Baseball Freak 主砲の一振り 7

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開幕だぁ〜っ!

凄い変化のカーブ

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ツーストライクと追い込まれた唐澤。

しかし、ここからが唐澤の真骨頂だ。


再度東山がサインを出した。


(えぇ~っ、いくらなんでもそれは…)


さすがの比村も驚く。


(打たれても知らないよ、ホントに)


サインを出したのは東山だ。


東山が3球目を投げた。


何の変哲もないストレートだ。


「エッ…」


あまりの絶好球に一瞬判断が遅れた。


「ストライクアウト!」


「ウソ…ホントにド真ん中に投げるとは」


136km/hのストレートがド真ん中に決まった。


「クッソ~、やられた…」


打てば間違いなくスタンドインの球だった。



「やられたな、唐澤くん」


「球種と球筋が合ってないせいで、戸惑っているスキを突いたド真ん中…今までの東山くんとは違うな」


「でも、唐澤くんなら次の打席でアジャスト出来ると思います」


「だといいんだけどね」


「それは…どういう意味ですか?」


「さぁ…ただ、Glanzのベンチの雰囲気が去年と違うのが気になるだけさ」


櫻井は何かを感じ取ったのか。


唐澤が三球三振で倒れ、迎えるバッターは一発のある鬼束。


【3番ん、セカンドぉ~、鬼束ぁ~、背番号ぉ~、5ぉ~】


聞こえ方によっては、喘ぎ声にも聞こえる。



右の主砲、鬼束眞が打席に入った。


昨年は2位の43本塁打を放ち、今年こそ両リーグでの本塁打王を目指す。


3番鬼束、4番結城のクリーンアップは他球団にとっては脅威の的だ。



「さぁ、来い!」


バットを上段に構える姿は凛々しく、そして力強い。


剛の鬼束、柔の結城。


どちらも怖いが、塁に出すのは禁物だ。



東山はまだ榊から教わったカーブを投げていない。


この打席は比村がサインを出す。


しかし、東山は何度も首を振る。



(これもダメなのかよ…じゃあ、これはどう?)


すると、今度はゆっくり頷いた。


(初球からコレかよ?)


どうやら、ここで例のカーブを投げるらしい。


オーソドックスなオーバースローから初球を投げた。


ビーンボール気味のボールが鬼束の頭部目掛けて迫り来る。


「うぉっ…」


鬼束は首をすくめた。


だがボールは大きく変化してストライクゾーンに入った。


「ストライクワン!」


「…」


呆気に取られる鬼束。


東山の投げたカーブは鬼束の肩口から急激に曲がって、真ん中低めに入った。


「何だ、この変化は…」


左ピッチャーが左バッターに対して肩口から大きく曲がるカーブの様だ。


それを右ピッチャーの東山が右バッターの鬼束に対して投げた。


榊の伝授したカーブよりも遥かに曲がるカーブだ。


「私わかります(^^)」


「何が分かるんだよ!」


「東山選手は人一倍リストが強く、柔らかいです(^ ^)」


「だから何だっつーの!」


とにかくこの男と話すと疲れる。


「天性のリストから投げるカーブは、右バッターの背後から来るような変化をするんです(^ ^)
んだな(^^)」


「ウソだろ?」


「私わかります(^_^)」


「分かった、分かった!もういい!」


榊は閉口する。


(あのヤロー、オレが教えたカーブの更に上をいくカーブをマスターしやがった…なんて奴だ)



それだけではない。


東山はカーブだけで数種類の変化を操る程の上達ぶりだ。



鬼束の頭には先程の軌道が焼き付いて離れない。



(ヨシ、この打席は抑えたも同然)


東山は凡退を確信した。


2球目はワザと高目に外してボール。


3球目、アウトコースへワンシームでツーストライク。


4球目は真ん中低めから落ちるフォークで空振り三振。


これでスリーアウトチェンジ。



とても昨年まで登板数ゼロのピッチングとは思えない。



1回の裏、ブレーブスの攻撃も三者凡退で終了した。


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