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ベスパネット・ワイズスというチーム
異世界ならではの法律
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スクリューボールとは
投手の利き腕方向に曲がりながら落ちる球種である。
スクリューボールは「左投手が投げるシンカー」だとする定義も存在するが、の使い手に左投手が多く、更にはゲーム『某パワフルプロ野球』において左投手のみが投げられる球種として設定されたため、このような誤解が世間に広まったとみられている。
Wiki○ediaより抜粋。
近衛はナチにスクリューボールを説明した。
「確かに、利き腕側に変化するボールをマスターしたいとは思っていたのだが…でも、それはかなり困難なのでは?」
どうやらナチ本人もシンカーの様な変化球を習得したいと思っていたらしい。
だが、腕に負担がかかるのでないかと思い、トライする事に躊躇していたそうな。
「いや、そんな事は無いと思うんだけど…」
近衛は高校時代ピッチャーも兼任していたせいか、スクリューボールにトライしていた時期があった。
思った以上に変化が小さかった為、習得を断念したが、投げ方を教える事は可能だ。
「ボールの握りはこうで、オレの場合は外側に捻るよりも、指の間から抜く様な感じで投げてみるといいですよ」
試しに投げてみた。
変化は小さいが、カーブの反対の軌道で変化した。
「おぉー、これはスゴい!これがマスター出来たら、ピッチングのバリエーションが増えてくる」
「えぇ、特に右バッターには有効な球になるかと思います」
ナチは左バッターには滅法強いが、右バッターへの被打率は4割近く打たれている。
「なる程、右バッターのアウトコースに沈む変化球は私の理想とするウイニングショットだ…
コノエ、悪いがもう少し付き合ってもらえないだろうか?」
「勿論ですよ、いくらでも付き合いますよ!」
「ありがとう」
その日、2人は日が暮れるまでスクリューボールの習得に勤しんだ。
ピコーン…
新たに特殊能力《指導者適性◎》が加わった。
開幕まで1週間を切った。
ベスパネット・ワイズスの選手たちは連日のようにラインハルト神殿にて練習を行っている。
コッチの世界ではオープン戦が無い為、実戦形式の練習が少なく感じる。
とはいえ、不満を言っても仕方ない。
そこは工夫次第というヤツで、各々が意識を持って練習するしかない。
近衛は主にイシューと共に練習を行い、合間にナチのスクリューボール習得に付き合うという日々を送っていた。
「コノエ、そう言えばまだココの風呂には入ってないよな?」
「風呂?この球場に風呂なんて完備してあるんですか?」
ラインハルト神殿は複雑な構造のせいか、ロッカールームぐらいしか入った事が無い。
迷い込んだら、出口が見つからない様な迷路みたいだ。
「それなら一度ぐらいは入った方がいい。湯船に浸かれば、疲れはおろか、怪我もスグに治ってしまう」
「怪我も?温泉みたいな効能があるのかな」
そう言われれば入ってみたくなる。
練習が終わり、近衛はナチと共にベンチ脇にある階段を下りた。
(こんな所に階段があったのか)
普段はドアが閉まっているせいか、階段がある事すら知らなかった。
階段を下りると、記号の様な文字が書かれている扉を開けた。
「うゎっ、何だこれは?」
目の前には、古代ローマ時代のテルマエ(大浴場)の様な造りをした巨大な湯船には、無数の青いバラの花が浮かんでいた。
「驚いたか?アレはリカバリーローズと言って、HPやMPを回復させてくれる効果があるんだ」
「HPやMPって…まるでロープレの世界じゃないか」
HP(ヒットポイント)やMP(マジックポイント)を回復してくれるバラの花らしいのだが、魔法を使える人がいるのだろうか。
浴槽には大勢の選手が心地よさそうに浸かっている。
「じゃあ、我々も入ろう」
ユニフォームを脱ぎ、全裸になって湯船に入った。
「少し温いかも」
お湯の温度は人の体温と同じぐらいでやや温い。
「どうだ?身体の中からジワジワと力が湧いてくるような感じがしないか?」
「そう言われてみれば」
沸々と内側からパワーがみなぎる感覚がある。
「先々代のオーナーが風呂に対する拘りがかなりあって、心身共に癒せる風呂を造れという命令でリカバリーローズを用いるようになったらしい」
どうやらこの国は風呂に関しての法律があるという。
投手の利き腕方向に曲がりながら落ちる球種である。
スクリューボールは「左投手が投げるシンカー」だとする定義も存在するが、の使い手に左投手が多く、更にはゲーム『某パワフルプロ野球』において左投手のみが投げられる球種として設定されたため、このような誤解が世間に広まったとみられている。
Wiki○ediaより抜粋。
近衛はナチにスクリューボールを説明した。
「確かに、利き腕側に変化するボールをマスターしたいとは思っていたのだが…でも、それはかなり困難なのでは?」
どうやらナチ本人もシンカーの様な変化球を習得したいと思っていたらしい。
だが、腕に負担がかかるのでないかと思い、トライする事に躊躇していたそうな。
「いや、そんな事は無いと思うんだけど…」
近衛は高校時代ピッチャーも兼任していたせいか、スクリューボールにトライしていた時期があった。
思った以上に変化が小さかった為、習得を断念したが、投げ方を教える事は可能だ。
「ボールの握りはこうで、オレの場合は外側に捻るよりも、指の間から抜く様な感じで投げてみるといいですよ」
試しに投げてみた。
変化は小さいが、カーブの反対の軌道で変化した。
「おぉー、これはスゴい!これがマスター出来たら、ピッチングのバリエーションが増えてくる」
「えぇ、特に右バッターには有効な球になるかと思います」
ナチは左バッターには滅法強いが、右バッターへの被打率は4割近く打たれている。
「なる程、右バッターのアウトコースに沈む変化球は私の理想とするウイニングショットだ…
コノエ、悪いがもう少し付き合ってもらえないだろうか?」
「勿論ですよ、いくらでも付き合いますよ!」
「ありがとう」
その日、2人は日が暮れるまでスクリューボールの習得に勤しんだ。
ピコーン…
新たに特殊能力《指導者適性◎》が加わった。
開幕まで1週間を切った。
ベスパネット・ワイズスの選手たちは連日のようにラインハルト神殿にて練習を行っている。
コッチの世界ではオープン戦が無い為、実戦形式の練習が少なく感じる。
とはいえ、不満を言っても仕方ない。
そこは工夫次第というヤツで、各々が意識を持って練習するしかない。
近衛は主にイシューと共に練習を行い、合間にナチのスクリューボール習得に付き合うという日々を送っていた。
「コノエ、そう言えばまだココの風呂には入ってないよな?」
「風呂?この球場に風呂なんて完備してあるんですか?」
ラインハルト神殿は複雑な構造のせいか、ロッカールームぐらいしか入った事が無い。
迷い込んだら、出口が見つからない様な迷路みたいだ。
「それなら一度ぐらいは入った方がいい。湯船に浸かれば、疲れはおろか、怪我もスグに治ってしまう」
「怪我も?温泉みたいな効能があるのかな」
そう言われれば入ってみたくなる。
練習が終わり、近衛はナチと共にベンチ脇にある階段を下りた。
(こんな所に階段があったのか)
普段はドアが閉まっているせいか、階段がある事すら知らなかった。
階段を下りると、記号の様な文字が書かれている扉を開けた。
「うゎっ、何だこれは?」
目の前には、古代ローマ時代のテルマエ(大浴場)の様な造りをした巨大な湯船には、無数の青いバラの花が浮かんでいた。
「驚いたか?アレはリカバリーローズと言って、HPやMPを回復させてくれる効果があるんだ」
「HPやMPって…まるでロープレの世界じゃないか」
HP(ヒットポイント)やMP(マジックポイント)を回復してくれるバラの花らしいのだが、魔法を使える人がいるのだろうか。
浴槽には大勢の選手が心地よさそうに浸かっている。
「じゃあ、我々も入ろう」
ユニフォームを脱ぎ、全裸になって湯船に入った。
「少し温いかも」
お湯の温度は人の体温と同じぐらいでやや温い。
「どうだ?身体の中からジワジワと力が湧いてくるような感じがしないか?」
「そう言われてみれば」
沸々と内側からパワーがみなぎる感覚がある。
「先々代のオーナーが風呂に対する拘りがかなりあって、心身共に癒せる風呂を造れという命令でリカバリーローズを用いるようになったらしい」
どうやらこの国は風呂に関しての法律があるという。
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