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ベスパネット・ワイズスというチーム
ワイズスのスラッガー
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彼の名はマーモセット=チェバリアン。
長年ベスパネット・ワイズスの4番を打つスラッガーでもある。
ポジションはサード。
これまで2度のホームラン王を獲得し、リーグを代表するホームランバッターとして絶大な人気を誇る。
…………………………と言えば聞こえはいいが、実際は三振かホームランのブンブン振り回す力自慢に加え、鈍足で守備範囲もかなり狭く、お世辞にも上手いとは言えない。
コーチ達はファーストにコンバートさせようと提案するのだが、チーム内で発言力のある彼が頑として首を縦に振らない。
そんなお山の大将がチームメイトと上手くやれるハズもなく、特に投手陣とは常に対立している。
これが最下位の要因でもあるんだが。
「おぅ、新人!お前、ポジションは何処だ?」
ロッカールームの中央にはマーモセット専用の皮のソファーがデン!と置かれている。
(ジャマだな、こんな大きなソファー置きやがって)
誰もがそんな事を思っているのだが、面倒な事になりそうなので見て見ぬふりをしている。
「はァ、自分は外野で主にセンターを守ってました」
「外野か…新人、分かってると思うが、ハンパな気持ちでプレーしてるとあっという間に成績不振でクビになるぞ!
オレみたいに、どんな場面でもホームラン打てるような選手ならばクビにならないけどな、ワハハハハハハハ!」
(スゲー、過大評価だ)
空いた口が塞がらないとはこの事を言うんだろうか。
「あの、一足先にグラウンドで準備してます」
ここに居たら絡まれて面倒になると思い、逃げるようにロッカールームを出た。
「ヨーシ、全員集まれ!」
ベンチコーチのハミルトンが号令をかける。
ベンチコーチとは、ヘッドコーチに匹敵する肩書きだ。
ハミルトンの後方には、白髪の痩身な男が竹製の水筒を手に大あくびをしている。
彼の名前はミラージュ=レスリー。
ワイズスの監督でもあるが、試合中でも平気で水筒の中に入ってる酒を飲み、采配はハミルトンに任せっきりという、歴代ナンバーワンのダメ監督っぷり。
だが、その正体は…
「じゃあ、今日からチームの一員になる3人、前へ出て自己紹介しろ」
合格した3人が前へ出て自己紹介を始めた。
「えぇと…エスカルド=シュリ、ポジションはピッチャーです!
目標はチームのエースになって、優勝する事ですっ!
ヨロシクお願いしますっ!!」
パチパチパチと疎らな拍手が送られた。
「イシュー=シラノットです!ポジションはショートで、守備には自信ありますっ!チームに貢献出来るよう、精一杯頑張りますっ!」
パチパチパチ…
やはり拍手がまばらだ。
最後に近衛が自己紹介する。
「えぇ~っと、近衛克哉です。ポジションは外野です。
自分にとって優勝とは、現時点で一番最重要な案件で…
とにかく、勝たなきゃ先には進めないので、勝つためには何でもするのでヨロシクです」
シーン…
拍手が無い。
(マジか…もしかして、嫌われたかな?)
「オイオイ、ルーキーくんよ。随分とまぁ、変な言い回しするじゃねぇかよ」
マーモセットが口を挟んでくる。
「変ですか?」
「勝つためなら何でもするってか…面白ぇ事言うじゃんかよ」
「勿論、我々はプロです。勝つことが仕事ですし、勝たなきゃ意味が無いんです。
その為には、相手チームの事を研究しなきゃならないし、作戦も練らなきゃならない」
「ぷろ…?ぷろってのは何だ?」
「エッ…」
この世界では、プロやアマチュアといった線引きは無く、選ばれし者という存在で国民からの期待を一身に背負う。
「ですから、選手として高額な報酬を得てるワケですし…勝たなきゃ、ファンの期待を裏切る事になりますし」
「何、小難しい事言ってんだよ!オレたちはプレーをする。
ただ、来た球を力一杯打ち返してスタンドに叩き込めばいいだけの事だろ、違うか?」
(はァ…こういうのを、脳筋って言うんだろうな)
コイツは考えるという事を知らないみたいだ。
「勝つためには、ココを使わなきゃダメなんです」
そう言って、頭をトントンと指した。
「おい、新人…テメー、オレをバカにしてるのか!」
マーモセットの表情が一変した。
「バカにしてるんじゃなく、最下位のチームが勝つには頭を使わなきゃダメだと言ってるんです」
「生意気な事言ってんじゃねぇ!」
顔を真っ赤にして近衛に掴みかかった。
「おい、止めろ!」
「マーモさん、落ち着いて!」
「止めんかっ!」
選手やコーチが止めに入った。
どうやら、勝つにはこの脳筋ボスから相手にしなきゃならないな、と思った。
長年ベスパネット・ワイズスの4番を打つスラッガーでもある。
ポジションはサード。
これまで2度のホームラン王を獲得し、リーグを代表するホームランバッターとして絶大な人気を誇る。
…………………………と言えば聞こえはいいが、実際は三振かホームランのブンブン振り回す力自慢に加え、鈍足で守備範囲もかなり狭く、お世辞にも上手いとは言えない。
コーチ達はファーストにコンバートさせようと提案するのだが、チーム内で発言力のある彼が頑として首を縦に振らない。
そんなお山の大将がチームメイトと上手くやれるハズもなく、特に投手陣とは常に対立している。
これが最下位の要因でもあるんだが。
「おぅ、新人!お前、ポジションは何処だ?」
ロッカールームの中央にはマーモセット専用の皮のソファーがデン!と置かれている。
(ジャマだな、こんな大きなソファー置きやがって)
誰もがそんな事を思っているのだが、面倒な事になりそうなので見て見ぬふりをしている。
「はァ、自分は外野で主にセンターを守ってました」
「外野か…新人、分かってると思うが、ハンパな気持ちでプレーしてるとあっという間に成績不振でクビになるぞ!
オレみたいに、どんな場面でもホームラン打てるような選手ならばクビにならないけどな、ワハハハハハハハ!」
(スゲー、過大評価だ)
空いた口が塞がらないとはこの事を言うんだろうか。
「あの、一足先にグラウンドで準備してます」
ここに居たら絡まれて面倒になると思い、逃げるようにロッカールームを出た。
「ヨーシ、全員集まれ!」
ベンチコーチのハミルトンが号令をかける。
ベンチコーチとは、ヘッドコーチに匹敵する肩書きだ。
ハミルトンの後方には、白髪の痩身な男が竹製の水筒を手に大あくびをしている。
彼の名前はミラージュ=レスリー。
ワイズスの監督でもあるが、試合中でも平気で水筒の中に入ってる酒を飲み、采配はハミルトンに任せっきりという、歴代ナンバーワンのダメ監督っぷり。
だが、その正体は…
「じゃあ、今日からチームの一員になる3人、前へ出て自己紹介しろ」
合格した3人が前へ出て自己紹介を始めた。
「えぇと…エスカルド=シュリ、ポジションはピッチャーです!
目標はチームのエースになって、優勝する事ですっ!
ヨロシクお願いしますっ!!」
パチパチパチと疎らな拍手が送られた。
「イシュー=シラノットです!ポジションはショートで、守備には自信ありますっ!チームに貢献出来るよう、精一杯頑張りますっ!」
パチパチパチ…
やはり拍手がまばらだ。
最後に近衛が自己紹介する。
「えぇ~っと、近衛克哉です。ポジションは外野です。
自分にとって優勝とは、現時点で一番最重要な案件で…
とにかく、勝たなきゃ先には進めないので、勝つためには何でもするのでヨロシクです」
シーン…
拍手が無い。
(マジか…もしかして、嫌われたかな?)
「オイオイ、ルーキーくんよ。随分とまぁ、変な言い回しするじゃねぇかよ」
マーモセットが口を挟んでくる。
「変ですか?」
「勝つためなら何でもするってか…面白ぇ事言うじゃんかよ」
「勿論、我々はプロです。勝つことが仕事ですし、勝たなきゃ意味が無いんです。
その為には、相手チームの事を研究しなきゃならないし、作戦も練らなきゃならない」
「ぷろ…?ぷろってのは何だ?」
「エッ…」
この世界では、プロやアマチュアといった線引きは無く、選ばれし者という存在で国民からの期待を一身に背負う。
「ですから、選手として高額な報酬を得てるワケですし…勝たなきゃ、ファンの期待を裏切る事になりますし」
「何、小難しい事言ってんだよ!オレたちはプレーをする。
ただ、来た球を力一杯打ち返してスタンドに叩き込めばいいだけの事だろ、違うか?」
(はァ…こういうのを、脳筋って言うんだろうな)
コイツは考えるという事を知らないみたいだ。
「勝つためには、ココを使わなきゃダメなんです」
そう言って、頭をトントンと指した。
「おい、新人…テメー、オレをバカにしてるのか!」
マーモセットの表情が一変した。
「バカにしてるんじゃなく、最下位のチームが勝つには頭を使わなきゃダメだと言ってるんです」
「生意気な事言ってんじゃねぇ!」
顔を真っ赤にして近衛に掴みかかった。
「おい、止めろ!」
「マーモさん、落ち着いて!」
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どうやら、勝つにはこの脳筋ボスから相手にしなきゃならないな、と思った。
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