The Baseball 主砲の一振り 続編1

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チャンピオンズカップ

去就

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試合は終盤へともつれ込む。


両投手共に無得点のまま力投を続ける。

均衡が破れたのは8回の表。

この回先頭の筧から。


猪木はここまで4安打2四球、奪三振は4


筧は三球目のチェンジアップを捕え、ライトオーバーのツーベースヒットで出塁。


ここで喜屋武監督が出てピッチャーを交代。


二番手ピッチャーは中継ぎで47試合に登板した左の内間。


内間は次打者のラファエルを空振りの三振に獲ると、2番唐澤には得意のカーブでサードゴロに打ち取る。


続く3番の結城はフルカウントまで粘り、七球目のストレートを上手く逆方向へ打ち返し、筧がホームイン。


スカイウォーカーズが1点を先制した。


先発真咲は8回を投げて5安打1四球、奪った三振は8個。


最終回は抑えのジェイクが160km/hのストレートとパワーシンカーと呼ばれるツーシームで三者凡退に打ち取り、スカイウォーカーズが先勝した。



試合後の榊監督の談話。


「初戦という事で、選手達はキンチョーしていたのかな。
とにかく勝てて良かった。

ところで、オレ沖縄って詳しくないんだけど、何処かパーッと遊べる場所とか知ってる?
あ、知ってる?
じゃあさ、後で連れてってよ!
それと、キャバクラにも行きたいんだけど。
明日?明日の事は明日考えりゃいいんだよ!
んじゃ、またあとで!」


記者の奢りで那覇の繁華街へ繰り出し、泡盛をたらふく飲んでキャバクラで騒ぎまくった…

それにしても、はた迷惑な監督だ。




翌日は雨が上がり、ドームの屋根は開いていた。


スカイウォーカーズの先発は左のサンピエール、対するマシンガンズは元メジャーリーガーのルーガー。


両チームとも打順に変更は無い。


昨日は真咲の緩急を付けたピッチングの前に沈黙したマシンガンズだが、この日は初回から立ち上がりの悪いサンピエールを攻め立てる。


3番比嘉がレフト線へのツーベースヒットで塁に出ると、4番ボーンは左中間を深々と破るツーベースヒットで比嘉がホームイン。


スカイウォーカーズ打線はルーガーのMAX156km/hのフォーシームと3種類のスライダーの前に沈黙。


マシンガンズは3回に指名打者の吉原がライトスタンドへソロホームランで追加。


序盤に3点を貰い、ルーガーはテンポ良く投げてスカイウォーカーズ打線を封じる。


9回にスカイウォーカーズは中山のソロアーチで反撃するが、時すでに遅し。

3対1でマシンガンズが勝利し、対戦成績をイーブンに戻す。



両チームは舞台を沖縄から東京へ移す。



3戦目、4戦目、5戦目はスカイウォーカーズの本拠地武蔵野ボールパークで行われる。



この日は移動日。


球団関係者はドラフト1位で指名した森高 裕樹の初交渉を行った。

森高は入団には前向きで、球団は背番号と契約金、年俸の提示をした。



「オレ行かなくていいのかよ?」


「とんでもない、監督はチャンピオンズカップに専念してくださいよ」


球団事務所では、榊と関係者が交渉の件について話をしていた。


「1位の森高は入団確定だとして、2位の桐生とは交渉したのか?」


「ええ、彼の所にも行きました。ウチ以外なら大学進学とまで言ってた程ですから、挨拶に伺ったら二つ返事で入団するって言ってましたよ」


2位の桐生元春には、背番号21 契約金8000万プラス3000万の出来高で年俸は1200万でサインした。


「そうか、そりゃ良かった。
オレとしては、森高よりも桐生に期待してるんだよなぁ。あのストレートとカーブはプロでも通用するよ、うん」


期待の桐生が入団を決めたとあって、榊は上機嫌だ。


「去年のドラフト1位東山も一軍に定着しましたしね。この調子で桐生も早い段階から一軍で投げて欲しいもんです」


そうなれば、先発陣は大所帯になる。


「ところで」もう1人の関係者が口を開く。



「来季の抑えは誰にするつもりですか?」


ジェイクもラファエル同様1年契約だ。


チャンピオンズカップが終わればアメリカに帰ってしまう。



「あ…そうだった!ジェイクもそうだし、ゴリラだって1年契約だったハズ…やべーな、どうしようかな」

ゴリラとはトーマス打撃コーチの事だ。


持病の糖尿病を患ってる為、1年契約という条件でコーチに就任した。



ラファエル、ジェイク、トーマスコーチと3人がスカイウォーカーズを去る事となる。



「この中でも、せめて1人。ラファエルは既にメジャーとの契約を結んでしまったし、トーマスコーチは体調面で無理強いは出来ない…となると、ジェイクには是非とも残留して欲しいところですよね」



「ジェイクかぁ…アイツ残ってくれるかなぁ」


交渉材料を考えた。


「あ!そうだ、アイツは日本のアニメやアイドルに興味があるんだ。て言うか、オタクだからその辺を交渉材料にすれば何とか残ってくれるんじゃないかな」


「アニメやアイドル…ですか?」


そんなんでホントに大丈夫なの?そんな顔をしている。


「そうだよアニメとタイアップしたり、アイドルを始球式に呼ぶとかすればアイツだって残留するだろう」


「ホントにそんなんで彼が残るんですかねぇ」


どうも信じ難い。



「アイツ、あのアイドルグループのファンなんだよ。しょっちゅう劇場に行ってライブを観てるらしいけど、そのメンバーに【ジェイクさん来年も劇場に来てね】とか頼んでみれば、ジェイクだって残るだろう」



「それを彼女達に頼むんですか?」


「それって、可能なんでしょうか?」



「分からんけど、頼めば何とかなるだろう!それにほら、ファン感謝デーで呼んで、その時にジェイクに言ってもらえばいいんじゃないか?」



「あー、そういう場所でなら何とか頼めそうですけどね」


こんなもんで残留するんだろうか?
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