Baseball Freak 主砲の一振り 7

sky-high

文字の大きさ
上 下
73 / 183
インターカンファレンス後半

ひろしのアドバイスとは

しおりを挟む
KINGDOM先発日比野は1番石川、2番クロフォードを難なく打ち取り、あっという間にツーアウト。

そして昨日は前代未聞の全打席敬遠を記録した白石が打席に入る。

スタンドは騒然とする。

まさか、この打席も敬遠なのでは、と。


すると、翔田がベンチから出て申告敬遠を主審に告げた。


場内から物凄いブーイングが沸き起こり、中にはフェンスによじ登り、グラウンドに乱入しようとするファンもいた。


主審は直ちに試合を一時中断させ、選手をベンチに避難させた。


場内の警備員達が必死になってグラウンドに雪崩込む観客を制している。


「オイオイ、こりゃヤベーぞ!ホントに暴動になるんじゃねえか?」


密かに暴動を期待している。


だがその心配はなく、次第に鎮静していく。


「何だよ、つまんねえな!暴動になりゃよかったのに!」


「なるわけねぇだろ!何考えてんだ、アンタは!」


財前が呆れた顔で突っ込む。


「暴動になったら面白そうじゃん?」


「面白くねえよっ!」


そしてプレーが再開した。


ツーアウトランナー一塁で4番徳川が、打席に入った。


「私わかります(^ ^)」


「…」


「この打席、徳川選手は必ず打ちますち!」


「だといいけどな」


「んだな(^_^)」


「アドバイスとかねえのかよ!」


「私アドバイスしました(^ ^)
負担かからないようアドバイスしましたち」


「変な日本語だな、ったく」


怒号が飛び交う中、徳川は我関せずと涼しい顔でバットを構える。


昨日4三振を喫したが、その影響は見られない。


それどころか、一度もバットを振らなかったのはどういう意図なのか。


「平静を装っているが、内心はどうなのかな」


異様な雰囲気の中、翔田は不適な笑みを浮かべる。


小室のサインに頷き、日比野が初球を投げた。


アウトコースへのスライダーが決まる。


まずはワンストライク。


徳川はバットを構えるだけで少しも反応しない。


「オイオイ、あのヤロー全く打つ気無いのかよ」


選手にはあまり細かい事は言わない榊だが、さすがにしびれを切らしているようだ。


「私わかります(^^)」


「お前はどんな時もその言葉から始まるのかよ?」


「んだな(^ ^)」


「ヒジョーに疲れるヤツだな、オマエは!」


ひろしと話して疲れないヤツなどいない。


「私白石選手と徳川選手にはシーズン前にアドバイスしましたち(^^)」


「アドバイス?って、どんなアドバイスだよ?」


ひろしにバッティングを教わりに来たのは白石と徳川の二人だけだった。


と言っても、フォームがどうとか、スイングがどうだとかいうアドバイスをしたわけではない。

オマケに、語彙力の無いひろしからそんな専門的なアドバイスなど出来るはずが無い。


「バッティングで一番大事な事をアドバイスしましたち!
私負担かからないようアドバイスしました(^_^)」


「さっきも同じこと言ったじゃねえかよ!何アドバイスしたんだよ?」


その内容が気になる。



「バッティングで一番大切なのは、打ちたい球を打つ事ですち!」


「…は?」


「無理して難しい球打たなくていいですち!
打ちたい球が来たら、迷わず打つだけですち!」


「もっと技術的なアドバイス出来ねえのかよ!」


あまりにもテキトーなアドバイスだ。


「二人はタイプの違うバッターですち(^ ^)
だから、自分のスタイルで打ちたい球を打てばいいだけですち!」


「そんなんで打てたら、誰も苦労しねえだろ、アホかオマエは!」


「打つのにアレコレ考える必要は無いですち!
来た球を打つ、これがシンプルで最高のバッティングですち!」


そんなアドバイスで果たして打てるのだろうか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

処理中です...