Baseball Freak 主砲の一振り 7

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開幕だぁ〜っ!

試合開始

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昨年の石川は、打率.257 本塁打6 打点42 盗塁7という成績。

3割をマークしていた一昨年に比べるとかなり下がっている。

そんな石川をトップバッターにするとは。


主審の右手が挙がり、いよいよ今年のプロ野球がスタートした。


マウンド上の高山は大きく息をして第1球を投げた。


ノビのあるストレートがアウトコースに外れた。


「ボールワン!」


145km/hの速球で幕を開けた。


「オマエ、何でアイツを1番にしたんだよ!アイツは1番よりも、下位の方が良いに決まってるだろ!」


「私わかります(^^)」


「ぜってー分かってねぇよ、この顔は」


こんなマヌケ面したヤツが分かるわけが無い、と榊は思った。


「石川選手は選球眼と単打が多いです(^ ^)
私、心理カンセラーだから心読む先生言われます(^_^)」


「心理カンセラー?カウンセラーの間違いだろうが」


「私横文字が苦手です(^^)
んだな(^_^)」


選球眼と単打。

1番バッターに適したスタイルでもある。


「私わかります(^^)」


「いちいち言わなくていいだろ!」


「石川選手はチームで1番脚が速いです(^ ^)
朝の朝食に、いぶりがっことペペロンチーノありですか?」


スゲー組み合わせだ。


「オマエ、味覚がイカれてんじゃないのか?」


メシの話はさておき、石川はチーム1の俊足なのは確かだ。


盗塁はあまりしないが、成功率はかなり高い。


そこに着目するとは、バカなようでバカではないのか。



石川はスタンダードな構えでマウンド上の高山を見る。


思えば、大学時代は強打のショートストップとして鳴らしたが、プロ入り後はセカンドへコンバート。


時にはサードやファーストも守った。


ショートへの未練があるが、日本一のショートストップ、白石拓海がいる。


仕方なくセカンドを守ったが、これが彼のリズムにピッタリで、それ以来ショートに対するこだわりが無くなった。


二遊間を組む白石は石川について、

「石川さんのリズムに乗ると、自分も軽快に動けて守備が楽しくなる。あの人は日本一のセカンドですよ」

と絶賛する。




「…そんな感じで、石川選手を1番にしました、ムッシュ(^^)」


「誰がムッシュだ!」


ひろしは女性をマダム、男性をムッシュと呼ぶ。


ムッシュはさておき、マダムは相手が熟女だろうが、JKだろうが構わずこう呼ぶ。



何度も言うが、天才なのかそれとも天然なのか。




初球はボールとなったが、高山のストレートは悪くない。


球にスピンがかかり、手元でグンと伸びてくるボールだ。


そして2球目を投げた。


再びストレート、だが石川はこれをジャストミート。


鋭い打球が三塁線を襲うが、サードの梶が横っ飛びでキャッチ。


「アウト!」


アウトになったが、決して悪い当たりではなく、むしろ状態は良い。


【2番~、センターぁ、クロフォードぉ、背番号ぉ、24ん~】


この球場のウグイス嬢は独特の語尾を伸ばしてアナウンスする。


ワンアウトとなり、続くバッターはa jet-black bullet(漆黒の弾丸)マイク・クロフォードが登場。


漆黒の弾丸と名付けたのは財前だ。


当初は肌の色を揶揄されたものだと思い、不快感を顕にしたが、その理由を聞いて大変気に入ったらしい。


その理由とは、


「キミにはバッティングに期待するのは勿論だが、それ以上にメジャー仕込みの脚力を生かした広い守備範囲に期待している。
漆黒の弾丸はそういう意味を込めて名付けたのさ」


そう言われ、クロフォードは全てのプレーに全力を注ぐ事を決意した。


190cmという長身に加え、黒人特有のしなやかな肢体は全身がバネのようだ。


普段は陽気で笑顔が絶えないクロフォードのモットーは【1日をハッピーで真面目に過ごす】との事。


何事にも真面目に取り組み、常にハッピーな気分で接すれば、周りの人もハッピーに出来ると言う。


打席に立つクロフォードはまるで力感の感じられない自然体の構えをしている。


トップの位置はやや高く、リズムを取るためか、バットの先端が小刻みに揺れている。


左対左の対決だが、何かを期待させてくれそうな予感だ。
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