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無回転
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先頭打者の室井を三球三振に仕留めた東山。
だが、次から三人連続で怪物バッターが襲いかかる。
【2番ん…センターぁ~、唐澤ぁ~、背番号1ぃ~っ】
相変わらずのアナウンスだ。
一説によると、ウグイス嬢はかなりの熟女で、声だけ聞くと20代と勘違いするらしいのだが、誰も正体を見た事は無いという。
そんな中、バットを手に唐澤が素振りをしながら打席に入る。
インターカンファレンスでは、アポロリーグを代表するピッチャーを次々と打ち崩した場面が多く見られた。
今年からバッティンググローブを外し、素手でバットを持つ事によって、バッティングの感覚をよりリアルにさせた事が功を奏す。
(イヤなバッターが立て続けに登場すんのかよ…)
唐澤の次は鬼束、鬼束の次は結城と、気が休まるヒマが無い。
相手投手はこの打順で神経をかなりすり減らすらしい。
いつもの様に、自然体の構えで力みが全く感じられない。
一見スキだらけのスタンスだが、どこを投げても打たれそうなオーラを放っている。
「私わかります(^^)」
「今度は何だ」
「唐澤選手は球種が読めるタイプですち!」
「らしいな。結城も同じタイプなんだろ?」
「んだな(^ ^)」
「何が言いてえんだよ!」
とにかく前置きが長い。
「唐澤選手や結城選手は、櫻井監督と同じ頭に球種が浮かぶ閃きタイプですち!」
「閃きタイプ…とは?」
「集中力を極限に高めると、ピッチャーが投げた瞬間に球種が分かるみたいですち!」
櫻井の全盛期はおよそ4割近い確率で球種が浮かんできたという。
ちなみに、結城や唐澤は3割程の確率らしい。
(どんなに打つバッターでも、残りの7割は凡退するんだ。
そう考えれば、ピッチャーの方が断然有利じゃないか)
東山は自分に言い聞かせる。
比村がサインを出した。
(ん?)
もう一度サインを見た。
(ホントかよ…)
少し戸惑いつつも初球を投げた。
ハーフスピードの球がお辞儀するように低めに沈む。
唐澤はピクリとも動かない。
「ボールワン!」
滅多に投げないパームボールを投げた。
ルーキー時代はパームを多投したが、長打になりやすい為、最近は封印している。
(こんな球通用しないって)
低めに外れたせいで見送ったが、ストライクゾーンに入ったら長打を打たれていただろう。
続いて2球目はワンシームを要求した。
(これも最近投げてないっつーの!)
それでも比村はワンシームを要求する。
シンカー気味に変化するワンシームだが、パーム同様最近は投げていない。
(打たれてもオレのせいじゃないからな)
仕方なくサインに頷き、2球目を投げた。
アウトコースからボールになるワンシームだが、唐澤は素早くバットを合わせた。
「打たれたっ…」
打球はライトへグーンと伸びるが、僅かに切れてファール。
「あっぶねぇ~…」
胸を撫で下ろす。
それにしても、パームやワンシームと最近投げてない球を要求するのは何か意図があるのだろうか。
(次はまともなサインを出してくれよ)
比村がサインを出した。
(…エェ~っ?)
今度はフォークだ。
ルーキー時代には二種類のフォークを投げていたが、それすらも封印している。
現在の東山の全球種は、ストレートにスライダー、カットにカーブ、シンカー、大きく沈むチェンジアップ。
以前はそれらの球種に加え、パームやフォークも投げていた。
(何でフォークまで封印したんだっけ…)
全く思い出せない。
(まぁいいか)
今は目の前のバッターに集中だ。
東山が3球目を投げた。
縫い目に指を掛けてないせいか、無回転になり、空気抵抗を受けて揺れながら落ちた。
比村は慌ててミットを出すが、予測出来ない軌道に戸惑い後逸してしまう。
「ボールツー!」
「今のは何だ?」
投げた本人でさえ、どう変化するのか分からない程だ。
だが、次から三人連続で怪物バッターが襲いかかる。
【2番ん…センターぁ~、唐澤ぁ~、背番号1ぃ~っ】
相変わらずのアナウンスだ。
一説によると、ウグイス嬢はかなりの熟女で、声だけ聞くと20代と勘違いするらしいのだが、誰も正体を見た事は無いという。
そんな中、バットを手に唐澤が素振りをしながら打席に入る。
インターカンファレンスでは、アポロリーグを代表するピッチャーを次々と打ち崩した場面が多く見られた。
今年からバッティンググローブを外し、素手でバットを持つ事によって、バッティングの感覚をよりリアルにさせた事が功を奏す。
(イヤなバッターが立て続けに登場すんのかよ…)
唐澤の次は鬼束、鬼束の次は結城と、気が休まるヒマが無い。
相手投手はこの打順で神経をかなりすり減らすらしい。
いつもの様に、自然体の構えで力みが全く感じられない。
一見スキだらけのスタンスだが、どこを投げても打たれそうなオーラを放っている。
「私わかります(^^)」
「今度は何だ」
「唐澤選手は球種が読めるタイプですち!」
「らしいな。結城も同じタイプなんだろ?」
「んだな(^ ^)」
「何が言いてえんだよ!」
とにかく前置きが長い。
「唐澤選手や結城選手は、櫻井監督と同じ頭に球種が浮かぶ閃きタイプですち!」
「閃きタイプ…とは?」
「集中力を極限に高めると、ピッチャーが投げた瞬間に球種が分かるみたいですち!」
櫻井の全盛期はおよそ4割近い確率で球種が浮かんできたという。
ちなみに、結城や唐澤は3割程の確率らしい。
(どんなに打つバッターでも、残りの7割は凡退するんだ。
そう考えれば、ピッチャーの方が断然有利じゃないか)
東山は自分に言い聞かせる。
比村がサインを出した。
(ん?)
もう一度サインを見た。
(ホントかよ…)
少し戸惑いつつも初球を投げた。
ハーフスピードの球がお辞儀するように低めに沈む。
唐澤はピクリとも動かない。
「ボールワン!」
滅多に投げないパームボールを投げた。
ルーキー時代はパームを多投したが、長打になりやすい為、最近は封印している。
(こんな球通用しないって)
低めに外れたせいで見送ったが、ストライクゾーンに入ったら長打を打たれていただろう。
続いて2球目はワンシームを要求した。
(これも最近投げてないっつーの!)
それでも比村はワンシームを要求する。
シンカー気味に変化するワンシームだが、パーム同様最近は投げていない。
(打たれてもオレのせいじゃないからな)
仕方なくサインに頷き、2球目を投げた。
アウトコースからボールになるワンシームだが、唐澤は素早くバットを合わせた。
「打たれたっ…」
打球はライトへグーンと伸びるが、僅かに切れてファール。
「あっぶねぇ~…」
胸を撫で下ろす。
それにしても、パームやワンシームと最近投げてない球を要求するのは何か意図があるのだろうか。
(次はまともなサインを出してくれよ)
比村がサインを出した。
(…エェ~っ?)
今度はフォークだ。
ルーキー時代には二種類のフォークを投げていたが、それすらも封印している。
現在の東山の全球種は、ストレートにスライダー、カットにカーブ、シンカー、大きく沈むチェンジアップ。
以前はそれらの球種に加え、パームやフォークも投げていた。
(何でフォークまで封印したんだっけ…)
全く思い出せない。
(まぁいいか)
今は目の前のバッターに集中だ。
東山が3球目を投げた。
縫い目に指を掛けてないせいか、無回転になり、空気抵抗を受けて揺れながら落ちた。
比村は慌ててミットを出すが、予測出来ない軌道に戸惑い後逸してしまう。
「ボールツー!」
「今のは何だ?」
投げた本人でさえ、どう変化するのか分からない程だ。
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