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大詰め
思いもよらぬ転向
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北陸ブルーオーシャンドームでは、間もなくレッズ対スカイウォーカーズの一戦が始まろうとしている。
先攻のスカイウォーカーズのスタメンは
1ライト ラファエル
2センター 結城
3ファースト 結城
4セカンド 鬼束
5サード 毒島
6レフト 中山
7キャッチャー 保坂
8ピッチャー 北乃
9ショート 筧
後攻レッズのスタメンは
1ショート葛西
2サード岩下
3ファーストワグナー
4センター浅倉
5レフトウォーリー
6キャッチャー林
7ライト三浦
8セカンド八木
9ピッチャー 金
レッズの先発 金 黄絃(キムファンヒョン)は韓国プロ野球から今年レッズに入団した右ピッチャー。
真上から振り下ろすオーバースローから、平均球速約145km/h、最速155km/hのストレートと縦に鋭く落ちる高速スライダーを武器にする本格派投手。
背番号と同じ13勝をマークし、防御率は3.61
スカイウォーカーズには相性が良く、3勝0敗 防御率1.67とカモにしている。
本日はデーゲームで午後1時プレイボール。
試合は4回の表に6番中山がライトオーバーのツーベースヒットを打つと、7番保坂はフォアボール。
8番ピッチャー北乃が金の速球を弾き返しライト前へ。
中山がホームへ生還して1点を先制。
スカイウォーカーズ先発北乃は、水卜ピッチングコーチ直伝のナックルパームを決め球にレッズ打線を抑える。
だが6回の裏、この回トップの浅倉がフォアボールで出塁すると、5番ウォーリーの打席で二塁へ盗塁。
ウォーリーはナックルカーブを引っ掛けショートゴロに倒れるが、6番林は三球目のツーシームを完璧に捕え、レフトスタンドへ逆転の11号ツーラン。
北乃はここで無念の降板。
この一発が決勝打となり、レッズが2-1で初戦を競り勝つ。
金は14勝をマークし、スカイウォーカーズとの対戦は4勝負け無し。
一方、ブラックスの本拠地グランドアベニューフィールドでは、スカイウォーカーズ敗れるという速報がオーロラビジョンで映し出されると、それを合図にするかの様にマーリンズ打線が反撃に転じた。
2-0と劣勢だったマーリンズは、7回に羽田のセンター前ヒットを皮切りに連打の猛攻で一挙4点を奪い逆転。
先発のエース中澤から抑えの仁科という継投策で、2-4と逆転勝利。
この瞬間、マーリンズはスカイウォーカーズと同率首位に並んだ。
この日、スカイウォーカーズベンチでは榊と櫻井は離れて座った。
いつもならば隣同士で戦況を見つめるのだが、梁屋を巡って口論したせいか一言も口をきかず、ベンチに不穏な空気が漂う。
試合前、櫻井が放った一言が胸に突き刺さる。
【梁屋くんは走攻守全てに於いて中途半端なレベル】
高梨は財前獲得に動いた。櫻井も高梨の意見に賛成だ。
表向きでは財前を獲る必要は無いと言ったが、冷静に考えてみると財前がスカイウォーカーズに来てくれれば、更なるレベルアップが期待出来る。
監督である以上、優勝する事は使命だ。
ならば優勝の可能性が高いチーム編成をするべきだ。
頭では理解するものの、情という部分が榊を支配する。
どっちを取るか…財前を獲るか、梁屋を残すか。
いつもならば、試合後にコーチや選手と繁華街に繰り出し酒を飲んでバカ騒ぎするのが、今日に限ってはホテルの一室に篭って食事もとらずに悩んだ。
ベットで仰向けになり、天井の一点を見つめる。
「オレの考えは甘いのか…」
珍しくシリアスな顔つきをしている。
「財前を獲ればワタルのポジションは無くなる…ワタルを選べば優勝する可能性は遠のく。
同じ外野手だから、どっちかが外れてしまう…財前を獲って、ワタルを残すなんてムリに決まってるよな」
いつまで経っても考えがまとまらない。
「せっかく投手から野手に転向したのに…
という事は、また投手に戻したらどうなるんだろうか?」
投手から野手、そして再び投手…
「…っ!!」
榊は閃いた。
ガバッと起きると、タバコを取り出し火をつけた。
「フゥ…」
榊は良いアイデアを思いついた。
先攻のスカイウォーカーズのスタメンは
1ライト ラファエル
2センター 結城
3ファースト 結城
4セカンド 鬼束
5サード 毒島
6レフト 中山
7キャッチャー 保坂
8ピッチャー 北乃
9ショート 筧
後攻レッズのスタメンは
1ショート葛西
2サード岩下
3ファーストワグナー
4センター浅倉
5レフトウォーリー
6キャッチャー林
7ライト三浦
8セカンド八木
9ピッチャー 金
レッズの先発 金 黄絃(キムファンヒョン)は韓国プロ野球から今年レッズに入団した右ピッチャー。
真上から振り下ろすオーバースローから、平均球速約145km/h、最速155km/hのストレートと縦に鋭く落ちる高速スライダーを武器にする本格派投手。
背番号と同じ13勝をマークし、防御率は3.61
スカイウォーカーズには相性が良く、3勝0敗 防御率1.67とカモにしている。
本日はデーゲームで午後1時プレイボール。
試合は4回の表に6番中山がライトオーバーのツーベースヒットを打つと、7番保坂はフォアボール。
8番ピッチャー北乃が金の速球を弾き返しライト前へ。
中山がホームへ生還して1点を先制。
スカイウォーカーズ先発北乃は、水卜ピッチングコーチ直伝のナックルパームを決め球にレッズ打線を抑える。
だが6回の裏、この回トップの浅倉がフォアボールで出塁すると、5番ウォーリーの打席で二塁へ盗塁。
ウォーリーはナックルカーブを引っ掛けショートゴロに倒れるが、6番林は三球目のツーシームを完璧に捕え、レフトスタンドへ逆転の11号ツーラン。
北乃はここで無念の降板。
この一発が決勝打となり、レッズが2-1で初戦を競り勝つ。
金は14勝をマークし、スカイウォーカーズとの対戦は4勝負け無し。
一方、ブラックスの本拠地グランドアベニューフィールドでは、スカイウォーカーズ敗れるという速報がオーロラビジョンで映し出されると、それを合図にするかの様にマーリンズ打線が反撃に転じた。
2-0と劣勢だったマーリンズは、7回に羽田のセンター前ヒットを皮切りに連打の猛攻で一挙4点を奪い逆転。
先発のエース中澤から抑えの仁科という継投策で、2-4と逆転勝利。
この瞬間、マーリンズはスカイウォーカーズと同率首位に並んだ。
この日、スカイウォーカーズベンチでは榊と櫻井は離れて座った。
いつもならば隣同士で戦況を見つめるのだが、梁屋を巡って口論したせいか一言も口をきかず、ベンチに不穏な空気が漂う。
試合前、櫻井が放った一言が胸に突き刺さる。
【梁屋くんは走攻守全てに於いて中途半端なレベル】
高梨は財前獲得に動いた。櫻井も高梨の意見に賛成だ。
表向きでは財前を獲る必要は無いと言ったが、冷静に考えてみると財前がスカイウォーカーズに来てくれれば、更なるレベルアップが期待出来る。
監督である以上、優勝する事は使命だ。
ならば優勝の可能性が高いチーム編成をするべきだ。
頭では理解するものの、情という部分が榊を支配する。
どっちを取るか…財前を獲るか、梁屋を残すか。
いつもならば、試合後にコーチや選手と繁華街に繰り出し酒を飲んでバカ騒ぎするのが、今日に限ってはホテルの一室に篭って食事もとらずに悩んだ。
ベットで仰向けになり、天井の一点を見つめる。
「オレの考えは甘いのか…」
珍しくシリアスな顔つきをしている。
「財前を獲ればワタルのポジションは無くなる…ワタルを選べば優勝する可能性は遠のく。
同じ外野手だから、どっちかが外れてしまう…財前を獲って、ワタルを残すなんてムリに決まってるよな」
いつまで経っても考えがまとまらない。
「せっかく投手から野手に転向したのに…
という事は、また投手に戻したらどうなるんだろうか?」
投手から野手、そして再び投手…
「…っ!!」
榊は閃いた。
ガバッと起きると、タバコを取り出し火をつけた。
「フゥ…」
榊は良いアイデアを思いついた。
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