プロ野球選手が異世界に転移したら向こうでも野球をやるハメに… 〜主砲の一振り Another story

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覇者 プリースト

勝てっこない

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近衛はミリアが集めた、プリーストのデータに目を通していた。


「これだけじゃどんなチームなのか分かんないなぁ…実際にプレーを見ないとな」


「試合観たいの?」


「そりゃそうだよ。どんな試合するのか、観るのが一番じゃん」


あいにくと、この世界にはデジタル機能は存在しない。


「それなら、こんなのはどう?」



ミリアは魔法を唱え、目の前にスクリーンが映し出された。


「おぉー、まるで映画みたいだな!」


その中ではプリーストの試合が映像化されている。



「こんなの観ても参考になるかどうか…」


「知らないより、知っておいた方がいいだろ」



目の前の画面を食い入るように観た。




スクリーンには、プリーストがエンパイア・アマゾーンとの試合が収録されていた。


しかもアマゾーンの本拠地でもある、ウェヌス神殿での試合とあって、露出過多なユニフォームに身を包んだナインが相手だ。



「ほぉ~、あの露出狂どもに惑わされる事無く、ちゃんと試合してるじゃん」



プリーストナインはアマゾーンの色仕掛けにも反応せず、しっかりとした試合運びで優位に進めていった。



ソツのない守り、機動力を生かした攻撃で付け入る隙を与えず、アマゾーンを完封に抑えた。




「ふ~ん、確かに強いけど、探せば弱点はありそうだな」


「えぇっ、ホントに?」


「どんなチームでも、必ず弱点ってあるもんだよ」


「どこが弱点なの?」


「そう焦るなよ。
その前にミーティングしよう!
ミリア、皆を呼んでくれ」


ロッカールームでミーティングが行われた。






プリーストで要注意な選手は、1番を打つ ヴラディミール=ジョースター外野手と、守備の要でもある ロベルト=マークス捕手、そして不動のストッパー ジョナサン=ランカー投手の3人だ。




ヴラディミールは現在.436という驚異的な打率を誇り、自慢の脚力で内野安打を量産するバッターだ。

塁に出れば瞬く間に二盗、三盗を決め、本盗も難なく成功させる要注意人物だ。



ロベルトはプリーストの頭脳と称される程の捕手で、自慢の強肩とインサイドワークで投手陣を支える。



そして極めつけは、ナックルボールを操る抑えのジョナサンだ。

投球の9割がナックルで90~110km/hの遅い球だが、軌道が読めずにバッターは四苦八苦する。

防御率は0.00、いまだ失点0のパーフェクトクローザーだ。






「ほほぉ~、こりゃまた厄介な連中だなぁ」


近衛がそう言うと、他の選手たちも弱音を吐く。



「勝てっこねぇって、オレたちじゃ」


「もう、何年も勝ってないんじゃないか」


「少なくとも10年以上は勝ってないんじゃ…」


とにかく、今のままじゃ勝ち目は無い。



(はァ…コイツらじゃダメだ。カントクに相談しよ)



「ミリア、カントクは何処にいる?」


「さぁ…ベンチじゃない?」


「ちょっと探してくる」


近衛はベンチに向かった。
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