Baseball Freak 主砲の一振り 7

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開幕だぁ〜っ!

1回の表

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クロフォードから打ちそうな雰囲気が漂う。

高山もその気配を察知したのか、初めて自分からサインを出した。


(何となくだが、次の白石よりもこのバッターに打たれるような気がする。
ここはクサイところを突いて歩かせてもいい)

白石よりも分が悪いと判断した。


高山が初球を投げた。

アウトコース外れてボール。


2球目は高目のボール球。


3球目は真ん中から外に逃げるスライダーでボールスリー。


スリーボールとなり、4球目はインサイドへ速球が決まりワンストライク。 

ストレートのフォアボールだけは避けたいと思い、1球だけストライクを入れたが、5球目はアウトコースのボール球を投げて歩かせた。


高山はしきりに首を傾げるポーズをしているが、わざと歩かせたとは悟られないよう演技をしている。


ワンアウトからランナーが出たGlanz、次のバッターはもう一人の天才、白石が打席に向かう。


【3番ん、ショートぉ~、白石ぃ~、背番号ぉ~、5ぉ~】


このクセのあるアナウンス、何とかならないものか。



赤と黒のバッティンググローブを付けた白石がゆっくりと右打席に入った。


去年は3割を切り、自己最低の成績に終わった。


それ故に今年に懸ける意気込みは人一倍強い。


打率.284 本塁打17 打点64 盗塁8と普通の選手なら及第点の成績だが、天才と呼ばれるバッターにしては物足りない数字だ。


ムダを一切省いた理想的な構えは教科書通りとも言える。


白石は結城や唐澤とは違い、球種が頭に浮かぶという事は無いが、どの球種にも対応出来るスイングでいとも簡単に打ち返すスタイル。


要は来た球を打つ、それだけなのだが、簡単に出来るものではない。


天性の才能に加え、試行錯誤を重ねた末に編み出した唯一無二のバッティングだ。



(まだこのバッターの方が抑える気がする)


高山は敢えて白石との勝負を選んだ。


左対右で不利な場面だが、高山には白石の方が抑えやすいと判断した。


この対決も高山がサインを出す。


セットポジションの体勢に入る。


一塁ランナークロフォードはやや大きめなリードをとっている。


高山は一塁へ牽制。


「セーフ!」


クロフォードは素早く帰塁。


クロフォードは俊足だが、盗塁の数は多くない。


盗塁は確実に成功出来ると判断した時のみ走る。


アウトになる確率が高い為、滅多な事では走らない。


クロフォードのリードが先程よりも小さくなった。


クイックモーションから初球を投げた。


インサイドへ食い込む143km/hのストレート、判定はボール。


僅かにコースが外れた。


白石はバットを振らず、ボールを軌道は観察している。

初球は必ずと言っていい程振らない。




(初球は振らない…余裕のつもりだろうが、それが命取りになる事も知らずに)


高山には勝算があるのだろう。


2球目、低めにカーブを落とした。


「ストライクワン!」


3球目、スライダーをアウトコースへ。


「ボールツー!」


カウントはツーボール ワンストライク。


4球目はインコース低めにストレート。


白石はこれをスイングするが、一塁線に切れてファール。


これでツーナッシングとなった。
 

再び高山がサインを出した。


そして一塁へ牽制。


勿論セーフ。


今の牽制は間を置くために行った。


そしてもう一度牽制。


判定はセーフ。



この間を白石は嫌った。


(早く投げろよ!意味の無い事して、何がしたいんだ、一体?)


イライラしてきた。



その様子を察知したのか、超クイックで5球目を投げた。


「うゎっ…ちょ…」


タイミングを外された白石の当たりはボテボテのショートゴロ。


ショート青島がキャッチして鬼束にトス。


鬼束はセカンドベースを踏んでフォースアウト。


ジャンプしながら一塁へスロー。


「アウト!」


6-4-3のダブルプレーでスリーアウトチェンジ。


1回の表、Glanzの攻撃は三者凡退で終了した。
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