Baseball Freak 主砲の一振り 7

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5月交流戦前

癇癪持ちのピッチャー

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1回の表を三者凡退に抑えた（どうにか抑えた？）麻生。

1回の裏、Glanzの攻撃に移る。

ブレーブスの先発は新外国人の左腕アルバラード。

150を超える速球に加え、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げる本格派。

速球投手らしく、制球力にやや難があるが、荒れ球も持ち味で、打者に的を絞らせないピッチングをすれば、二桁は楽に勝てるだろうと思い、獲得に踏み切った。

そのアルバラードを迎え撃つのが、今年からリードオフマンであり、キャプテンでもある石川が打席に入る。

ここまでの成績は、打率.316 本塁打2 打点12。

盗塁数はリーグトップの7個をマークし、未だ失敗は0。

1番に固定された今年からセーフティバントや右方向へのバッティングを多用しているのが好調の要因だろう。

マウンド上のアルバラードは陽気なヤンキーといった雰囲気を身にまとっている。

メジャーでは通算12勝15敗の成績。

制球難がネックだが、荒れ球が持ち味のピッチャーだ。

大柄な体躯をダイナミックに使うフォームで第1球を投げた。

速い球だが、高めに外れてボール。

球速は154km/hをマーク。

麻生と同じぐらいの速さだ。

2球目、今度はスライダーがインコースに決まってワンストライク。

速いモーションから3球目を投じた。

アウトコースのストレート、石川はバットを出したが右に切れてファール。

4球目はチェンジアップが外れてツーナッシング。

5球目はストレートが低めに外れてフルカウントとなった。

球は走っているが、コントロールが定まらない。

6球目、再度ストレートを投げるが外に外れてフォアボール。

先頭バッターを塁に出した。

【2番センタークロフォード…背番号24】

ここ5試合で3本のホームランを打って調子を上げてきているクロフォードの登場。

現在打率.313 本塁打4 打点8をマーク。

守備では脚力を生かした広範囲と強肩で投手陣を助けており、現時点では超優良助っ人選手との呼び声が高い。

オールドスタイルのストッキングを膝まで見せるユニフォームの着こなしは、長い足を更に長く感じさせる。

やや背筋を伸ばし、力を抜いた構えはしなやかでムダがない。

マウンド上で忙しなく動くアルバラードとは対照的だ。

左対左の対決だが、クロフォードは左ピッチャーを苦にしない。

マスクを被る武内がサインを出す。

一度は首を振るが、再度同じサインを出す武内に従い、二度目は大きく頷いた。

初球はインコースにボール。

相変わらずの制球難だ。

アルバラードはストライクが入らず苛立ちを隠せない。

2球目、スライダーが外角に外れた。

これでツーボール。

ストレートを投げてもボール、変化球を投げてもボールじゃ成す術が無い。

堪らず武内がマウンドに駆け寄ると、通訳も同時にマウンドへ向かった。

武内は何とかアルバラードをなだめようとしているが、アルバラードは何かを叫んでいる。

どうやら、際どいコースをボールと判定されたのが気に入らないらしい。

キャプテン結城をはじめとする内野陣が一斉に集まり、アルバラードを説得するが聞く耳を持たない。

「オイオイ、仲間割れかよ。何だって、ヒロトはあんなピッチャー獲ったんだよ」

榊からすれば、制球も性格も難のある助っ人を獲得するのは理解に苦しむ。

頭の回転が速い櫻井だけに、ああいうタイプのピッチャーを獲得するのはおかしいと感じた。

「私わかります(^_^)」

「お前が分かるワケないだろ」

「あのピッチャーは立ち上がりが悪すぎます(^ ^)
でも、回を追うごとにコントロールが良くなるタイプです(^^)」

「ホントかよ」

「んだな(^_^)」

「てことは、今のうちに攻略するしかないって事か」

「んだな(^ ^)」

「そればっかじゃねぇか！」

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