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開幕だぁ〜っ!
凄い変化のカーブ
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ツーストライクと追い込まれた唐澤。
しかし、ここからが唐澤の真骨頂だ。
再度東山がサインを出した。
(えぇ~っ、いくらなんでもそれは…)
さすがの比村も驚く。
(打たれても知らないよ、ホントに)
サインを出したのは東山だ。
東山が3球目を投げた。
何の変哲もないストレートだ。
「エッ…」
あまりの絶好球に一瞬判断が遅れた。
「ストライクアウト!」
「ウソ…ホントにド真ん中に投げるとは」
136km/hのストレートがド真ん中に決まった。
「クッソ~、やられた…」
打てば間違いなくスタンドインの球だった。
「やられたな、唐澤くん」
「球種と球筋が合ってないせいで、戸惑っているスキを突いたド真ん中…今までの東山くんとは違うな」
「でも、唐澤くんなら次の打席でアジャスト出来ると思います」
「だといいんだけどね」
「それは…どういう意味ですか?」
「さぁ…ただ、Glanzのベンチの雰囲気が去年と違うのが気になるだけさ」
櫻井は何かを感じ取ったのか。
唐澤が三球三振で倒れ、迎えるバッターは一発のある鬼束。
【3番ん、セカンドぉ~、鬼束ぁ~、背番号ぉ~、5ぉ~】
聞こえ方によっては、喘ぎ声にも聞こえる。
右の主砲、鬼束眞が打席に入った。
昨年は2位の43本塁打を放ち、今年こそ両リーグでの本塁打王を目指す。
3番鬼束、4番結城のクリーンアップは他球団にとっては脅威の的だ。
「さぁ、来い!」
バットを上段に構える姿は凛々しく、そして力強い。
剛の鬼束、柔の結城。
どちらも怖いが、塁に出すのは禁物だ。
東山はまだ榊から教わったカーブを投げていない。
この打席は比村がサインを出す。
しかし、東山は何度も首を振る。
(これもダメなのかよ…じゃあ、これはどう?)
すると、今度はゆっくり頷いた。
(初球からコレかよ?)
どうやら、ここで例のカーブを投げるらしい。
オーソドックスなオーバースローから初球を投げた。
ビーンボール気味のボールが鬼束の頭部目掛けて迫り来る。
「うぉっ…」
鬼束は首をすくめた。
だがボールは大きく変化してストライクゾーンに入った。
「ストライクワン!」
「…」
呆気に取られる鬼束。
東山の投げたカーブは鬼束の肩口から急激に曲がって、真ん中低めに入った。
「何だ、この変化は…」
左ピッチャーが左バッターに対して肩口から大きく曲がるカーブの様だ。
それを右ピッチャーの東山が右バッターの鬼束に対して投げた。
榊の伝授したカーブよりも遥かに曲がるカーブだ。
「私わかります(^^)」
「何が分かるんだよ!」
「東山選手は人一倍リストが強く、柔らかいです(^ ^)」
「だから何だっつーの!」
とにかくこの男と話すと疲れる。
「天性のリストから投げるカーブは、右バッターの背後から来るような変化をするんです(^ ^)
んだな(^^)」
「ウソだろ?」
「私わかります(^_^)」
「分かった、分かった!もういい!」
榊は閉口する。
(あのヤロー、オレが教えたカーブの更に上をいくカーブをマスターしやがった…なんて奴だ)
それだけではない。
東山はカーブだけで数種類の変化を操る程の上達ぶりだ。
鬼束の頭には先程の軌道が焼き付いて離れない。
(ヨシ、この打席は抑えたも同然)
東山は凡退を確信した。
2球目はワザと高目に外してボール。
3球目、アウトコースへワンシームでツーストライク。
4球目は真ん中低めから落ちるフォークで空振り三振。
これでスリーアウトチェンジ。
とても昨年まで登板数ゼロのピッチングとは思えない。
1回の裏、ブレーブスの攻撃も三者凡退で終了した。
しかし、ここからが唐澤の真骨頂だ。
再度東山がサインを出した。
(えぇ~っ、いくらなんでもそれは…)
さすがの比村も驚く。
(打たれても知らないよ、ホントに)
サインを出したのは東山だ。
東山が3球目を投げた。
何の変哲もないストレートだ。
「エッ…」
あまりの絶好球に一瞬判断が遅れた。
「ストライクアウト!」
「ウソ…ホントにド真ん中に投げるとは」
136km/hのストレートがド真ん中に決まった。
「クッソ~、やられた…」
打てば間違いなくスタンドインの球だった。
「やられたな、唐澤くん」
「球種と球筋が合ってないせいで、戸惑っているスキを突いたド真ん中…今までの東山くんとは違うな」
「でも、唐澤くんなら次の打席でアジャスト出来ると思います」
「だといいんだけどね」
「それは…どういう意味ですか?」
「さぁ…ただ、Glanzのベンチの雰囲気が去年と違うのが気になるだけさ」
櫻井は何かを感じ取ったのか。
唐澤が三球三振で倒れ、迎えるバッターは一発のある鬼束。
【3番ん、セカンドぉ~、鬼束ぁ~、背番号ぉ~、5ぉ~】
聞こえ方によっては、喘ぎ声にも聞こえる。
右の主砲、鬼束眞が打席に入った。
昨年は2位の43本塁打を放ち、今年こそ両リーグでの本塁打王を目指す。
3番鬼束、4番結城のクリーンアップは他球団にとっては脅威の的だ。
「さぁ、来い!」
バットを上段に構える姿は凛々しく、そして力強い。
剛の鬼束、柔の結城。
どちらも怖いが、塁に出すのは禁物だ。
東山はまだ榊から教わったカーブを投げていない。
この打席は比村がサインを出す。
しかし、東山は何度も首を振る。
(これもダメなのかよ…じゃあ、これはどう?)
すると、今度はゆっくり頷いた。
(初球からコレかよ?)
どうやら、ここで例のカーブを投げるらしい。
オーソドックスなオーバースローから初球を投げた。
ビーンボール気味のボールが鬼束の頭部目掛けて迫り来る。
「うぉっ…」
鬼束は首をすくめた。
だがボールは大きく変化してストライクゾーンに入った。
「ストライクワン!」
「…」
呆気に取られる鬼束。
東山の投げたカーブは鬼束の肩口から急激に曲がって、真ん中低めに入った。
「何だ、この変化は…」
左ピッチャーが左バッターに対して肩口から大きく曲がるカーブの様だ。
それを右ピッチャーの東山が右バッターの鬼束に対して投げた。
榊の伝授したカーブよりも遥かに曲がるカーブだ。
「私わかります(^^)」
「何が分かるんだよ!」
「東山選手は人一倍リストが強く、柔らかいです(^ ^)」
「だから何だっつーの!」
とにかくこの男と話すと疲れる。
「天性のリストから投げるカーブは、右バッターの背後から来るような変化をするんです(^ ^)
んだな(^^)」
「ウソだろ?」
「私わかります(^_^)」
「分かった、分かった!もういい!」
榊は閉口する。
(あのヤロー、オレが教えたカーブの更に上をいくカーブをマスターしやがった…なんて奴だ)
それだけではない。
東山はカーブだけで数種類の変化を操る程の上達ぶりだ。
鬼束の頭には先程の軌道が焼き付いて離れない。
(ヨシ、この打席は抑えたも同然)
東山は凡退を確信した。
2球目はワザと高目に外してボール。
3球目、アウトコースへワンシームでツーストライク。
4球目は真ん中低めから落ちるフォークで空振り三振。
これでスリーアウトチェンジ。
とても昨年まで登板数ゼロのピッチングとは思えない。
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