44 / 183
目指せ勝率5割
快刀乱麻
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高野はセカンドゴロに倒れ、続くバッターは2番武藤。
一昨年まで筧と共にGlanzでプレーしたが、白石とのトレードでマーリンズに移籍。
昨年は打率.294 本塁打19 打点73 盗塁13の成績で日本一に貢献。
今年から2番バッターとしてクリーンアップに繋ぐ役割を担う。
左打席でバットをコンコンとベースに叩くと、寝かせ気味したフォームで待ち構える。
「何だか、一筋縄ではいかないピッチャーだな」
かなり厄介なルーキーだと感じた。
マウンド上の皐月は飄々とした顔で武藤を見下ろす。
緊張した様子は全く無く、ルーキーとは思えない程の佇まいだ。
(球種は3つしかないだが…それ以上に何かを感じさせるピッチャーだ)
皐月はフォーシームジャイロにツーシームジャイロ、そしてスローなナックルカーブの3種類のみ。
だが、球種よりもプラスアルファの投球術でバッターを手玉にとる。
グラブで握りを隠すフォームから初球を投げた。
(カーブ?…)
弧を描く緩いカーブだが、ドライブ回転しながらグイーン、と縦に変化した。
「ボールワン!」
手を出したらボテボテの内野ゴロだった。
(何キロ出てんだ?)
球速は86km/hと表示。
確かに緩い山なりのカーブだったが、縦に落ちるというより、下に向かっていく様な変化だった。
このナックルカーブに加え、フォーシームとツーシームのジャイロというコンビネーションは的を絞らせない為、バッターは戸惑う。
(勘で打つしかないか)
2球続けてカーブはないだろうと読んだ。
そして2球目を投げた。
「ヤバっ…」
ストレートと読んだ武藤は早いタイミングでバットを出した。
慌ててバットを止めようとするが、運悪くボールが当たってしまい、ピッチャーゴロとなった。
「クソッ、やられた」
皐月はボールを捕ると一塁へ送球。
「アウト!」
これでツーアウトとなった。
打ち取られた武藤は天を仰ぎながらベンチに戻った。
【3番ライト仙道…背番号7】
ネクストバッターズサークルからは昨年の打点王仙道人時がゆっくりと打席に向かう。
昨シーズンは打率.316 本塁打27 打点113 盗塁21をマーク。
ゴールドグラブ賞とベストナインを受賞し、MVP選考では3位に選ばれた。
4番の羽田が51本のホームランを打てたのも、前を打つ仙道の存在が大きい。
求道者の如く、バットを肩口に構え、教科書通りの様な基本に忠実なフォームはお手本とも言える。
「あの佇まいは要注意だ」
仙道の立ち姿を見て気を引き締めた。
仙道も、皐月から並の新人ではない雰囲気を感じ取った。
(ルーキーだなんて下に見てたら、痛い目に遭う)
眼光が鋭くなり、威圧感が増した。
(さて、初球は何を投げればよいのやら)
こんな時でも比村は平常心だ。
皐月同様、緊張する事無く、配球を組み立てる。
サインが決まった。
初球は様子を見るだろうと思い、ツーシームジャイロを要求した。
ワインドアップから初球を投げた。
アウトコースから縦に変化するツーシームジャイロだ。
「…」
仙道は引き付けてからコンパクトなスイングでボールを捕らえた。
「ヤバ…」
いつもなら初球を見送る仙道だが、好球必打とばかりにフルスイング。
打球はグーンと伸びて、レフトのポール際まで飛んだが、惜しくも切れてファール。
「あっぶねぇ、ボール1個分中に入ってたホームランだぜ」
さすがの比村も今の打球は焦った。
皐月はというと、ニヤッと笑みを浮かべた。
その笑みは強がりなのか、それとも読み通りなのか。
打った仙道も表情一つ変えず、再びバットを構えた。
(初球から振ってくるとは。それだけ、皐月を並のルーキーじゃないって事を認めているのか)
気を引き締めて次のサインを出す。
皐月が頷き、2球目を投げた。
今度はインコース高目に外れたフォーシームジャイロ。
「ボールワン!」
球速は128km/hをマーク。
(速い…)
さすがの仙道も、今の球は速いと感じた。
体感速度は140以上に感じる。
これで緩いカーブを混ぜれば、更に速く感じる。
次はどの球にするか。
(これだ)
サインが決まり、3球目を投げた。
87km/hのナックルカーブを見送った。
「ストライクツー!」
見送り方に余裕がある。
(ホームランさえ打たれなきゃ、ヨシとしよう)
サインを出す。
「…」
ポーカーフェイスで4球目を投げた。
ド真ん中だ。
「っ!」
思わず見送った。
「ストライクアウト!」
まさかのド真ん中で見逃しの三振に斬ってとった。
「ハァ~、助かった…」
ド真ん中とは仙道も予想しなかっただろう。
1回の表、マーリンズは三者凡退で終了した。
一昨年まで筧と共にGlanzでプレーしたが、白石とのトレードでマーリンズに移籍。
昨年は打率.294 本塁打19 打点73 盗塁13の成績で日本一に貢献。
今年から2番バッターとしてクリーンアップに繋ぐ役割を担う。
左打席でバットをコンコンとベースに叩くと、寝かせ気味したフォームで待ち構える。
「何だか、一筋縄ではいかないピッチャーだな」
かなり厄介なルーキーだと感じた。
マウンド上の皐月は飄々とした顔で武藤を見下ろす。
緊張した様子は全く無く、ルーキーとは思えない程の佇まいだ。
(球種は3つしかないだが…それ以上に何かを感じさせるピッチャーだ)
皐月はフォーシームジャイロにツーシームジャイロ、そしてスローなナックルカーブの3種類のみ。
だが、球種よりもプラスアルファの投球術でバッターを手玉にとる。
グラブで握りを隠すフォームから初球を投げた。
(カーブ?…)
弧を描く緩いカーブだが、ドライブ回転しながらグイーン、と縦に変化した。
「ボールワン!」
手を出したらボテボテの内野ゴロだった。
(何キロ出てんだ?)
球速は86km/hと表示。
確かに緩い山なりのカーブだったが、縦に落ちるというより、下に向かっていく様な変化だった。
このナックルカーブに加え、フォーシームとツーシームのジャイロというコンビネーションは的を絞らせない為、バッターは戸惑う。
(勘で打つしかないか)
2球続けてカーブはないだろうと読んだ。
そして2球目を投げた。
「ヤバっ…」
ストレートと読んだ武藤は早いタイミングでバットを出した。
慌ててバットを止めようとするが、運悪くボールが当たってしまい、ピッチャーゴロとなった。
「クソッ、やられた」
皐月はボールを捕ると一塁へ送球。
「アウト!」
これでツーアウトとなった。
打ち取られた武藤は天を仰ぎながらベンチに戻った。
【3番ライト仙道…背番号7】
ネクストバッターズサークルからは昨年の打点王仙道人時がゆっくりと打席に向かう。
昨シーズンは打率.316 本塁打27 打点113 盗塁21をマーク。
ゴールドグラブ賞とベストナインを受賞し、MVP選考では3位に選ばれた。
4番の羽田が51本のホームランを打てたのも、前を打つ仙道の存在が大きい。
求道者の如く、バットを肩口に構え、教科書通りの様な基本に忠実なフォームはお手本とも言える。
「あの佇まいは要注意だ」
仙道の立ち姿を見て気を引き締めた。
仙道も、皐月から並の新人ではない雰囲気を感じ取った。
(ルーキーだなんて下に見てたら、痛い目に遭う)
眼光が鋭くなり、威圧感が増した。
(さて、初球は何を投げればよいのやら)
こんな時でも比村は平常心だ。
皐月同様、緊張する事無く、配球を組み立てる。
サインが決まった。
初球は様子を見るだろうと思い、ツーシームジャイロを要求した。
ワインドアップから初球を投げた。
アウトコースから縦に変化するツーシームジャイロだ。
「…」
仙道は引き付けてからコンパクトなスイングでボールを捕らえた。
「ヤバ…」
いつもなら初球を見送る仙道だが、好球必打とばかりにフルスイング。
打球はグーンと伸びて、レフトのポール際まで飛んだが、惜しくも切れてファール。
「あっぶねぇ、ボール1個分中に入ってたホームランだぜ」
さすがの比村も今の打球は焦った。
皐月はというと、ニヤッと笑みを浮かべた。
その笑みは強がりなのか、それとも読み通りなのか。
打った仙道も表情一つ変えず、再びバットを構えた。
(初球から振ってくるとは。それだけ、皐月を並のルーキーじゃないって事を認めているのか)
気を引き締めて次のサインを出す。
皐月が頷き、2球目を投げた。
今度はインコース高目に外れたフォーシームジャイロ。
「ボールワン!」
球速は128km/hをマーク。
(速い…)
さすがの仙道も、今の球は速いと感じた。
体感速度は140以上に感じる。
これで緩いカーブを混ぜれば、更に速く感じる。
次はどの球にするか。
(これだ)
サインが決まり、3球目を投げた。
87km/hのナックルカーブを見送った。
「ストライクツー!」
見送り方に余裕がある。
(ホームランさえ打たれなきゃ、ヨシとしよう)
サインを出す。
「…」
ポーカーフェイスで4球目を投げた。
ド真ん中だ。
「っ!」
思わず見送った。
「ストライクアウト!」
まさかのド真ん中で見逃しの三振に斬ってとった。
「ハァ~、助かった…」
ド真ん中とは仙道も予想しなかっただろう。
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