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インターカンファレンス後半
ひろしのアドバイスとは
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KINGDOM先発日比野は1番石川、2番クロフォードを難なく打ち取り、あっという間にツーアウト。
そして昨日は前代未聞の全打席敬遠を記録した白石が打席に入る。
スタンドは騒然とする。
まさか、この打席も敬遠なのでは、と。
すると、翔田がベンチから出て申告敬遠を主審に告げた。
場内から物凄いブーイングが沸き起こり、中にはフェンスによじ登り、グラウンドに乱入しようとするファンもいた。
主審は直ちに試合を一時中断させ、選手をベンチに避難させた。
場内の警備員達が必死になってグラウンドに雪崩込む観客を制している。
「オイオイ、こりゃヤベーぞ!ホントに暴動になるんじゃねえか?」
密かに暴動を期待している。
だがその心配はなく、次第に鎮静していく。
「何だよ、つまんねえな!暴動になりゃよかったのに!」
「なるわけねぇだろ!何考えてんだ、アンタは!」
財前が呆れた顔で突っ込む。
「暴動になったら面白そうじゃん?」
「面白くねえよっ!」
そしてプレーが再開した。
ツーアウトランナー一塁で4番徳川が、打席に入った。
「私わかります(^ ^)」
「…」
「この打席、徳川選手は必ず打ちますち!」
「だといいけどな」
「んだな(^_^)」
「アドバイスとかねえのかよ!」
「私アドバイスしました(^ ^)
負担かからないようアドバイスしましたち」
「変な日本語だな、ったく」
怒号が飛び交う中、徳川は我関せずと涼しい顔でバットを構える。
昨日4三振を喫したが、その影響は見られない。
それどころか、一度もバットを振らなかったのはどういう意図なのか。
「平静を装っているが、内心はどうなのかな」
異様な雰囲気の中、翔田は不適な笑みを浮かべる。
小室のサインに頷き、日比野が初球を投げた。
アウトコースへのスライダーが決まる。
まずはワンストライク。
徳川はバットを構えるだけで少しも反応しない。
「オイオイ、あのヤロー全く打つ気無いのかよ」
選手にはあまり細かい事は言わない榊だが、さすがにしびれを切らしているようだ。
「私わかります(^^)」
「お前はどんな時もその言葉から始まるのかよ?」
「んだな(^ ^)」
「ヒジョーに疲れるヤツだな、オマエは!」
ひろしと話して疲れないヤツなどいない。
「私白石選手と徳川選手にはシーズン前にアドバイスしましたち(^^)」
「アドバイス?って、どんなアドバイスだよ?」
ひろしにバッティングを教わりに来たのは白石と徳川の二人だけだった。
と言っても、フォームがどうとか、スイングがどうだとかいうアドバイスをしたわけではない。
オマケに、語彙力の無いひろしからそんな専門的なアドバイスなど出来るはずが無い。
「バッティングで一番大事な事をアドバイスしましたち!
私負担かからないようアドバイスしました(^_^)」
「さっきも同じこと言ったじゃねえかよ!何アドバイスしたんだよ?」
その内容が気になる。
「バッティングで一番大切なのは、打ちたい球を打つ事ですち!」
「…は?」
「無理して難しい球打たなくていいですち!
打ちたい球が来たら、迷わず打つだけですち!」
「もっと技術的なアドバイス出来ねえのかよ!」
あまりにもテキトーなアドバイスだ。
「二人はタイプの違うバッターですち(^ ^)
だから、自分のスタイルで打ちたい球を打てばいいだけですち!」
「そんなんで打てたら、誰も苦労しねえだろ、アホかオマエは!」
「打つのにアレコレ考える必要は無いですち!
来た球を打つ、これがシンプルで最高のバッティングですち!」
そんなアドバイスで果たして打てるのだろうか。
そして昨日は前代未聞の全打席敬遠を記録した白石が打席に入る。
スタンドは騒然とする。
まさか、この打席も敬遠なのでは、と。
すると、翔田がベンチから出て申告敬遠を主審に告げた。
場内から物凄いブーイングが沸き起こり、中にはフェンスによじ登り、グラウンドに乱入しようとするファンもいた。
主審は直ちに試合を一時中断させ、選手をベンチに避難させた。
場内の警備員達が必死になってグラウンドに雪崩込む観客を制している。
「オイオイ、こりゃヤベーぞ!ホントに暴動になるんじゃねえか?」
密かに暴動を期待している。
だがその心配はなく、次第に鎮静していく。
「何だよ、つまんねえな!暴動になりゃよかったのに!」
「なるわけねぇだろ!何考えてんだ、アンタは!」
財前が呆れた顔で突っ込む。
「暴動になったら面白そうじゃん?」
「面白くねえよっ!」
そしてプレーが再開した。
ツーアウトランナー一塁で4番徳川が、打席に入った。
「私わかります(^ ^)」
「…」
「この打席、徳川選手は必ず打ちますち!」
「だといいけどな」
「んだな(^_^)」
「アドバイスとかねえのかよ!」
「私アドバイスしました(^ ^)
負担かからないようアドバイスしましたち」
「変な日本語だな、ったく」
怒号が飛び交う中、徳川は我関せずと涼しい顔でバットを構える。
昨日4三振を喫したが、その影響は見られない。
それどころか、一度もバットを振らなかったのはどういう意図なのか。
「平静を装っているが、内心はどうなのかな」
異様な雰囲気の中、翔田は不適な笑みを浮かべる。
小室のサインに頷き、日比野が初球を投げた。
アウトコースへのスライダーが決まる。
まずはワンストライク。
徳川はバットを構えるだけで少しも反応しない。
「オイオイ、あのヤロー全く打つ気無いのかよ」
選手にはあまり細かい事は言わない榊だが、さすがにしびれを切らしているようだ。
「私わかります(^^)」
「お前はどんな時もその言葉から始まるのかよ?」
「んだな(^ ^)」
「ヒジョーに疲れるヤツだな、オマエは!」
ひろしと話して疲れないヤツなどいない。
「私白石選手と徳川選手にはシーズン前にアドバイスしましたち(^^)」
「アドバイス?って、どんなアドバイスだよ?」
ひろしにバッティングを教わりに来たのは白石と徳川の二人だけだった。
と言っても、フォームがどうとか、スイングがどうだとかいうアドバイスをしたわけではない。
オマケに、語彙力の無いひろしからそんな専門的なアドバイスなど出来るはずが無い。
「バッティングで一番大事な事をアドバイスしましたち!
私負担かからないようアドバイスしました(^_^)」
「さっきも同じこと言ったじゃねえかよ!何アドバイスしたんだよ?」
その内容が気になる。
「バッティングで一番大切なのは、打ちたい球を打つ事ですち!」
「…は?」
「無理して難しい球打たなくていいですち!
打ちたい球が来たら、迷わず打つだけですち!」
「もっと技術的なアドバイス出来ねえのかよ!」
あまりにもテキトーなアドバイスだ。
「二人はタイプの違うバッターですち(^ ^)
だから、自分のスタイルで打ちたい球を打てばいいだけですち!」
「そんなんで打てたら、誰も苦労しねえだろ、アホかオマエは!」
「打つのにアレコレ考える必要は無いですち!
来た球を打つ、これがシンプルで最高のバッティングですち!」
そんなアドバイスで果たして打てるのだろうか。
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