プロ野球選手が異世界に転移したら向こうでも野球をやるハメに… 〜主砲の一振り Another story

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エキサイティングリーグ開幕

中継ぎエースはお前だ

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ピコーン…

頭の中で音が鳴った。


「ん?また新たな能力ゲットか?」



再びステータスパネルが浮かび上がった。


【新しい特殊能力《神眼》を取得した!】



「シンガン…何だ、そりゃ?」



神眼とは、ボールが止まって見える能力の事だ。







先制して尚も得点のチャンスを迎えたが、ターニャが後続を抑え、1回の表は1点で終了した。





1回の裏、マウンドにはワイズスのエースナチが立っている。


開幕に標準を合わせ、近衛とマンツーマンで新球スクリューボールをマスターした。


多彩な変化球とコントロールでゴロを打たせるピッチングはターニャに引けを取らない。







「…」


近衛はセンターの守備位置でもう一度ステータスパネルを確認した。


(ところで、オリジナル変化球ってのはどんな球なんだ?)



オリジナル変化球の項目をクリックした。



【オリジナル変化球】カーブの軌道で揺れながら縦に割れる変化球。
ストレートとの球速差は15~30km/hで、緩急を付けて三振を獲れる。



「揺れるカーブって事か…でも、待てよ。
どうやって投げるんだ?しかも、握り方すら知らないぞ」



すると、下に《投げ方》の項目がある。


クリックすると、説明が書かれていた。



【人差し指と中指を縫い目に沿って這わせ、指を立てて抜く様にリリースする。
手首を立てて投げると、曲がりの小さい球速のあるボールになる】



「…手首の使い方次第で遅いボールと速いボールが投げ分けられるのか…スゲーな、オレって」



凄すぎて、まるで他人事みたいだ。






近衛がセンターで能力チェックしている間、ナチは1番アンドリューをショートゴロ、2番ウィンザーをサードゴロ、3番オーブリーをライトフライで打ち取り、三者凡退で1回の裏が終了した。





その後はターニャ、ナチの投げ合いで1点リードのまま7回の裏へ。


ナチはここまで、被安打3、7奪三振、無失点の好投だが、覚えたてのスクリューボールを多投したせいか、徐々にキレが悪くなってきた。


何とかツーアウトまでこぎつけたが、ヒットとフォアボールでランナー一塁、二塁と一打同点のピンチに陥った。




「あぁ~、ヤベェなこりゃ…何とかあと一人抑えてくれりゃいいんだが」


カキーン…



やっぱり打たれた。


しかも、打球は右中間に伸びる。




センター近衛、ライトウィルが懸命に追う。



「クソッタレ、何で打たれるんだよっ!」


「コノエ、こりゃ追いつかねぇぞ!」


ウィルは早くも追うのを諦めた。



「バッカヤロー、そんな簡単に諦めるんじゃねぇっ!!」


猛ダッシュで右中間フェンス手前まで追いつき、横っ飛びでグラブを差し出した。


パシッ…



「と、捕った…」



「アウトっ!!」



近衛のダイビングキャッチが功を奏した。


「やった…これでチェンジだ」


芝生に突っ伏した状態で安堵の声を上げた。



「スゲーな、お前…あんな所からよく追いついたな」


ウィルが手を差し出した。


「諦めるのが早いんだよ、ウィルは。最後まで望みを捨てないで、食らいつけば何とかなる時だってあるんだ」


ウィルの手を掴んで起き上がった。




「凄~いっ!あんな超ファインプレーをするなんて、さすがカツヤね!」


ベンチに戻ると、ミリアが興奮した口調で抱きついた。



「あ…ありがと…だけど、みんな見てるから、ほら…」


「いいじゃない、あんなプレー見たこと無いんだもん」


推定Gカップはあろう大きな胸を押し付けられ、近衛は照れながら離れようとした。




「コノエ、ちょっと来てくれ」


「あ、ハイ」



ベンチの端に座っていた監督に呼ばれた。




「コノエ、次の回マウンドに上がれ」


「あ、ハイ…って、オレが投げるんですかっ?!」


近衛に投げさせるつもりらしい。



「そうだ、終盤を任せられるのはお前しかいない」


「マジすか?」


「ウチの中継ぎエースはお前しかいないからな」


そう言うと、ニコッと笑って肩を叩いた。



(二刀流かよ…でも、ちゃんと投げれるかなぁ)



監督の指示で、キャッチャーのワイクー相手にベンチ前で肩を作って次の回に備えた。
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