Baseball Freak 主砲の一振り 7

開幕！

二連覇へ向け

3月2X日。

今年もプロ野球の公式戦が一斉にスタートした。


二連覇を狙うSAITAMA Glanzは、本拠地 さいたま S Villageで九州の雄、Fukuoka Dodgersを迎え撃つ。


日本の球場…もとい、世界で初の外野スタンドに温泉が設けられているこの球場では、お湯に浸かりながら野球観戦という贅沢な環境がウリだ。


開幕戦とあって、約36000人の超満員に膨れ上がり、Glanzの人気の高さを物語る。



開幕投手は、Dodgersが梁屋 Glanzは昨年最多勝を獲得した片山の両左腕が激突。


Dodgersのスターティングメンバー




1 2B 福田 2
2 CF 島津 8
3  C  保坂 27
4 SS 卜部 9
5 RF ｽﾀﾝﾄﾝ 99
6 DH 及川 11
7 LF 斎藤 1
8 3B 与田 6
9 1B 陣内 33


先発 梁屋 16


主砲の斐川を失ったDodgersだが、6番指名打者で出場する昨年のドラフト1位 及川 奈央也（おいかわなおや）は投手兼外野手の二刀流として期待がかかる。


及川は九州商工大学で投打に渡って大学選手権を制覇した逸材で、本人の強い希望により二刀流としてDodgersが1位で指名した。


他球団は野手として指名したかったが、二刀流としてプロの世界に入りたいという要望に応えられず、獲得を断念した。



他にも、昨年新人王を獲得した島津、4番でショートを守る卜部、新外国人のｽﾀﾝﾄﾝのクリーンアップは脅威だ。



対するSAITAMA Glanzのスターティングメンバーは


1 RF 城戸 6
2 SS 白石 5
3 LF 唐澤 1
4 CF 森高 7
5 3B 吉岡 2
6 2B 石川 8
7 DH 庵野 4
8 1B 徳川 23
9  C  滝沢 9


先発 片山 19


今年からGlanzに加入した城戸、昨年MVPの白石、天才唐澤の活躍が二連覇のカギとなる。

投手では、ゴールデンルーキーの反町が抑えに指名され、魔球と言われる縦のシュートを武器に最終回を支配する。





開幕戦ならではの華々しいセレモニーが終わり、午後2時に主審のプレーボールの声と共に今年も約半年に渡るペナントレースがスタートした。



1回の表、Dodgersの攻撃は1番セカンド福田。


スイッチヒッターの彼は右打席に入り、小刻みに身体を揺すらせながらバットを構えた。


Dodgersの切り込み隊長として、昨年は打率.268 本塁打3 打点38 盗塁16を記録。

選球眼が良く、出塁率は.384と高い。



マウンド上の片山は2年連続開幕投手を務める。


元ヤンだけにマウンド度胸はピカイチ。


「…しかし、開幕投手ってのは、いつもと様子が違うよな」


強心臓の片山でも開幕戦は少し緊張するらしい。




マスクを被る滝沢のサインを見て頷く。


独特のモーションから第1球を投げた。


若干指の引っかかりが悪かったのか、ボールは高めに大きく外れた。


「ボールワン！」


「アチャ～、やっちまった」


球速は137km/h 

甘く入ったら、初球から通打されそうな球だ。


しかし、この1球で気持ちがほぐれた。



2球目は146km/hのストレートが決まりワンストライク。

3球目はインコースへスライダーを投げ、福田はバットを合わせるもファール。


カウントはワンボール、ツーストライク。


4球目は昨年好成績の要因ともなった、縦のスライダーで空振りの三振。


球場がワァという歓声に包まれた。



「ヨシ、今日もイケそうだ」


手応えを掴んだみたいだ。