Baseball Freak 主砲の一振り 7

ストーブリーグ

年が明けて

年が明けた。


選手たちは2月1日のキャンプインに備え、自主トレを開始する。

温暖な気候の海外へ出発する選手もいれば、国内で身体を仕上げる選手も多い。


リーグや球団の垣根を越えて、一緒にトレーニングする事も珍しくない。


Glanzでは、唐澤斗真がかつてのチームメイトで憧れの選手でもある、甲府ブレーブスの結城千聖と鬼束眞と共にグアムで自主トレを行った。





2月1日、一斉にキャンプインとなった。


Glanzは例年通りに沖縄県の那覇市でキャンプを行う。


中でも注目の選手は、名古屋99ersからFA移籍した城戸裕次郎と、ドラフト1位のスーパールーキー、反町廉の2人だ。


背番号6の城戸と、背番号15の反町がキャンプ初日から玉のような汗を流す。



城戸は黙々と素振りを続け、反町は走り込みで汗だくになる。




「…」



その様子を中田監督がベンチからジーッと見つめる。



中田が思う今年の構想は、



1 RF 城戸
2 SS 白石
3 LF 唐澤
4 CF 森高
5 3B 吉岡
6 DH ｼﾞｮｰﾀﾞﾝ
7 2B 石川
8 1B 徳川（小津）
9  C  滝沢



先発枠


中邑
片山
降谷
桐生
木戸
伊達（反町）


中継ぎ


金澤
冴島
ジェイク
向井



抑え


真咲


昨年とあまり変化は無いが、今年も安定した能力を発揮出来るメンバーで2連覇を目指す。



そして今年の首脳陣は、


監督 中田

ヘッドコーチ 勅使川原

野手総合コーチ 畑中

投手チーフコーチ 高峰

打撃コーチ 伊東

守備走塁コーチ 松岡

バッテリーコーチ 井原

ブルペンコーチ 川本



今年から打撃コーチの伊東、守備走塁コーチの松岡、ブルペンコーチの川本が就任した。



伊東はかつて長野ニックスで首位打者を獲得、バッティングにおいては、独自の視点で選手に合ったスイングを指導する事に定評がある。


松岡は札幌ウォーリアーズの二塁手で、盗塁王3回、ゴールドグラブ賞5回を受賞する名プレイヤー。


川本は北陸レッズ時代にセーブ王に輝いたストッパーで、抜群の制球力を誇る。




この3人を推したのは勅使川原だ。



いずれも理論派で、選手が理解するまで根気よく教えるというスタイルが決め手となった。




「なぁ、中（チュン）。去年は日本一になったし、2連覇だって周りは言うけど、お前はそんなつもりは無いんだろ？」


麻雀好きな勅使川原が中田の事をそう呼ぶ。


この2人は高校時代の同級生でもあり、野球部のチームメイトでもある。


「ん～、何だかなぁ…どうも、カントクってガラじゃねぇよな、オレは」


「そう言いながら、今年もカントクやってんじゃねぇか」


「だって、日本一になったからな。これが優勝逃して辞めますってんなら、辞めさせてくれたんだろうがな」


どうやら、中田には監督業が向いてないみたいだ。


「だったら、シーズン途中で休養って形で誰かにバトンタッチしちまえよ」


「じゃあ、テッシー…お前、代わりにやってくれるか？」


「冗談じゃねぇよ、ヘッドコーチだってキツいのに、カントクなんてやってられっかよ！」



キャンプインだというのに、カントクとヘッドコーチが辞める、辞めないという話をしているんだから、今年はどうなる事やら。