プロ野球選手が異世界に転移したら向こうでも野球をやるハメに… 〜主砲の一振り Another story

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エキサイティングリーグ開幕

注目の選手

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コーネリアス王国に着くのはもう少しかかる。

選手たちは馬車の中でスヤスヤと寝息を立てている。


では、コーネリアス王国に着くまで、ホーランド・ソーサラーの戦力分析をしてみたいと思う。


ホーランド・ソーサラーの本拠地は、コーネリアス王国の中心地 シルフィにあるクラフト神殿で、収容人数55000人の芝生が美しいスタジアムだ。


両翼が90.7m

右中間 左中間共に95.5m

バックスクリーンが98m


ラインハルト神殿よりも若干大きめで、投手有利のスタジアムである。




昨年は3位という成績に終わったが、優勝を狙える力がある為、優勝候補に挙げる専門家も多い。




注目の選手だが、野手ではキャッチャーのナーシュ=ケンドールが昨年3割20本100打点をマークして、今年もポイントゲッターとして打線の中心を担う。


肩はやや弱いが、インサイドワークに長けて投手陣を引っ張る。


投手では、昨年最優秀防御率に輝いたターニャ=ローウェルと速球派左腕のイヴァン=モーリスが要注意。


ターニャはストレートとスライダー、チェンジアップを得意とし、特にスライダーのキレは抜群で三振奪取率がかなり高い。


イヴァンは最速142km/hのストレートと100km/h前後のスローカーブで緩急を付けたピッチングを得意とする。




戦力的にはソーサラーの方がはるかに上だが、果たしてどうだか。







「んぁぁ、まだ着かないのかよ」


かれこれ、5時間は馬車の中で過ごしている。




「当たり前だ、着くのは夜中だぞ」


隣に座っているウィルが目を瞑りながら答える。



「夜中っ?!んじゃ、まだまだじゃん!」


近衛には耐え難い時間だ。



「そうだ、まだ時間が掛かるから今のうちに寝とけよ」


ウィルは再び夢の中へ。



「マジかよ…飛行機があれば1時間足らずで着くんじゃないか」


あいにくこの世界にはそんな代物は存在しない。



「仕方ねえ、オレも寝ようっと」


結局、寝るしかなかった。











シルフィに着いたのは夜中の2時を回った頃だった。



宿に泊まり、明日に備えて再び眠りについた。



「…ダメだ、もう寝れねぇよ」


馬車の中で散々寝たせいか、全く眠くない。



「はァ、寝れないならバット振ってよ」


バットを手にし、外へ出て素振りを始めた。




「あぁ、クソ!何でこんな真夜中にこんな事してるんだ」


半ばヤケクソでバットを振った。














試合は午後から始まる。



近衛以外の選手は既に起きて試合に備えて準備をしている。


近衛は明け方まで素振りをしていたのだが、その後眠りについて今も爆睡中だ。



「オラ、サッサと起きろ!」


ドガっ…



「痛っ!」


ウィルが近衛の頭を蹴った。



「いつまで寝てるんだ、もうすぐ試合が始まるんだぞ!」


「だからって、蹴る事ねぇだろ!」


「やかましい、サッサと支度しろ!」



こんな調子で勝てるのだろうか。
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