プロ野球選手が異世界に転移したら向こうでも野球をやるハメに… 〜主砲の一振り Another story

sky-high

文字の大きさ
上 下
42 / 69
異世界で恋人っ?

アイリーンの正体 その1

しおりを挟む
「困った子ね、まったく・・・」

そう言うと、夏樹は手提げバックを開いてハンカチを雪子の前に差し出した。

「あっ、クマさんだ!」

「ふふっ、可愛いでしょ?」

雪子は、受け取ったハンカチで涙を拭きながら、チラチラと夏樹の顔を見ていた。

「な~に・・・?」

「別に・・・なんでもないよ」

「そういえばさ、あんた、あたしを憎んでたんじゃなかったの?」

「うん、憎んでたよ。それに恨んでたし・・・」

「あら?はっきり言うのね」

「それだけじゃないよ。思いっきり!大っ嫌いだったもん!」

「あはは、そこまで言う?」

「だって、本当の事だし」

なぜなのかは分からないが、夏樹は照れながらマスクの紐に手をかけた。

「ちょっと、ふーちゃん?」

「な~に・・・?」

「そこまで言わせておいて、どうしてって訊かないの?」

「ふふっ、答えは、あたしの目の前にいるじゃない?」

そう言うと夏樹はマスクを外して見せた。
というより、マスクをしたままではコーヒーが飲めないと言った方が正解だろう。

「うわっ・・・うそ?」

「ん?嘘って、何が?」

「だって・・・」

「もしかして、あたしって綺麗?」

「あはは・・・。もう~、ふーちゃんったら」

泣いたカラスがもう笑ったがそのまま適応している雪子を見ながらではコーヒーが飲めないので、窓の外に視線を移しながら夏樹はコーヒーを口にした。

あらあら・・・鬼の形相なんかしちゃったら、せっかくの美人が台無しなんじゃないかしら?
とはいえ、ここからは元妻の顔までは見えないけど、
と~っても怖い雰囲気がビシ!ビシ!と、ここまで伝わってきてるわよ。
京子、あたしを恨む事で今を生きる事は出来てもね、それじゃ、いつまでも明日が見えないのよ。

京子、理解した?
さっきね、わざとなのよ!
わざと、あんたに見せつけてあげたのよ!
あんた、それに気がついていなんでしょ?
あんたがいつまでもウジウジとあたしの事を恨む毎日を送ってるから見せつけてあげたの。

あんたが自分は悪くないと思う事はあんたの勝手だけど。
でもね、そんなあんたのままじゃ、いつか子供たちにも出て行かれちゃうわよ?

とはいっても、京子?
あんたにとって雪子の存在は、ある意味において地獄かもね?
それよりも、昔の旦那が女性になっていたって事の方がショックだったかしら?

「ふーちゃん、何、考えてるの?」

「ん・・・?どうして?」

「だって、さっきからずっと窓の外を見てるし」

「ずいぶん雪が降るわね~って思ってね」

「でも、ふーちゃんって綺麗なんだ!」

「あい・・・?」

「それだったらマスクなんかしなくも大丈夫だよ」

「だから昼間マスクをしていないと、寝る時に咳が止まらなくなるって言ってるでしょ?」

「なんか、もったいないね」

「すっかり揉まれる事を忘れちゃってるあんたの可愛い胸の方がもったいないわよ」

「ふーちゃん、揉みたいの?」

「ほら、ウエイトレスさんが聞いてるわよ」

「へへへ・・・」

変わらないわね、そんなとこも。雪子は、今も、あの頃のまま・・・。
そして、あの日から、雪子の時間は止まっていたのね・・・やっぱり・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

М女と三人の少年

浅野浩二
恋愛
SМ的恋愛小説。

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

処理中です...