない試合になりそうだな」
ベンチ前でキャッチボールをしていた山本が気合いを入れた。
「うわぁ~、めっちゃ打ちにくそうな球だなぁ」
嫌だなぁ、という表情を浮かべながら右打席に入った。
唐澤、結城といった天才バッターに挟まれながらも存在感を発揮するスラッガー。
二人は自然体の構えだが、鬼束はバットを上段に構えて腰を落とす剛のタイプ。
セカンドというポジションながら、本塁打王3回を獲得する強打者で、現役最高の右打者と言われる。
「私わかります(^ ^)」
「いい加減、単刀直入に言えよ!」
ホントにそう思う。
「この試合、1番要注意するのは鬼束選手ですち!」
「そりゃ、あれだけのバッターなんだから要注意だろう」
「違います(^_^)
東山選手は唐澤選手や結城選手よりも、鬼束選手みたいなタイプに相性が悪いですち!」
「相性ね」
唐澤や結城は左の中距離ヒッターだが、鬼束は右の長距離砲で長打が持ち味。
ひろしが言うには、東山は左バッターよりも、鬼束やマーリンズの羽田といった右のホームランバッタータイプを苦手としている。
その証拠に、今シーズン打たれたホームランの殆どは右バッターだ。
「お前さぁ、何でそんなに詳しいんだ?スコアラーからデータ貰ってんの?」
すると頭を指した。
「ココが違うんですよ、ち!」
「何がココが違うだ!誤字脱字だらけで、横文字も弱いヤツが空っぽの頭指してんじゃねぇ!」
バシッ!
「痛っ…」
手加減無しに頭を引っぱたいた。
ひろしは相手のスイングやピッチングを見ただけで長所や欠点が分かってしまう。
普段はアホだが、野球脳だけはエリート中のエリートだ。
無回転フォークという新球をマスターした東山。
それを待ち構える新庄。
東山が初球を食べ投げた。
アウトコースへ149 km/hのストレートが外れた。
「ボールっ!」
鬼束は余裕で見送る。
間を置かずに2球目を投げた。
スライダーがコーナーギリギリに決まった。
「ストライクっ!」
カウントはワンボール、ワンストライクの並行カウント。
3球目、今度は緩いカーブでカウントを取り、ツーストライクと追い込んだ。
「私わかります(^ ^)
今までの東山選手なら、次の球をスタンドに運ばれますち!」
「何だと?」
「ですが、無回転フォークをマスターした今は、打たれる心配は無いですち!」
「…そこまで読めるのかよ」
「んだな(^ ^)」
ひろしの読みは全て的中する。
(ここはあの球しかない)
比村がフォークのサインを出した。
東山も同じ考えで、首を横に振るつもりはない。
そして4球目を投げた。
縫い目に指を掛けない球は回転せず、空気抵抗を受けてユラユラとしている。
「これが謎の球か…」
軌道は読めないが、ストライクゾーンに入っている。
一か八かでバットを振ってみる。
「ゲッ、落ちた!」
縫い目までハッキリ分かる球はベース手前で急激に落ちた。
比村は身体でボールを止め、鬼束にタッチした。
「ストライクアウト!」
「打てないって、あんな球…」
鬼束さえもお手上げなフォークだ。
鬼束が三振に倒れ、1回の裏は三者凡退で終了。
「これは負けられない試合になりそうだな」
ベンチ前でキャッチボールをしていた山本が気合いを入れた。
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