Baseball Freak 主砲の一振り 7

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5月 交流戦前

クセ盗みの先生言われます(^ ^)

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マウンド上のアルバラードはようやく落ち着きを取り戻しプレーが再開。


一方、Glanzベンチではアルバラードのクセを見抜く為に榊をはじめとしたコーチ陣が一斉に注目する。


カウントはツーボール。


3球目を投げた。ストレートだ。



「ストライクワン!」


アウトコースギリギリに決まった。



「今グラブの向き見えたか?」


「いや、モーションが速すぎて見えないっ!」


「じゃあ、他の方法で見抜くしかないのか…」



どうやら速すぎて肉眼では捕えきれない。



「諦めるな、何とかしてクセを見抜くんだ!」


「ハァ…」


どうすれば見えるのか。



続いて4球目、今度はチェンジアップだ。


これは低めに外れてスリーボール。


「もう1球ストレートを投げてくるハズ」


「投げるかなぁ」


不安になってきた。



そして5球目、再びストレートを投げた。


「ストライクツー!」


低めいっぱいに決まり、フルカウントとなった。


「分かったか?」


「いや、分かんないっすよ」


「どれを目安にして見ればいいのやら」


コーチ陣もお手上げだ。


「私わかります(^_^)」


「分かったのかよ!」


「んだな(^ ^)」


「どんなクセなんだ、一体?」


「もう1球ストレートを投げるから、それを見てみましょうち!」


「ホントかっ?」


6球目、ひろしの予想通りストレートだ。


クロフォードはバットを合わせた。


だが球の勢いに押され、打球は詰まったレフトフライ。


レフト飯伏がキャッチしてワンアウト。



「おい、クセはどこで判断すんだよ?」


「私分かります(^_^)」


「だから、それを早く言えっつーの!」


「その前に白石選手に伝えましょうち!」


そう言うと、ネクストバッターズサークルの白石を呼び寄せた。



「はい、何すか?」


ひろしを中心に榊達が輪になって説明を聞く。



「ゴニョゴニョゴニョ…そういう事ですち!」


「マジでっ?」


「それ、ホントなんだろな?」


「んだな(^^)」


アルバラードの攻略法を教えた。



「ホントにそれで判断出来るんですか?」


攻略法を聞いた白石は半信半疑だ。


「大丈夫です(^ ^)
これでストレートに的を絞って打てますち(^^)」


「とりあえず、この茶坊主がそう言ってんだ。
そのやり方でやってみようや」


「ハ、ハァ…」


ホントに大丈夫なのだろうか、そんな表情でバッターボックスに向かった。


【3番ショート白石…背番号5】


二度、三度と素振りを繰り返し、右打席に入った。


「あんな方法で打てるのかよ?」


「大丈夫です(^_^)
私クセ盗みの先生言われます(^^)」


「その言い方が嘘クセェんだよ!」



ここまでひろしの読み通りだったが、今回もズバリ的中するか。



アウトを取ったせいか、アルバラードは非常に落ち着いた表情を見せる。



対する白石も冷静沈着な選手として知られる。


ここまでの成績は、打率.308 本塁打2 打点12 盗塁3。


開幕当初は調子がイマイチだったが、徐々に上向きになっている。



の天才が唐澤ならば、右の天才は白石と呼ばれる程、双璧をなす存在。



一塁ランナー石川のリードはやや小さめだ。

アルバラードは牽制球を投げる様子は無い。


左とはいえ、牽制もクイックもお世辞でも上手いとは言えないだけに、走ってみるのも面白い。


サインが決まり、アルバラードが初球を投げた。


珍しくカーブから入っていった。


だが白石は手を出さずに見送る。


「ボールワンっ!」


変化は小さいが、手元でキュッと曲がるのがアルバラードのカーブだ。


「ストレートじゃないのかよ」


「いくら何でも、ストレートばっか投げるワケにはいかないでしょ!」


次こそストレートか。


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