UWP(Under World Prowrestling)

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タイトルマッチ

ボクシング上がりのプロレスラー

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ランキング7位となった今道。

次の試合が決定するのは、毎月中旬にUWPサイドから対戦相手のデータを添付されたメールが送られてくる。



その間はひたすらトレーニングに費やすのみ。


大和戦でダメージを負った今道は最初の3日は休養に充て、その後はトレーニングを再開。



その1週間後、UWPから対戦相手のデータが送られてきた。



今道が次に闘う相手は、ランキング5位のプロレスラー、齋藤 武尊(さいとうたける)26歳。


齋藤はプロレスラーを名乗っているが、メジャー インディのどちらの団体にも参戦した経験は無く、プロレスデビューはUWPという異色の選手。


経歴も異色で、プロレスの前にはクルーザー級のプロボクサーとして、日本ランキング4位を記録。


戦績は8戦6勝2敗 4KO


限界を感じた齋藤は、その後紆余曲折を経てプロボクサーとしてUWPに参戦。



試合を重ねていくうちに、プロレスラーに対応する為にプロレススタイルを会得。


現在はオープンフィンガーグローブを着用し、重量級でもあるクルーザー級のパンチを多用しながらプロレス技を繰り出すマルチファイターとして勝ち星を重ねる。


齋藤はプロレスラーに対する拘りが強く、自身を【プロレス技を使うボクサー】ではなく、【ボクシングテクニックを使うプロレスラー】と自負する。



UWPでの戦績は、12戦11勝1敗。


1敗は氏家に挑戦したタイトルマッチのみ。


この試合を機に、ボクサーからプロレスラーに転向したターニングポイントであり、プロレスを徹底的に学んだきっかけでもある。


それ以降はパンチを使うのはここぞという時しか使わず、プロレススタイルで闘ってきた。


特筆すべきは、ボクサーだった齋藤が短期間でプロレススタイルをマスターする格闘センスだ。



天賦の才で対戦相手を撃破し、瞬く間にランキング5位に浮上した要注意人物でもある。



齋藤の試合を動画で観る。


相手はランキング6位のプロレスラー、大野良(おおのつかさ)。


大野は空手をバックボーンとし、特に右のローキックは相手の脚をへし折る程の威力を持つ。


齋藤はボクサー出身らしからぬ動きでグラウンドの技術も卓越しており、レスリングスタイルで大野を圧倒。


スタンドではバックドロップ、各種スープレックスで大野を翻弄し、最後は必殺技でもある、ダブルアーム式DDTからの胴締め羽折固めでギブアップ勝ちを収めた。


しかも、この試合でパンチは一発も放っていない。



「この人、ホントにボクサー上がりなんですか?」


今道が首を傾げるほどのファイトスタイルで、ボクサーらしい動きは何一つ披露していない。



「パンチを封印しても勝てる実力があるからなんでしょうね」


「う~ん…」


何でパンチを使わないのだろう。

今道はそこが引っかかるみたいだ。



「コーチに聞きたいんですが」


「何ですか?」


疑問に思ったことを聞いてみた。


「もしコーチがこの人と試合するなら、どういう風に闘いますか?」


東郷はイスラエル発祥の格闘術クラヴ・マガの達人だ。


「私ですか?…私ならば、齋藤選手の脚を封じる作戦に出ますが」


「脚ですか?齋藤選手はボクサー出身ですけど」


何故脚を封じるのか。



「ボクサー出身だからこそ、脚を封じるんです。パンチを繰り出すのも、フットワークを使うのも、脚が肝心です。
その脚を使えなくすれば、フットワークは勿論の事、パンチの威力も半減します」


全ての源は脚力にあると東郷は解説する。


「なるほど…でも、齋藤選手はグラウンドでも強さを発揮してますが」


「とは言え、レスリング技術は最近覚えたばかりでしょう…パンチに較べれば、恐るるに足らずです」


的確な攻略法だった。



「その考えがあったか」


そうと決まれば、齋藤の下半身に狙いを徹する戦法に費やした。
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