Baseball Freak 主砲の一振り 7

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開幕!

1回の裏

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片山は名実ともにエースになる為、何が必要なのかを考えた。

辿り着いた答えは、ストレートの速さよりも、変化球のキレよりも、心理的なピッチングをするのがベストだと考えた。

そこでオフの間、真咲にピッチングの極意を教わった。

真咲は変幻自在と呼ばれる緩急とバッターの心理を読み取ったピッチングで日本一に貢献した。


真咲に弟子入りしたきっかけは、幼稚園の頃から習っていた水泳のお陰で肩甲骨周りが柔軟だ。

同じ左腕投手で身体が柔らかいと言えば真咲が浮かぶ。


そこで片山は真咲を手本として、ピッチングの駆け引きや間を学んだ。


元ヤン故に強気で攻め一辺倒のピッチングがウリだが、その代償として手痛い1発を浴びる事も多い。

昨年の被本塁打数はリーグトップという、不名誉な記録を払拭する為、真咲の教えを乞うた。




「ストライクスリー!」





かつてのチームメイトでもある、3番保坂を真咲から伝授されたスローカーブで空振りの三振に獲り、1回の表を三者凡退に打ち取った。





1回の裏、Glanzの攻撃は今年から新加入した城戸が打席に入った。


対するDodgersの先発はかつてのチームメイト梁屋。


元チームメイトがバッテリーを組んでGlanz打線に立ち向かう。


城戸は左打席でバットをやや上段に構える独特のフォームからヒットを量産。


過去には最多安打や盗塁王を獲得した事もある核弾頭だ。




マウンド上の梁屋は昨年11勝9敗、防御率は3.57をマーク。

Dodgersの左のエースとして今年も活躍が期待される。



マスクを被る保坂がサインを出した。


大きく頷き、第1球を投げた。


城戸はそれを見送る。


「ストライクワン!」


アウトコースに143km/hのストレートが決まった。



調子は良さそうだ。



左対左の対決だが、城戸は対左の打率は.296と苦にしない。



続けて2球目は伝家の宝刀、落差の大きい縦のカーブがやや外れた。


「ボールワン!」


カウントはワンボール、ワンストライク。



テンポ良く3球目はインコースへ138km/hのツーシーム。


「ストライクツー!」


城戸はまだ1度もバットを振ってない。


タイミングが合わないのか、それとも決め球を待っているのか。



(何を待っているんだろう)


マスク越しから城戸の様子を伺う。



ストレートでもない、カーブでもない。


ならば何を待っているのか。


梁屋の持ち球は、フォーシーム ツーシーム スライダー カーブ チェンジアップ。



(これにしてみよう)


保坂がサインを出した。



梁屋は1度首を振る。


それでも保坂はサインを変えない。



分かったよ、と言った表情で頷き、4球目を投げた。



今度はインコースからアウトコースへ流れる低めのスライダー。


城戸はこれを狙い済ましたように左方向へ打ち返した。


痛烈な打球が三遊間を襲うが、ショートト部の真正面。



「チッ、いい当たりだったんだけどな」


少し悔しそうな表情を浮かべてベンチに戻った。



まずはワンアウト。


そして2番は昨年のMVPで3年連続首位打者を獲得した、白石拓海が右打席に入った。


打率.348(1位) 本塁打23  打点83  盗塁21

出塁率.442(1位) OPS1.073(1位)


右の白石、左の唐澤というツートップの天才を擁するGlanz。


白石を抑えても、次は唐澤が待ち構えている為に相手ピッチャーはいつも以上に神経を使う。



唐澤と同じ自然体のフォームだが、白石は若干猫背の姿勢だ。




(全く…コイツの次は唐澤だし、気が休まらねえよ)


保坂もリードに苦心する。




何を投げるか。



サインが決まり、初球を投げた。


大きく縦に割れるカーブがインコース低めへ。


白石はこれを見送った。



「ボールワン!」



唐澤はピッチャーがリリースの直前、配球が頭に浮かぶという特殊な能力を持っているが、白石の場合は来た球を自在に捕えるバッティングを持ち味にしている。


配球を読んで打つスタイルにチャレンジしたが、全く読めずに、シンプルに来た球を打つというスタイルに戻した。



それはそれでかなりの能力だと思うのだが。



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