Baseball Freak 主砲の一振り 7

インターカンファレンス後半

インターカンファレンス終了

三井監督は、選手達が自軍のベンチに戻るのを確認してからベンチに戻ろうとした。

「よぉ、待てよ三井」


「ん？」


振り向くと、榊が近づいた。


「な、何だ？」


「お前だろ、ウチの二刀流を潰せって指示したのは？」


「な、なんの事だ」


「とぼけんじゃぁねぇよ」


三井監督の肩に手を置く。


この二人はKINGDOM時代の同期だが、榊はエース、三井は敗戦処理という立場だった。


そのせいか、現役時代は榊のパシリとして扱き使われた事がトラウマとなっていた。


「お前さぁ、これ以上ウチに変なマネしたら…どうなるか分かってるよな、ん？」


「変なマネとは一体何だ…」


三井監督の顔が強ばる。


「大方、あの外人に麻生を潰せって命令したんだろ？しかも、カネをちらすかせながら」


「な、何でそれを！」


図星だった。



「いい度胸してんじゃないか、三井…
現役時代を思い出させてやろうか、アァ？」


穏やかな表情だが、ドスの効いた声で脅す。


「わ、、、分かった…だから、手荒なマネだけは」


涙目で怯えた表情をしている。


「じゃあ、今回は大目に見てやるが…次は無いと思えよ、な？」


ハ、ハイ…」


今にも泣きそうな顔だ。


数分に渡る乱闘により、試合は一時中断したが、ここへ来てようやく落ち着きプレー再開となった。


退場した麻生の代打で玉城が打席に入り、マウンドには2番手ピッチャーの松野が登板した。



ウォーリアーズベンチは榊に脅され、意気消沈した三井に伝染されたのか、選手も覇気を失い戦意喪失。


そんな雰囲気で試合に勝てるハズもなく、1-6で敗戦。


Glanz先発木戸は6イニングを投げ、自責点1の好投で今季初勝利。


森高の10号ソロ、クロフォードの8号グランドスラムが飛び出した。


その後もGlanzは順調に勝ち星を重ね2位まで浮上したが、首位の甲府ブレーブスとのゲーム差は縮まらず。


終盤Glanzも必死の追い上げを見せるが、最終的にゲーム差僅か0.5でブレーブスがインターカンファレンスを制した。


MVPは野手部門では、打率.437 本塁打11 打点19を挙げた徳川。

投手部門では、2完封を含む4勝を挙げ、防御率は驚異の0.63をマークしたブレーブスの山本が受賞した。



インターカンファレンスが終了すると、3日間の休養となる。

その後、通常のペナントレースが再開する。


Glanzの初戦は因縁のブレーブスの本拠地、風林火山スタジアムでの三連戦だ。




ペナント再開に合わせて、Glanzは新戦力となる選手を一軍登録した。


昨年ドラフト3位で入団した左腕の篁佳明が二軍での好投を評価され、早ければブレーブス戦でのデビューとなる。


篁の特徴はMAX148 km/hのストレートに、スライダー、カーブ、カットボール、ハードシンカーと呼ばれるツーシームに落差のあるチェンジアップ。

その中でもスライダーはバッターの視界から消えると言われる程のキレで、スラーブの様に斜めに変化するが、スラーブよりも鋭く変化する。


榊はこのスライダーを見て、これなら一軍でも通用出来ると判断した。




3日間の休養を終え、Glanzナインは甲府へ移動する。

その中には一軍に上がったばかりの篁の姿もある。



今日の先発は、Glanzが4勝1敗の東山、対するブレーブスは勢いに乗る山本。


間もなくプレーボール。