Baseball Freak 主砲の一振り 7

素質はS級、素行の悪さはSSS級

才能と素行は反比例

では麻生という選手はどんな人物なのか。


麻生 充（あそうみつる）プロ5年目の26歳。

広島県出身 外野手 左投左打 背番号39

地元の広島文化大学からドラフト4位で長州レボリューションズ（現山口Knights）に入団。

大学時代は投手兼外野手として投打で活躍。

182cm、73kgと線は細いが、投げては154km/h、打っては通算17本塁打、遠投は122mの強肩に、ベースランニング13.89秒という脚力を持つマルチプレイヤー。

と、ここまでは誰もが羨む身体能力だが、その類まれなる才能が霞む程の素行の悪さで、高校時代から暴力沙汰で警察の厄介になる事多数。

大学時代は酒に酔って、ヤ○ザとイザコザを起こし、挙句の果てには事務所にまで連れていかれ、そこでも大乱闘を繰り広げる。


そのせいで各球団のスカウトが指名を回避。


だが、当時レボリューションズの監督だった山本  義之が麻生の潜在能力を評価してドラフト4位に指名。


これで大人しくなるかと思いきや、ルーキー時代に寮内で目障りな先輩選手を血祭りにあげ、ファームではフォームを矯正しようとしたコーチに垂直落下式ブレーンバスターを見舞い、病院送りに。


それでも才能を買われ、2年目に一軍デビューしたのも束の間、今度はヤジを飛ばした相手ベンチに向かい、ラリアットの連発で相手選手をKO。


とにかく頭に血が上りやすく、感情の赴くままにバトルを開始する。


素行の悪さが無ければ投手では二桁勝利、打者ではトリプルスリーをクリア出来る逸材である事は確かだ。



その麻生が先の乱闘にて、札幌ウォーリアーズの三井監督を病院送りにした件で厳重な処分にするべきだという声が多数挙がった。


一番多かったのは、あんな野蛮な選手は即刻永久追放すべきだ、という意見だった。


しかしその一方で、麻生はアンチヒーローとして絶大な人気を誇り、寛大な処置をという署名活動をするファンも現れた。


何れにせよ、このままKnightsでプレーする事はほぼ絶望的となった麻生だが、どういうワケかGlanzに話しを持ちかけた。



「また問題児を引き受けるのかよ。だったら、ガラの悪いヤツらばっかのヤンキースが引き取ればいいじゃんかよ」


榊は難色を示した。


「オメーだって現役時代は素行が悪かったじゃねぇかよ。今の時代はお坊ちゃんばっかで、ああいう向こう気の強いヤツが一人ぐらいいたっていいじゃんかよ」


中田は麻生獲得に諸手を挙げて賛成だ。


「もしくは、ブレーブスで結城に教育してもらった方がいいと思うんだがなぁ」


「ムリだって。結城はともかく、ブレーブスは断るだろう」


「だからって、何でウチが引き取らにゃならんのだよ？」


「最初はヤンキースに話しを持っていったらしいんだが、ヤンキースも今はコンプライアンスの関係で素行不良なヤツはお引き取り願ったらしい」


「ウチはヤンキース以下かよ」


素行不良な監督に押し付けようとしているみたいだ。


「私わかります(^ ^)」


ひろしが話しに割って入ってきた。


「お前は話しに入ってくるな！」


余計にややこしくなる。


「麻生選手の才能は超一流です(^^)
年齢も26歳とまだ若いから、若者溢れてパワーたっぷりです(^ ^)」


何言ってるのか、サッパリ分からない。


「茶坊主、お前は麻生を獲るべきだって言うのか？」


「私わかります(^^)
麻生選手は朝の朝食にアジの干物とカルボナーラ、麻婆豆腐を食べれば更生出来ますち！
そういう事です、ち！」


【うるせえ！】


バキドカッ…


「ウギャっ、…」


榊のバックドロップから中田のキングコングニードロップの連携攻撃を食らう。



「仮に麻生を獲ってどうすんだよ？外野は一杯いるし、ピッチャーだって多いじゃん」


「二刀流で使えばいいだろ」


「二刀流ぅ？」


中田の提案に素っ頓狂な声を挙げた。