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異世界で恋人っ?
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イシューの振り逃げでランナー出塁したものの、ノーヒットノーランはまだ継続している。
チャールトンが申し訳ないと謝るが、守屋は笑顔で気にするなと肩を叩いた。
守屋の最大の持ち味は速球や変化球ではなく、どんな時でも動じない平常心だ。
それは、恩師で近衛の父親でもある清志郎の教えでもあり、そのお陰で守屋はナンバーワンピッチャーとして君臨する。
ノーアウトランナー一塁の場面で次のバッターは2番ヤディーヤ。
しかし、ランナーを出しても不動の守屋はヤディーヤを三振に仕留めた。
そして3番近衛が打席に向かう。
第1打席はライトフライ、第2打席はファーストゴロに抑えられている。
(ここが勝負どころだ)
ピコーン…
「あ、また能力が」
頭の中でステータスパネルをイメージした。
軽く目を閉じると、ブゥゥン…とステータスパネルが浮かび上がった。
【特殊能力《不動の心》を習得した!】
「オレも守屋さんみたいに平常心を手に入れたって事か」
バットを掲げ、大きく深呼吸をした。
(確かに、オレと守屋さんじゃ力の差は歴然だ。
だが、ここは日本じゃなく異世界だ。異世界ならば、いくつもの特殊能力を手に入れたオレの方が上だ…)
いつもよりも更に心が穏やかになった。
身体に余分な力は一切無く、脱力した状態だ。
その姿を見て、守屋はニヤッと笑った。
「力みの無い、リラックスした構えだ…
この打席は要注意だな」
フォークを投げなきゃ打たれてしまう、そう感じた。
守屋がサインを出した。
チャールトンは更に深く腰を落として構えた。
(…フォークが浮かんだ!という事は、初球からフォーク?)
初球はフォークと読んだ。
守屋は自信満々の表情で仁王立ちしている。
(ヨシ、初球勝負だ)
フォークに狙いを定めた。
独特の二段モーションから初球を投げた。
右腕から放たれたボールは速度を上げて迫り来る。
すると、特殊能力《神眼》が作動した。
(回転が少ない…という事は、フォークだ!)
守屋のフォークは、ストレートやスライダーに較べて回転数が少ない。
「ココだっ…」
フォークの軌道をイメージして、ややアッパー気味にスイングした。
近衛はボールが縦に変化したところを上手く捕らえた。
「バカなっ、あのフォークを!」
グシャッとボールがひしゃげたと同時に反発し、ピンポン玉の様にライト方向へ高く上がった。
ライトを守るニールが遥か頭上の打球を見上げた。
その見上げた打球はスタンド上段に突き刺さった。
「は、入った…」
「ホームランだっ!!」
「ノーヒットノーランを阻止したっ!」
チームメイトはベンチで歓喜の声を上げた。
近衛の第8号ツーランで難攻不落の守屋から2点を先制した。
打たれた守屋はライトスタンドを見ると、「フフフフっ」と笑った。
「あのフォークを打つとは…近衛、キミはこの短期間で物凄い成長をしたようだな」
悔いはなく、寧ろ清々しい表情をしている。
「ウッソーっ!モリーヤ=ケントが打たれるなんて!」
守屋をこの世界に召喚したクレアが驚く。
「あの完全無欠なモリーヤ=ケントを打ち崩したコノエ=カツヤ…アァ、何てステキなの♡」
近衛の勝負強さを目の当たりして惚れ込んだみたいだ。
近衛はホームを踏んでホームイン。
ベンチに戻るとチームメイトが一斉に集まった。
「スゲーよ、コノエ!」
「これでこの試合はもらった!」
「ナイスバッティング!さすが、黄金ルーキ!」
「ハ、ハハハ…ありがと」
後は8回、9回を守りきるのみ。
「コノエ、この裏はマウンドに上がってくれ」
「えぇ~っ、せっかくホームラン打ったのに、次はピッチャーやるの?」
「当然だ、お前が打ってお前が投げるんだ!勝つためにはお前の二刀流が不可欠なんだよ」
「マジすか…」
監督の指示で7回の裏はマウンドに上がる事となった。
その後、近衛は7回の裏を三者凡退に打ち取り、0対2のまま最終回は守護神メイズがピシャリと抑えてワイズスが勝利した。
近衛は8号本塁打と9ホールドをマーク。
「何とか勝てたけど、これが日本だったら、守屋さんに抑えられてただろうな」
勝利の要因は、幾つもの特殊能力を取得した事だろう。
異世界では近衛の方が上だが、実力的には守屋の方が遥かに上だ。
「負けたよ、今日は」
「守屋さん…」
試合後、守屋は近衛と会話をした。
「ビックリしたよ、近衛があのフォークをスタンドに運ぶとはなぁ」
「いや、マグレっすよ」
「近衛、キミはいつまでこの世界にいるつもりなんだい?」
「いつまでと言われても…チームが優勝するまでです」
守屋は笑みを浮かべた。
「そうか…僕はこれで元の世界に戻るんだが…近衛、キミが戻ってくるのを待ってるから、早く戻ってくれ」
「えぇっ、守屋さん戻るんですか?」
「うん、どうやら僕は手違いでコッチの世界に来たらしい」
「…手違い…じゃあ、これから日本に戻るんですか?」
「あぁ…だから、キミも早く戻ってくれ。そして、僕たちでブルーソックスを優勝するんだ」
もう近衛は一軍半の選手じゃない、立派に主力選手としてブルーソックスを勝利に導く存在だと確信した。
「分かりました…後から自分も駆けつけます。どうかその時まで待っててください」
「分かった…では、また会おう」
守屋は背を向け手を振ると、通路の奥へと消えていった。
あの先には現世と繋がる空間があるみたいだ。
「守屋さん…手強い相手だったなぁ。とにかく1日でも早く元の世界に戻らなきゃ」
とは言え、優勝するにはまだまだだ。
チャールトンが申し訳ないと謝るが、守屋は笑顔で気にするなと肩を叩いた。
守屋の最大の持ち味は速球や変化球ではなく、どんな時でも動じない平常心だ。
それは、恩師で近衛の父親でもある清志郎の教えでもあり、そのお陰で守屋はナンバーワンピッチャーとして君臨する。
ノーアウトランナー一塁の場面で次のバッターは2番ヤディーヤ。
しかし、ランナーを出しても不動の守屋はヤディーヤを三振に仕留めた。
そして3番近衛が打席に向かう。
第1打席はライトフライ、第2打席はファーストゴロに抑えられている。
(ここが勝負どころだ)
ピコーン…
「あ、また能力が」
頭の中でステータスパネルをイメージした。
軽く目を閉じると、ブゥゥン…とステータスパネルが浮かび上がった。
【特殊能力《不動の心》を習得した!】
「オレも守屋さんみたいに平常心を手に入れたって事か」
バットを掲げ、大きく深呼吸をした。
(確かに、オレと守屋さんじゃ力の差は歴然だ。
だが、ここは日本じゃなく異世界だ。異世界ならば、いくつもの特殊能力を手に入れたオレの方が上だ…)
いつもよりも更に心が穏やかになった。
身体に余分な力は一切無く、脱力した状態だ。
その姿を見て、守屋はニヤッと笑った。
「力みの無い、リラックスした構えだ…
この打席は要注意だな」
フォークを投げなきゃ打たれてしまう、そう感じた。
守屋がサインを出した。
チャールトンは更に深く腰を落として構えた。
(…フォークが浮かんだ!という事は、初球からフォーク?)
初球はフォークと読んだ。
守屋は自信満々の表情で仁王立ちしている。
(ヨシ、初球勝負だ)
フォークに狙いを定めた。
独特の二段モーションから初球を投げた。
右腕から放たれたボールは速度を上げて迫り来る。
すると、特殊能力《神眼》が作動した。
(回転が少ない…という事は、フォークだ!)
守屋のフォークは、ストレートやスライダーに較べて回転数が少ない。
「ココだっ…」
フォークの軌道をイメージして、ややアッパー気味にスイングした。
近衛はボールが縦に変化したところを上手く捕らえた。
「バカなっ、あのフォークを!」
グシャッとボールがひしゃげたと同時に反発し、ピンポン玉の様にライト方向へ高く上がった。
ライトを守るニールが遥か頭上の打球を見上げた。
その見上げた打球はスタンド上段に突き刺さった。
「は、入った…」
「ホームランだっ!!」
「ノーヒットノーランを阻止したっ!」
チームメイトはベンチで歓喜の声を上げた。
近衛の第8号ツーランで難攻不落の守屋から2点を先制した。
打たれた守屋はライトスタンドを見ると、「フフフフっ」と笑った。
「あのフォークを打つとは…近衛、キミはこの短期間で物凄い成長をしたようだな」
悔いはなく、寧ろ清々しい表情をしている。
「ウッソーっ!モリーヤ=ケントが打たれるなんて!」
守屋をこの世界に召喚したクレアが驚く。
「あの完全無欠なモリーヤ=ケントを打ち崩したコノエ=カツヤ…アァ、何てステキなの♡」
近衛の勝負強さを目の当たりして惚れ込んだみたいだ。
近衛はホームを踏んでホームイン。
ベンチに戻るとチームメイトが一斉に集まった。
「スゲーよ、コノエ!」
「これでこの試合はもらった!」
「ナイスバッティング!さすが、黄金ルーキ!」
「ハ、ハハハ…ありがと」
後は8回、9回を守りきるのみ。
「コノエ、この裏はマウンドに上がってくれ」
「えぇ~っ、せっかくホームラン打ったのに、次はピッチャーやるの?」
「当然だ、お前が打ってお前が投げるんだ!勝つためにはお前の二刀流が不可欠なんだよ」
「マジすか…」
監督の指示で7回の裏はマウンドに上がる事となった。
その後、近衛は7回の裏を三者凡退に打ち取り、0対2のまま最終回は守護神メイズがピシャリと抑えてワイズスが勝利した。
近衛は8号本塁打と9ホールドをマーク。
「何とか勝てたけど、これが日本だったら、守屋さんに抑えられてただろうな」
勝利の要因は、幾つもの特殊能力を取得した事だろう。
異世界では近衛の方が上だが、実力的には守屋の方が遥かに上だ。
「負けたよ、今日は」
「守屋さん…」
試合後、守屋は近衛と会話をした。
「ビックリしたよ、近衛があのフォークをスタンドに運ぶとはなぁ」
「いや、マグレっすよ」
「近衛、キミはいつまでこの世界にいるつもりなんだい?」
「いつまでと言われても…チームが優勝するまでです」
守屋は笑みを浮かべた。
「そうか…僕はこれで元の世界に戻るんだが…近衛、キミが戻ってくるのを待ってるから、早く戻ってくれ」
「えぇっ、守屋さん戻るんですか?」
「うん、どうやら僕は手違いでコッチの世界に来たらしい」
「…手違い…じゃあ、これから日本に戻るんですか?」
「あぁ…だから、キミも早く戻ってくれ。そして、僕たちでブルーソックスを優勝するんだ」
もう近衛は一軍半の選手じゃない、立派に主力選手としてブルーソックスを勝利に導く存在だと確信した。
「分かりました…後から自分も駆けつけます。どうかその時まで待っててください」
「分かった…では、また会おう」
守屋は背を向け手を振ると、通路の奥へと消えていった。
あの先には現世と繋がる空間があるみたいだ。
「守屋さん…手強い相手だったなぁ。とにかく1日でも早く元の世界に戻らなきゃ」
とは言え、優勝するにはまだまだだ。
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