プロ野球選手が異世界に転移したら向こうでも野球をやるハメに… 〜主砲の一振り Another story

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エキサイティングリーグ開幕

10数年ぶりの

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メイズの持ち味は、140を超えるストレートにスライダー、フォークで三振を奪う。

特にフォークは落差が大きく、バッターの視界から消えるように鋭く変化する。


だが、先程も述べたように気持ちにムラがあり、安定感が無いのが最大の欠点でもある。


正確に言えば、ムラッ気というよりはムラムラした気持ちを抑える為にミリアに頼んで吸精魔法で下半身の疼きを解消してもらい、賢者タイムになってからマウンドに上がるようにしている。





「ガッハッハッハッハッ!今シーズンの初セーブは貰った!」



メイズはノリノリでテンポ良く投げ、7番ロバートをフォークで空振りの三振に仕留め、8番ウィリーをライトフライでツーアウト。

最後は9番カストロをフォークで三振を獲りゲームセット。


三者凡退で抑え、開幕戦を0-1で勝利した。




「やった~っ!!久々の開幕戦勝利だっ!」


「バンザーイっ、バンザーイっ!」


「よぉーし、今夜は祝杯だっ!」


選手たちは実に16年振りの開幕戦勝利に喜びを爆発させていた。



勝利投手はナチで今シーズン初勝利。

メイズは1セーブをマークし、近衛は1ホールドを記録した。




「アレっ、そういやミリアは?」


先程からミリアの姿を見かけない。



「なぁ、ミリアは何処行ったんだ?」


「あ?そこら辺に居るんじゃないのか」


チームメイトに聞いても知る者はいなかった。


それよりも、初勝利に浮かれているのがほとんどだった。




「何処行ったんだ、アイツは」


近衛はベンチ裏の通路を探した。



すると、前方にへたりこんでいるミリアを見つけた。



「おい、ミリア!どうしたんだ?」


「ん…あぁ、カツヤ…」


ひどく辛そうな表情をしている。


「お前、大丈夫か?」


「え、えぇ…少しだけこうしていれば元に戻るから」


ミリアはメイズに吸精魔法をかけたせいで、多くのMPを消費した。


その原因でハンパない疲労がミリアを襲い、へたりこんでいた。


MPは時間が経てば回復する。



後1時間程で元に戻るが、早く回復するにはポーションが有効だ。



「カツヤ…悪いけど、私のロッカーを開けてバッグからポーションを持ってきて欲しいの」


ミリアはロッカーキーを近衛に渡した。


「あ、あぁ。すぐ戻るから待ってろ」


近衛はダッシュでロッカールームに向かった。






「ほら、これでいいんだろ」


バッグから紫色の小瓶を手渡した。


「あ、ありがとう…」


ミリアはキャップを取ると、グイッと中の液体を飲み干した。



「…はァ~っ、やっとラクになったぁ!」


みるみるうちに顔に生気が戻り、体力が回復した。



「ねぇ、ところで試合はどうなったの?」



「勝ったよ…1点を守りきって完封勝ちだ」



「やっっったぁ~っ!!まさかの開幕戦勝利っ!」


ミリアは小躍りして喜んだ。



「そんな事より、何でこんな所でへばってたんだよ?」


「ん~、実はね…」


ミリアは理由を話した。



「…はァァァ?!何だ、そりゃ?!」


「何だ、そりゃって…だって、そうでもしなきゃ、メイズの良さが引き出せないし」


「だからって、その…そんないかがわしい事してまで…」


「勝つためなら、このくらい何ともないわ」


「マジかよ…」


唖然とするしかなかった。








勝利の余韻に浸りながら、夜は宿の食堂でエール片手に祝杯を上げたワイズスナインは、翌日の第2戦も近衛の活躍で2-4で勝利した。


近衛は3打数3安打、1ホーマー2打点を挙げ、7回にはマウンドに上がり、1イニングを三者凡退で抑えて2ホールドをマークした。



ベスパネット・ワイズスが開幕2連戦を連勝するのは27年振りで、今年は一味違うというところをアピール出来たような気がする。



ワイズスは2連戦が終わると、コーネリアス王国から更に北上して、バレット国のエンパイア=アマゾーンとの2連戦がスタートする。
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