Baseball Freak 主砲の一振り 7

sky-high

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素質はS級、素行の悪さはSSS級

あっという間に瞬殺

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あれだけ二刀流に反対していた榊だったが、麻生の投打に渡るプレーを目の当たりにして、二刀流にする事となった。

但し、野手の時は指名打者での出場にする方針らしい。

というのも、外野守備の際に怪我を伴う危険性が高く、ピッチングにも影響を及ぼす事を考慮して、打つ専門にするべきだと言う。


とはいえ、あの広い守備範囲と強肩を封印するのは勿体ない。


中田とひろしは、指名打者と外野手での起用を7:3程の割合で出場させてはどうかという意見を提案した。



「ん~、出来ることなら守備につかせたくないんだが…しゃーない、数試合なら外野手として出場させるよ、これならいいだろ?」


と、この起用法を渋々認めた。


そして満を持して、麻生が二刀流となって一軍登録を果たした。



この日は本拠地さいたま S Villageにて、京都Super Phoenixとの三連戦の二戦目だ。


麻生は野手として6番指名打者で出場。


Super Phoenixの先発は昨年9勝の林、対するGlanzの先発は左のエース片山。



京都Super Phoenixのスターティングメンバー


1(右) 刀根 9
2 (中)姫野 3
3 (指)ルーク 10
4 (左)飯伏 6
5 (一)清武 8
6 (遊)鷹村7
7 (二)北斗31
8 (三)武田25
9 (捕)菅原22

先発 林 17




Super Phoenixはここ5試合、4勝1敗とチームの調子は上向き。


特に打線では、2番姫野から5番清武が打率4割をキープしている。


今日先発の林は2試合目の登板だが、前回は99ersに完封勝ちを収め波に乗っている。



後攻Glanzのスターティングメンバー


1(二)石川 8
2(中)クロフォード24
3(遊)白石 5
4(一)徳川 23
5(右)森高 7
6(指)麻生 22
7(三)吉岡 2
8(左)南方 1
9(捕)比村 27


先発 片山 19


試合前の練習で城戸が右ふくらはぎの肉離れにより、登録を抹消。

代わってルーキー南方がレフトの守備につく。


打線では、新外国人クロフォードと新4番の徳川が好調。


そしてなんと言っても、二刀流麻生がどんな活躍をするか、その点に尽きる。


そのGlanzベンチだが、背番号91を付けた小柄な人物がニヤケている。


この日から助監督に就任した宇棚ひろしだ。


監督補佐というポジションから助監督に変更となったが、肩書きは同じようなもんで、ひろし本人もその違いは分かるはずもなく…


ただ、スタメンを決める役目は任されたみたいだ。


「私わかります(^_^)」


「何がだよ」


「今日は麻生選手が打ちそうですち!
そういう事です!ち!」


「何の根拠があって、そんな事断言出来んだよ!」


その麻生はベンチの中央にドカッと腰を下ろし、まるでベテラン選手の様に偉そうな態度をとっている。


「オゥ、ワシと同じ黒のリストバンドしとるやないか」


隣りに座っている藤村は麻生と同じ黒のリストバンドを付けている。


「ん?それがどうした…」


「このリストバンドを付けていいのはワシだけじゃ!じゃけん、今日から別のリストバンドにせぃ!」


「な、何言ってんだ、オマエ?」


当然の事ながら、藤村は驚く。


「アホォ!ワシはこのチームのカシラじゃ!カシラの意見が聞けんなら、とっとと去ねや!」


「何だ、テメーは!新入りのクセして、偉そうにしてんじゃねぇ!」


藤村が立ち上がった。


すると麻生も立ち上がり、胸ぐらを掴んだ。


「ワシの言うことはカントクの言うことと同じじゃ、ボケ!」


なんて理不尽な事を言うのだろうか。


すると、背後から麻生の首根っこを掴む人物が。



「おい、御託はいいから裏に来い」


今日先発の片山が鬼の形相でベンチ裏に連れ込む。


「お~い!お前は先発なんだから、手荒な事すんなよ!」


「大丈夫っす、このバカにウチの教育方針を叩き込むだけですから」


結城ほどでは無いが、片山もキレたら恐い元ヤンの選手だ。


「何ぃ、ワシにケンカ売るとはいい度胸してんのぉ」


互いに好戦的な性格だ。


「いいから早くコッチに来やがれ!」


無理矢理奥の通路に連れ込んだ。


バキッ、ドカッ…スダン!


「グヘッ、ウギャっ…」


奥から呻き声が聞こえた。



しばらくして片山が何事も無かったかのようにベンチに戻ってきた。



「少しは手加減したのか?」


「当然っすよ、ガチでやったら病院送りですよ」


そう言うと、グラブを取ってマウンドに向かった。



その数十秒後、裏から鼻血を出した麻生がボロボロになりながら戻ってきた。


「アイツ、ホントはケンカ弱いんじゃないのか?」


榊は呆れ顔だ。
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