Baseball Freak 主砲の一振り 7

ストーブリーグ

戦力補強

ドラフト1位は6球団競合となった社会人ナンバーワンの反町 廉（そりまちれん）投手を獲得。

契約金1億五千万、年俸1500万プラス出来高に加え、背番号15を用意して契約を結んだ。


右腕から放たれる158km/hの速球と左打者のインコースに食い込むカットボール、そしてプロでも打つのは困難と言われる落差の大きいフォークボールを武器にする本格派。


父親は北陸ホワイトソックス（現 北陸レッズ）の名選手で歴代3位の582本塁打を記録する勉（つとむ）。


反町がローテーション枠に入れば連覇の確率はかなりアップする。



2位に指名したのは、修斗大学のキャッチャー、比村 裕紀（ひむらゆうき）。


全国的には無名だが、110mの遠投と正確なスローイングはすぐにでも一軍で通用出来る程だ。


課題はバッティングでプロの変化球に対応するまで二軍で経験を積むのがベストだろう。


中田は反町よりも比村に将来性を感じ、じっくりと育てる方針らしい。



3位指名は大阪東光学院の左腕エースで、予選の準決勝戦で19奪三振を記録した、杏 亮太（あんりょうた）。


サイド気味のスリークォーターから140中盤の速球とスライダー、チェンジアップ、シンカーを操り、特にシンカーは右バッターの視界から消えると言われる程の切れ味で奪三振能力が高い。


しかもリリースはバッターに見えない位置から投げる為、速球と変化球の見分けがつきにくい。



その他は、大卒社会人でサイドスローの梅澤 海（うめざわかい）、高校通算47本塁打を記録する、渡邉 剛志（わたなべつよし）内野手、俊足好打のスイッチヒッターで広島志学館大学の毛利 英寿（もうりひでとし）らが下位指名を受けた。




ドラフト指名は概ね成功だが、新人の補強の次は新外国人選手の補強だ。


トップバッターのルイス、30本塁打をマークしたロビンソンは退団となれば、早急に新外国人を獲得しなければならない。


いっその事、外国人選手無しで来シーズンを戦うという案も合ったのだが、さすがにそれは難しいだろうと、めぼしい選手をピックアップした。


とは言え、この時期にネームバリューのある選手を獲得するのは無理だ。


中田監督が希望する外国人選手は、左の大砲で指名打者として起用する予定なので、守備の方は多少目をつぶるつもりだ。


「いる、そんな選手？」


「メジャーとマイナーを行き来するような選手なら、いるんじゃないのかなぁ」


「そんな事よりも、要は日本の野球に対応出来るのが重要だろ」


3人は（榊、中田、勅使川原）いつものように、侃侃諤諤（かんかんがくがく）の意見が交わされた。



その中で、面構えの良い外国人選手が画面で豪快なホームランを放った。


「スゲー当たりだな」


「ライトスタンドの上段に叩き込んだぞ」


「今のストレート、150以上は出てたろ」


その外国人選手は褐色の肌で全身鋼の様な筋肉に覆われていた。

しかも、背丈は190近い長身だ。



「コイツの名前は？」


「ん～…エーット、アレックス・ジョーダン、28歳」


アレックス・ジョーダン。


ロサンゼルス出身で現在はミルウォーキー・タイガース傘下の3Aに所属する右投左打の外野手だ。


やや大振りだが、鋭いスイングは当たれば飛距離はかなり出るとみた。



「ストレートには強そうだけど、日本のピッチャーの変化球に対応出来るのか？」


「典型的な三振かホームランってタイプじゃねぇの」


だが、アレックスは打率が低いが出塁率は高い。



「そうでもねぇだろ、これだと打率が.254だけど、出塁率は.362だぞ」


打率と出塁率の差が1割以上ある。



「フリースインガーってタイプじゃなさそうだな」


3人はアレックスに興味を示した。